最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
中山翔貴が明かす、映画『教場』の裏側 猪狩蒼弥&倉悠貴からの刺激と役者としての大きな一歩「尊敬できる友達に出会えた」

中山翔貴が明かす、映画『教場』の裏側 猪狩蒼弥&倉悠貴からの刺激と役者としての大きな一歩「尊敬できる友達に出会えた」

中山翔貴
中山翔貴 / 撮影=下田直樹

木村拓哉が主演を務める「教場」シリーズの集大成であり終着点となる2部作、映画「教場 Reunion/Requiem」。現在、その前編となる「教場 Reunion」がNetflixにて独占配信、後編となる映画「教場 Requiem」が全国公開中だ。

本作は、神奈川県警察学校を舞台にした心理サスペンス・ヒューマンドラマ。冷酷無比な鬼教官・風間公親(木村)が警察学校で“適性がない者”を容赦なくふるい落とす姿と、生徒が抱える闇や秘密を描く。

そんな本作で第205期生徒の一人・真鍋辰貴役を演じた中山翔貴にインタビュー。警察学校の同じ教室内で2人の女子生徒の間で揺れ、三角関係を築くという役柄だ。本作の撮影秘話から役作りについて、そして自身の素顔や俳優としての歩みまでたっぷりと語ってもらった。

■「訓練期間がしっかり2カ月間あった」

ーー「教場」シリーズでは、警察学校ならではのキビキビした動きと揃った団体行動に毎回圧倒されます。本作ならではの現場感や大変さがありそうだなと思いました。

特殊なことで言うと、訓練期間がしっかり2カ月間あったことです。撮影に入る前に警察監修の方が来られて、週3〜4日の頻度で1日5時間くらい僕たちを指導してくださいました。具体的には、学校のような時間割があって、まず1時間目は起立・着席をやり続け、2時間目は行進、3時間目は走って…といった感じで、スケジュールが組まれていました。それはなかなか他の現場ではないんじゃないかなと思います。

ーー本当に結構警察学校を体験しているような撮影期間だったのですね。中山さんは学生時代に野球を16年間やっているほかにキックボクシングなども嗜んでいますが、警察学校の生徒という役は身体面ではやりやすかったですか?

今でもトレーニングを続けているくらい運動は好きなので、警察学校の訓練シーンでは僕はちょっと楽しむ余裕があったように感じます。バーピージャンプをやったり、重い6キロの盾を持って走ったりとかがあったんですけど、普段あまり運動していないメンバーたちは本当に大変そうでした。現場ではあまり言えなかったのですが、僕はその時間は「筋トレだな」と思ってちょっと楽しんでやっていました。

ーーそういった学生時代の経験が芝居で役に立つことは多いですか?

今回は体力的な面はもちろんそうでした。朝から日が暮れるまで、グラウンドでずっと行進の撮影をする日があったんですが、そうすると、みんなちょっとテンションが落ちてきちゃうというか、心身ともに疲労が溜まってきちゃうんですよね。でも、僕を含めて何人かいた野球部出身のメンバーは、「どうせやらなきゃいけないから、やるなら楽しくやろう」というポジティブなメンタルを持っていたので、周りが少し落ちていても「やろう!やろう!」と声をかけることができました。野球をやっていたからこそ、こういう場面でも楽しみながらできたのかなと思います。

■「僕がすごく仲良くなったのは、猪狩蒼弥と倉悠貴の2人」

ーー警察学校が舞台ということで、同世代の共演者も多いですが、現場の雰囲気はどうでしたか?印象に残っている共演者はいますか?

僕がすごく仲良くなったのは、猪狩蒼弥と倉悠貴の2人です。倉に関しては、お芝居に対してすごく熱いので、ずっとお芝居の話をしていました。同世代でなかなかそういう話を熱く語り合える友達がいなかったので、今回の現場で出会えてよかったなと思います。猪狩に関しては僕より年下なんですけど、本当にすっごく人間ができているというか。小さい頃からアイドルをやってきて、バラエティなど別ジャンルでも活躍している、そういう意味でも尊敬できる人間です。今では普通に遊びに行くメンバーになりましたね。

ーー猪狩さんの具体的にどういう部分を尊敬していますか?

本当によく考えてるんですよね。これを言うのは本人的にはどうなのかわからないですけど、バラエティとかでの立ち回りも、「ここでこういう強気な発言をしたら面白い」と計算した上で行動できている人間だし、人との関わり方でも頭の回転が速い。5個ぐらい下だけど「すごいな」って感心します。1回ライブにも行かせてもらったんですが、「本当にアイドルだな」って思いました。

ーー倉さんとはどういうお芝居の話をしていたんですか?

