最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
悲しきウルトラ怪獣ジャミラは人間時代「女性」だった? まだ残ってる都市伝説、原因になった場面は

悲しきウルトラ怪獣ジャミラは人間時代「女性」だった? まだ残ってる都市伝説、原因になった場面は


『1/6特撮シリーズ Vol.109 棲星怪獣 ジャミラ』(CCP) (C)円谷プロ

【画像】え、「美人やな」「たしかにいたわ」 コチラがウルトラマンで「ジャミラは女性」という勘違いの原因になった(?)偉人です

「ジャミラ」は女性の名前だけど、もっと直接的な理由があった

『ウルトラマン』(1966年)の第23話「故郷は地球」は、一度見たら忘れられないドラマが詰まっています。かの有名な「ジャミラ」が登場するエピソードです。タイトルが示す通り、ジャミラはもともと、某国の宇宙飛行士でした。

 宇宙開発競争のなか、宇宙飛行士のジャミラは事故で遭難します。しかし競争力への影響を案じた母国は、この事故を隠蔽してしまったのです。

 見捨てられたジャミラは、不時着した星で異形の怪獣へと姿を転じ、怒りに狂って故郷である地球へ、人類に復讐しにやってくるのでした。放送当時の米ソ宇宙開発競争を下敷きにした、『ウルトラマン』のなかでも、とりわけ人気の高いエピソードとして知られています。

 さて、このジャミラに関して、次のような説を耳にしたことはないでしょうか。それは「ジャミラは女性の宇宙飛行士」だった、というものです。

 少なくとも筆者は幼少期に友人からそんな話をされた覚えがありますし、SNSで検索すると、いまも同様に「ジャミラ女性説」を耳にしたことがあると証言する人がたくさんいます。しかし、劇中のジャミラは男性として描かれています。

 それは劇中、人間だった頃のジャミラを知る人物が、ジャミラのことを「彼」と称していることからも明らかです。そうなると、いったどうしてこのような勘違いが生まれてしまったのでしょうか。

 ひとつ根拠として挙げられているのは、その名前でした。「ジャミラ」という名前は、アラビア語由来の女性名として用いられる単語です。仮に男性名なら、「ジャミール」とするのが一般的なようです。

 資料でも、ジャミラはアルジェリアの女性独立運動家のジャミラ・ブーパシャさんにちなんで、名付けられたことが説明されていました(『ウルトラマン研究読本』洋泉社)。なぜ彼女の名前を拝借したのか不明ですが、少なくともジャミラが女性名であることが、この説を補強していることはたしかといえます。

 ただ、これだけで「劇中のジャミラが女性だった」という誤解が生まれたわけではありません。実はもっと直接的な理由と思える瞬間が、本編のなかにあるのでした。

 その場面は、本編も半ばを過ぎたところにあります。まさにジャミラの正体が、遭難した某国の宇宙飛行士であることが明かされた直後です。

 画面に米ソ宇宙開発競争時代の実際の作業風景や、宇宙飛行士たちの写真が、次々切り替わり映し出されるなか、ナレーションでジャミラが祖国に裏切られた過程が説明されていきます。そして最後に……

「その宇宙飛行士の名前が、ジャミラだったのである」

 というナレーションが流れました。この瞬間、画面には笑顔を浮かべる女性宇宙飛行士の写真が映し出されています。それはもう、この女性の名前がジャミラだと言わんばかりの勢いです。

 もちろん大人になってから観れば、この人はジャミラではなく、史上初の女性宇宙飛行士である、ロシア人のワレンチナ・テレシコワさんであることが分かります。しかし、そんな知識のない子供らにとっては、この女性がジャミラだと勘違いしてしまうのもまた、無理からぬことでしょう。

 現在89歳のテレシコワさんは、当然ながら無事に宇宙から帰還しています。彼女の乗った人工衛星・ボストーク6号は、1963年6月16日に打ち上げられ、それから71時間の飛行で地球を48周しました。

 その後、宇宙飛行士訓練学校の職員のほか、ソ連婦人委員会議長、対外友好文化交流協会連盟議長など要職を務めたテレシコワさんには、2023年に祖国ロシアより、「ガガーリン勲章」が授与されています。長い間、ジャミラと勘違いしていたことの謝罪の意も込めて、テレシコワさんに、敬礼しましょう。

配信元: マグミクス

あなたにおすすめ