第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は現地3月17日(日本時間18日)に決勝が行なわれ、ベネズエラがアメリカを3対2で破り悲願の初優勝を飾った。過去5大会で3度の優勝を誇る日本(2006、09、23年)、ドミニカ共和国(13年)、アメリカ(17年)に続き、史上4か国目のWBC王者となった。連覇を目指した日本は史上初めてベスト8で敗退した。
南米の雄が頂点に立った。ベネズエラは1次ラウンドで優勝候補ドミニカ共和国と同じプールDに入り3勝1敗。3連勝で迎えた最終戦のドミニカ共和国戦は5対7で敗れ、2位通過で準々決勝は前回王者の日本と対戦した。
先発の山本由伸から1番のロナルド・アクーニャJr.が先頭打者アーチで勢いをつけた。その裏に大谷翔平のソロ弾で追い付かれたが、2回に再び勝ち越し。「低めのボールを振らない」という徹底した侍対策が功を奏し、日本のエースを4回69球でマウンドから降ろした。その後は森下翔太の3ランで逆転を許すも、5回にマイケル・ガルシアの2ラン、6回にウィルヤー・アブレイユの3ランが飛び出し、試合をひっくり返した。
準決勝のイタリア戦はリードを握られるが、1点ビハインドの7回にアクーニャJr.、ガルシア、アラエスの3者連続適時打で逆転に成功。長打だけでなく走塁やつなぎで得点を挙げ、さらに投手陣も3回以降は強打のイタリア打線にホームを踏ませなかった。
決勝戦のアメリカ戦は3回に犠飛で先制。1点リードの5回、アブレイユのソロで2対0と点差を広げる。8回に同点に追い付かれたが、迎えた9回に無死二塁からエウヘニオ・スアレスの適時二塁打が飛び出し、勝ち越しに成功。9回は準々決勝から3連投の防御率0.00の絶対的守護神パレンシアが三人で片付けゲームセット。WBC初戴冠を手にすると、選手や球場を埋め尽くしたベネズエラファンの歓喜がこだました。
ベネズエラは今大会30人のロースターのうちメジャーリーガーを24人揃えた。看板選手である28歳のアクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)は23年に「41本塁打&73盗塁」を記録してMVPを受賞。MLB屈指のヒットメーカーであるアラエス(サンフランシスコ・ジャイアンツ)は24年に3年連続となる首位打者を獲得し、大谷の三冠王を阻んだ。さらに扇の要であるサルバトール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)は21年の48本塁打でタイトルを獲得。9番に2年連続20本塁打、20盗塁のジャクソン・チョーリオ(ミルウォーキー・ブルワーズ)を置く打線は強力だ。
さらに投手陣も充実。先発投手の柱は、日本戦で先発した昨季フィラデルフィア・フィリーズで12勝を挙げたレンジャー・スアレス(ボストン・レッドソックス)。救援陣もメジャーの実力者揃いで、セットアッパーにはオリックスの守護神を務めるマチャドも名を連ねるほど、投打でバランスがとれたチームだった。
17年大会以来2度目の制覇を目指したアメリカはまたも決勝の舞台で涙をのんだ。今大会は主将のアーロン・ジャッジ、カイル・シュワーバー、ブライス・ハーパー、ポール・スキーンズら投打を中心に戦力が充実。「史上最強」と称され、断然の優勝候補とみられていたが、1次ラウンドでイタリアにまさかの敗北。一時は1次ラウンド敗退の危機を味わったが、他国の結果で冷や汗ものの2位通過を果たした。
準々決勝では混戦のプールAを首位通過したカナダを撃破。準決勝は“事実上の決勝戦”と言われたドミニカ共和国との黄金カードを2対1で競り勝ち、決勝まで駒を進めた。2大会ぶりの覇権奪還まであと1勝だったが、ベネズエラの先発左腕エデュアルド・ロドリゲスの前に強力打線が沈黙。5回途中まで、3回に放ったわずか1安打だけで左腕降板後もベネズエラの鉄壁リリーフ陣の前に無得点が続いた。8回にハーパーの2ランで同点に追い付く底力を発揮したが9回に勝ち越されジ・エンド。試合終了時にはジャッジをはじめ、選手らはベンチで呆然とベネズエラの喜ぶ姿を見つめた。
大谷、山本、鈴木誠也、吉田正尚ら過去最多メジャー組8人を招集した日本は、プールCを4戦全勝で首位通過したが、準々決勝でベネズエラに敗北。同2位の韓国は4大会ぶりに1次ラウンドを突破したが、ドミニカ共和国に7回コールド負け(0対10)を喫した。結果的にアジア勢はベスト8で全滅した。
他のグループに目を向けると、プールBのイタリアは最強アメリカを撃破する番狂わせを起こすなど5連勝で史上初のベスト4入り。プールAのカナダは強豪プエルトリコ、キューバに連勝して1次ラウンドを1位通過して初の8強入りするなど、新興国の快進撃が目立った。
構成●THE DIGEST編集部
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