一番印象深いのは、僕が20〜30テイク近くNGを出してしまった日があって、その日に倉に泣きながら電話したんです(笑)。そのとき倉は「いや、お前真面目だし大丈夫だよ」「こっから巻き返していこうぜ」みたいな温かい言葉をかけてくれたんですよね。他にもいろいろ励ましてくれて、そんな風に支えてもらえて、僕は「よし、もう1回頑張ろう」と思えました。今後も何かあったときに相談したいなと思う友達です。

■「木村さんが教室に入った瞬間に本当に空気が変わる」

ーー良い関係性ですね。では、本作の主人公・風間教官役の木村拓哉さんに対して印象に残っているエピソードはありますか?

木村さんが教室に入った瞬間に本当に空気が変わるんです。自分たちであの緊張感を作ろうとしなくても、勝手に背筋が伸びるというか。風間教官そのままの圧を持っていらっしゃって、目に見えない役の空気感もまとえる方なんだなって驚きました。そういう方ってなかなかいないと思いますし、自分もそういう空気までまとえる役者になりたいなと、すごく憧れますね。

ーー撮影の合間などにお話はしましたか?

たまに自分たちの席の近くに来てくださって、たわいもない日常の会話をちょろっとする機会はありました。でも、基本的には“風間公親”として現場にいらっしゃったので、距離感は保たれていた印象です。だから、最近の舞台挨拶などで接してくださる気さくな姿に「全然違うんだ!」って、そのギャップにびっくりしました(笑)。

■「まずは外側からのアプローチをして、役を落とし込んでいく」

ーー演じた真鍋辰貴という役柄についても教えてください。自身と共通点はありますか?

真鍋も僕も、優しいんですよね(笑)。真鍋は「何でもいいよ」って言って、ほとんどすべて許容してしまう性格で、それによって今回のように問題が起こってしまう。優柔不断とも言えますが、優しい性格であるのは確かなので、そういう部分は共通しているのかなと思います。

ーー役に対してはどんなアプローチをしましたか?

今回は三角関係で2人の女子に挟まれている役柄ですが、メガネをかけていて目立つタイプではない…いわゆる“モテる”ビジュアルではない役でした。一辺倒にイケメンキャラが彼女を乗り換えるのとは違うので、「こういう人もいるよね」という納得感を出すために今っぽい塩梅を探していくのがちょっと難しかったです。

あまり主体性がありすぎるとダメだなと思っていたのですが、かといって全部流される人間でもないなと。それこそ優しさが大元の土台にあって、結果的に流されてしまったっていうアプローチの仕方をしようと心がけていました。

ーー普段、役作りに関して意識していることはありますか?

内面はもちろんですが、見える所作だったり姿勢だったりというのはできるだけ意識しようと心がけています。今回だったら警察学校なので、とにかく姿勢を正しくしなきゃという意識が常にありました。まずはそういう入りやすい外側からのアプローチをして、自分に役を落とし込んでいくようにしています。

■「一番学べたことは、中江(功)監督とのお話」

ーーなるほど。外側から内側へ浸透させていくイメージですね。真鍋の恋愛観には共感できますか?中山さんはたとえ間に挟まれても揺れないタイプですか?

僕は自分からいかないと嫌なタイプなので、真鍋とは逆ですね。流されて恋愛をするのではなく、自分で決めたいですし、自分の意思は固いタイプです。

ーー恋愛においては受け身ではなく、自身の意思を貫くタイプなんですね。では、本作に生徒役として参加したことで、役者として学んだことや成長した部分はありましたか?

一番学べたことは、中江(功)監督とのお話ですね。僕がNGを連発してしまった日の終わりに監督とお話しをさせていただいて。そのときに監督が「自分が出る一つのシーンでやってみたいこととか、挑戦したいところはどんどん攻めていっていいよ」と言ってくださったんです。「違ったら違うって言うから、もっと自分の意思を持って現場に取り組んだ方がいい。役者と監督のお互いが積み重ねていくものだから、監督が言ったことをやるだけだったらロボットでいい。俳優側もしっかり意見と意思を持ってやっていった方が今後のためにもなる」、と。それ以降、違う作品をやらせていただく時も役を考える上でその言葉をすごく大切に心の中に留めています。

ーーそれまではどちらかというと、言われた通りにやる優等生タイプだったのでしょうか?

性格もあってか、これまでは言われたことを正しくやろうとするところがありました。でも、その言葉を受けてから、「一度試してみよう」「自分の想定より一つ超えて挑戦してみよう」と思ってやると、意外とそれが「いい」と言われることが多くて。もちろん、やりすぎると「ダメ」と言われてしまうんですけどね(笑)。

でも、何も考えず、自分の中で言われたことを守ってただお芝居してなんとなく「OK」が出るよりは、やりたいことをやってみた方がたとえダメでも良かったと思えるんです。そういう部分が今まで自分には足りてなかったものだったんだなと感じました。このタイミングで気付けてすごくよかったですし、中江監督には感謝しています。

■「『下剋上球児』は自分の中で特別でいろいろな想いがある」

ーー「教場」は中山さんにとってもまさに教わる場だったのですね。これまでの出演作品で、人生の分岐点になるようなものは他にありましたか?

