「今後、ドバイ大会には2度と出ないかもしれない」
積もりに積もった感情が溢れ出たかのように、女子テニス世界1位のアリーナ・サバレンカが明言した。3月17日に開幕した、WTA1000大会の「マイアミ・オープン」。その初戦を控えて行なわれた、囲み会見でのことである。
このような発言に至った経緯は、次のようなものだ。
2月末に、女子テニス界のオピニオンリーダーでもあるジェシカ・ペグラが、WTAの有志たちと共に「ツアー構造改革評議会」を結成し、会長に就任した。最大の目的は、あまりに厳しすぎるツアーカレンダーの見直し。
選手が、より高いパフォーマンスを発揮し、より長いキャリアを送るべく、選手側の意見や要望を大会運営者側に訴えていく、いわば労組的な団体だ。またペグラは、ATP(男子ツアー)にも働きかけ、グランドスラム理事会等とも交渉していく動きを見せている。
サバレンカは、このようなペグラや新評議会の理念に全面的に賛同・協力している1人。「ジェシカ(ペグラ)以上に改革のリーダーとして適任者はいないし、私も協力していきたい」とした上で、次のように所感を述べた。
「今のツアーのスケジュールは、常軌を逸している。選手のケガが増え、皆が身体のあらゆる所にテーピングをしている。現状では、どの大会でもベストパフォーマンスを発揮するなんて不可能。だから今年は、とても難しい決断ではあったが、中東シリーズ(アブダビ、ドーハ、ドバイ)を欠場した」
その「難しい決断」の対価として、サバレンカは先週の「BNPパリバ・オープン」で悲願のタイトルを手にした。
そのような一連の流れから、話題はドバイ大会のトーナメント・ディレクターの発言に至った。サバレンカと、イガ・シフィオンテクが開幕直前に欠場を表明したことにつき、大会ディレクターのサラー・ターラック氏は「不可解な理由での欠場」だとコメント。「このような欠場は、罰金だけではなく、ポイント没収などのもっと厳しい罰に処するべきだ」とも言った。
サバレンカは、この発言を「あまりにバカげている」と一蹴。
「バカバカしすぎて、笑ってしまう。大会主催者が、選手を守るのではなく責めるなんて信じがたい。どうやら彼は、大会が儲かることしか考えていないみたい」
そうしてこれらの言葉に続いたのが、冒頭の一言である。
世界4位のココ・ガウフは、この一連の騒動については、「双方の思いはわかる」と対応。ツアー構造改革評議会は、このような利害対立を解消するためにも、可及的課題かもしれない。
その評議会を率いるペグラは、「2027年の改善実現を目指す」と精力的。
「ローランギャロス(全仏)とウインブルドンまで時間があるこの時期が、私たちがアクションを起こすのに最適なタイミングだと思っている。アリーナ(サバレンカ)やココ(ガウフ)は連絡をすると、すぐに返事をしてくれるので、とてもありがたい。男子選手とも連携を取りながら進めていきたい」
世界5位は、決意のこもる声で言った。
果たして、ツアーに大きな変化は訪れるのか? この先数カ月間の動きに注目が集まる。
現地取材・文●内田暁
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