
俳優の倍賞千恵子が「第49回日本アカデミー賞」で最優秀主演女優賞を受賞。3月13日に都内で開催された授賞式に登壇し、檀上から共演した木村拓哉への感謝の思いを口にした。優秀主演女優賞を受賞したのは「TOKYOタクシー」に出演した倍賞の他、「ナイトフラワー」の北川景子、「ドールハウス」の長澤まさみ、「遠い山なみの光」の広瀬すず、「ファーストキス 1ST KISS」の松たか子。
■「自分の中でさくらさんを外すことから始めた」
倍賞は「山田(洋次)さんの『男はつらいよ』という作品の中で、(諏訪)さくらさんをずっと演じてきて、今度はすみれという役だったんです。二人ともお花の名前だなと思いながら、どんなふうに撮影が始まっていくのかなと思っていたら、ロケの初日が柴又だったんです。柴又の帝釈天の真ん前だったので、さくらさんが着たことのないような衣装を着て帝釈天の前に立って『すみれさんになれる』と思ったんですけど、やっぱり帝釈天を後ろにしたら『さくらさんを背負っていかなきゃいけないのかな』と思って(笑)。だから、まずは自分の中でさくらさんを外すことから始めて、すみれさんに入っていきました。あと、すみれさんは85歳で私は今84歳なんですけど、年が近かったので『そのままの自分を大切にしながらやっていかなきゃいけないな』と自分に言い聞かせて演じました」と打ち明けた。
そんな中、若かりし日のすみれを演じた蒼井優が、倍賞との共演シーンを振り返り「今でも思い出して胸がいっぱいになるくらい『こんなに人ってきれいな表情ができるんだ』って、『今の私には絶対にできない』と思うような表情を、私は世界でたった一人、機会に恵まれて(倍賞の)目線を頂くことができたので、『真面目に生きていこう』って思いました」とうっとりしながら明かすと、倍賞は「『真面目に』って(笑)」と思わず吹き出す場面も。

■「これからも映画を好きな皆さんと出会えていけたら」
その後、最優秀主演女優賞の発表を受け、プレゼンターの河合優実からブロンズを受け取った倍賞は「戦後80年、81年にかけて、この『TOKYOタクシー』に出演させていただいたこと、とっても感謝しています。そして、本当にうれしいです。第1回の日本アカデミー賞(最優秀作品賞)が(出演した)『幸せの黄色いハンカチ』だったんですけど、それからずいぶん私は長いことこの仕事をしてきたなってつくづく思ったんですけど、今回この『TOKYOタクシー』のスタッフの皆さんに出会って、また新たに映画というものを考え直しました。そして、今日特にいろんな皆さんのお話を聞いて『これからも素晴らしい映画を好きな皆さんと一緒に出会えていけたらいいな』と思っております。日本一美しい富士山よりも素晴らしいスタッフと一緒に、この『TOKYOタクシー』という映画を作り上げたと思っております。本当にスタッフの皆さん、皆さんのおかげです! どうもありがとう。よかったね」と会場にいるスタッフに呼びかけながら共に喜びを分かち合った。
さらに、「ここに山田さんと相方の木村拓哉くんがいないのが何とも寂しいですけども、木村拓哉くんとはタクシーの中でのシーンが多くて、ルームミラーに彼の目が入ると『なんて大きなすてきな目なんだろう』って力を大変頂きました。お兄ちゃんの寅さんは細くて小さい目だったんですけど、お兄ちゃんの目を思い出して木村くんの目の大きさを比べたわけじゃないんですけれども(笑)、木村くんの大きな目にずいぶん力を頂きました。木村くん、どこかでもし聞いていたら、ありがとうございました!」と檀上から感謝のメッセージを送った。
◆取材・文=原田健