やっぱり、日曜劇場「下剋上球児」(2023年、TBS系)は自分の中で特別でいろいろな想いがあります。あの作品で僕を知ってくださった方も多いんですが、自分の中では中心メンバーの役をやりたかったという悔しい思いもありました。でも、同世代の俳優と初めてあそこまでしっかりお芝居をする機会をいただいて、それ以降もみんな仲良いですし、刺激にもなっています。あの作品とメンバーは、確実に自分の分岐点になっていますね。

ーー当時、どなたが一番刺激になりましたか?

小林虎之介ですね。同じ場所で2年くらい一緒にレッスンを受けていて、「下剋上球児」のオーディションを受けるときも一緒にセリフ合わせをしていたんです。彼がキャッチャー(日沖壮磨)のいい役を取って、その後も朝ドラ(2026年度前期連続テレビ小説「風、薫る」[NHK総合ほか])に出るなど、活躍を見ていると今でもすごく刺激になっています。

■「高校時代の野球の監督が一から人間として叩き直してくれた」

ーー小林さんの存在が中山さんに影響を与えているのですね。「教場」シリーズでも風間教官と出会うことですべての生徒の人生が良くも悪くも変わっていきますが、中山さんは役者関係なくこれまでの人生で「この人と出会ったから変わった」と思う人はいますか?

高校時代の野球の監督です。それこそ「教場」みたいな厳しい環境だったので、今もまだ怖くて簡単には会いに行けないんですけどね(笑)。僕は中学までは勉強も全然ダメで、学校でも怒られるタイプの生徒でした。

その監督は、野球の指導はもちろん、それ以上に人間力を大切にされている方で、「学校での私生活が野球のプレーにすべて繋がっていくから」と常におっしゃっていました。だから、僕は勉強も最低限やらなければと思い、先生方には礼儀正しくしっかり挨拶をするようになりました。そうやって監督が一から人間として叩き直してくれたおかげで今の自分があるなと思っています。

ーー監督自身に人間力があるからこそ、説得力があって生徒にも響くんでしょうね。

よく「損得勘定を捨てろ」とおっしゃっていました。何かを選択するときには、善悪で考えろと。監督はそれをご自身で示してくださってもいました。ご家庭があるのにとんでもなく朝早い時間にグラウンドに来てくれたり、学校の職員としてボランティアのような形で指導してくださっていたりして。そういう方に教わっているなら僕らもしっかりやらなきゃなと自然とみんな思っていましたね。

ーー素敵な恩師なのですね。お話を聞いていて学生時代、とても野球に励んでいたことが伝わってきます。やはりプロ野球選手を目指していたのでしょうか?

ずっとプロを目指していて、プロ選手を輩出している強豪校の大学野球にも入ったんですけど、「本当にプロに行く人ってこういう人たちなんだ」というのを見せつけられた感覚でした。そんな中、一年生の時に「この人はすごい」と思っていた4年生のピッチャーがドラフトで指名漏れしたのを見て、「この人でもプロに行けないんだ」と思った瞬間に、無理だなと。

■「母(白城あやか)の舞台を見て『(芝居を)やってみたいな』と思った」

ーーそこからお芝居の道へ?

元々高校3年生のとき、母(白城あやか)の舞台を見て「やってみたいな」とは思っていたんです。でも、その時点では大学4年間は絶対野球をやりきろうと決めていました。その後、挫折をして、野球への想いに区切りがついたときに、「やってみたかった事ってなんだろうな」とふと考えて、思い出したのが、高3のそのときの感情でした。

ーーその後、2022年に俳優デビューをしたのですね。振り返ってみて、お芝居の見方などに変化は感じますか?

最初の方は、“自分をどう見せるか”ということに集中してしまっていたんですけど、今は大きく作品全体を通して見て、その中で“自分はどういう役割ができるか”、と一歩引いた目線で作品を見られるようになりました。結局自分次第という部分もあるのですが、作品全体が良くなるためにはどうするべきか、と俯瞰して見ることによって少し僕の芝居自体も変わったのかなと思います。

中山翔貴
中山翔貴 / 撮影=下田直樹
■「憧れは『下剋上球児』でご一緒した鈴木亮平さん」

ーー主観の狭さではなく客観の広さで捉えるようになったのですね。今後挑戦してみたい役はありますか?

時代劇などの昔を舞台にした作品にすごく出てみたいです。僕は元々日本の歴史が好きで、ベタですけど、新撰組や戦国時代が特に好きなんですよね。だから、そういう作品に出たいですし、体を使うという意味でも殺陣(たて)をする役をやってみたいなと。最近殺陣の体験に行ってきたので、これから通い始めようと思っているところです。

ーー時代劇いいですね。殺陣はもちろん、袴もまげも似合いそうです。最後に、憧れの俳優や目指す役者像を教えていただけますか?

目指す役者像はまだこれからですが、憧れで言うと「下剋上球児」でご一緒した鈴木亮平さんですね。お芝居はもちろんですが、人間力の塊のような方なので、僕はそういう俳優にも、そういう人間にもなりたいです。

取材・構成・文=戸塚安友奈

あなたにおすすめ