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「僕ら2人の最高成績!」ほとんど組んだことのない従兄弟ペア、名門テニス一家の絆でまさかのマスターズ準優勝!<SMASH>

「僕ら2人の最高成績!」ほとんど組んだことのない従兄弟ペア、名門テニス一家の絆でまさかのマスターズ準優勝!<SMASH>

高速サービスがレシーバーのラケットを弾き、ボールはフラフラとネット際を漂う。そのチャンスボールが来ることを確信していたかのように、前衛が迷いなくボレーを叩き込んだ。2人の長身選手は、少しおどけた所作も交えつつ、互いの肩を叩き勝利の喜びを分かち合う。

 北米カリフォルニア州で開催中の男子テニスATPマスターズ1000大会「BNPパリバ・オープン」、男子ダブルス準決勝。アルテュール・リンダークネッシュ(フランス)とバレンティン・バチェロット(モナコ)が、決勝へと歩みを進めた瞬間である。

「これがダントツで、僕ら2人が得た最高の成績だよ!」、「プロになってからは、ペアを組んだこともほとんどないんだから」、「僕なんて、ツアーでのダブルスの経験すら稀だし」
 
 準決勝後の会見で、2人は矢継ぎ早に言葉を重ねる。コート上でのプレー同様、オフコートでも息はぴったり。それもそのはず。ダブルスを組むのは久々とはいえ、2人は20年来の友人にして、大学時代の盟友。何より親族――従兄弟なのだから。
  2人のストーリーが世間の注目を集めたのは、昨年10月。上海マスターズの決勝が、“従兄弟決戦”になった時だった。

 もっともこの時まで、多くのテニス関係者ですら、2人が親族だとは知らなかっただろう。30歳のリンダークネッシュは、長くツアーやグランドスラム(四大大会)を主戦場とする実力者。ただその彼にしても、マスターズでの決勝進出はこの時の上海が初めてだった。

 他方、当時26歳のバチェロットはランキング100位を切ったことはなく、上海マスターズ参戦時は204位。予選からの参戦だったが、本戦でもホルガ・ルネやノバク・ジョコビッチを破り、まさかの決勝進出で一躍脚光を浴びたのだ。しかもその決勝の相手が、同じくキャリア最高のテニスを見せる従兄となれば、人々の関心と共感を呼ぶのは必然だった。

 とはいえフランスのテニス関係者の間では、2人が親族なのは有名な話だったそう。そもそも“リンダークネッシュ家とその親族”は、国内最大の華麗なるテニス一家だったのだ。

「特にリンダークネッシュの家系はすごくて、彼の両親も、祖父母も、そして曾祖父母もテニス選手だったんだから!」

 笑顔でそう教えてくれたのは、『レキップ』紙のリュシル・アラール記者。以下は、彼女が取材を重ね執筆した記事からの引用である。
 ◆曾祖母:アンドレ・バラン
テニス史に残る記録の持ち主。1932年のローランギャロス(全仏オープン)に初出場し、最後に出たのは1965年。その時、彼女は53歳だった。

◆曾祖父:ジャン・クンツ
第二次世界大戦前後にフランスで活躍した選手であり、フランステニス連盟の副会長も務めた。

◆祖父:ピエール・リンダークネッシュ
ローランギャロスを含め、グランドスラム本戦に4度出場しているテニス選手。

◆母:ビルジニー・パケ
WTA最高位208位。ローランギャロスジュニアに出場経験あり。現在は著名テニスクラブでコーチとして手腕を振るう。

 このビルジニー・パケの妹が、バチェロットの母。リンダークネッシュとバチェロットはいずれも、幼少期はビルジニーの指導を受けていたという。

 リンダークネッシュは幼い頃、叔母の住むモナコで冬休みを過ごし、バチェロットと一緒にスキーとテニスに興じた。やがて3歳年長のリンダークネッシュが米国のテキサスA&M大学に進学すると、数年後にバチェロットも後を追うように入学した。
  プロとして先に結果を出したのも、リンダークネッシュ。ただ先にツアータイトルを手にしたのは、従弟の方だった。

 上海マスターズ優勝後にランキングを40位へ急上昇させたバチェロットは、今年1月の全豪オープンでは3回戦進出。今大会のシングルスでも勝利を手にし、3回戦でキャスパー・ルードに敗れるもフルセットの熱戦を演じた。

 昨年10月を境に、主戦場も対戦相手のレベルも劇的に上がったバチェロットだが、テニス一家出身の27歳は、自分がこの地位に相応しいことを証明している。

「自分のテニスそのものが、大きく変わったとは思わない。自信が大きなファクターだと思う。特に、上海後の2大会でも良いプレーができたことで、このレベルでも戦えると信じることができた」

 バチェロットの言葉を隣でうなずき聞く従兄は、「僕はいつだって、彼を信じていたよ」と引き取る。

「僕が思っていたより、ずいぶんと時間がかかっちゃったけれどねぇ」。茶目っ気たっぷりに、そう付け加えることも忘れなかった。
 
 14日にセンターコートで行なわれた決勝戦では、マニュエル・ギナール /ギド・アンドレオッジに敗れ、タイトルにはわずかに手が届かず。それでも2人は、華麗なるテニス一族のファミリーヒストリーに、新たな歴史を書き加えた。そしてこれは、新たなチャプターの始まりにすぎない。

現地取材・文●内田暁

【動画】従兄弟ペアは惜しくも準優勝!「BNPパリバ・オープン」男子ダブルス決勝ハイライト

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配信元: THE DIGEST

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