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「我々の規模では前代未聞だった」NEC狂騒の10日間――2000万ユーロ拒否、日本人MF佐野航大を巡る“異常すぎる移籍劇”の全貌

「我々の規模では前代未聞だった」NEC狂騒の10日間――2000万ユーロ拒否、日本人MF佐野航大を巡る“異常すぎる移籍劇”の全貌

2026年冬の移籍市場。エールディビジの中堅クラブ、NECナイメーヘンの周辺がにわかに騒がしくなった。その喧騒の中心にいたのは、22歳の日本人MF、佐野航大だ。CEOのウィルコ・ファン・シャイクは、当時をこう振り返る。

「我々のような規模のクラブにとって、これは過去に経験のない衝撃的な出来事だった。3日間、クラブ内のあらゆる警報が鳴りっぱなしだったんだ。誰もが真実を知りたがり、ナイメーヘンの街全体が言いようのない不安に包まれていた」

 重要な引き金となったのは、1月31日に実施されたAZ戦(3-1○)だった。ピッチの至る所に顔を出し、中盤に君臨し、さらにはゴールまで決めた佐野の圧倒的なパフォーマンスを受け、名門アヤックスが強奪に乗り出したのだ。

 CEOシャイク曰く、「クラブ内部では、目先の利益のために売る必要はないという意見で合意していた」はずだった。しかし現実は、その決意を飲み込むほどの激流となった。

 現地メディア『Voetbal Flitsen』は、当時の異様な熱気をこう描写している。

「メディアはわずかな予兆を敏感に察知して色めき立ち、アナリストたちは連日憶測を巡らせた。サポーターはアヤックスの強引な交渉手法に激昂し、誰もが事態の行方を固唾を飲んで見守っていた」

 その波紋は、獲得を狙う当事者であるアヤックスの内部にも及んだ。同チームの主力の一人であるユーリ・レヘールは正直、動揺を隠せなかった。「影響はないと言いたいけれど、試合開始(2月1日エクセルシオール戦)のわずか90分前に『アヤックスが佐野に関心』という速報が流れれば、同じポジションの選手として心がかき乱されないはずがないんだ」

 喧騒はさらに加速する。イングランド移籍市場最終日の2月2日、プレミアリーグのノッティンガム・フォレストから2000万ユーロという巨額オファーが届いたのだ。それは、アヤックスが用意していたとされる1500万ユーロをさらに上回る、クラブにとって過去に例のない提示額だった。
  しかし、NECはこれも断固として拒否した。CEOのシャイクは「2000万ユーロを前に『NO』と言った自分たちの頬を、今でもつねってみたくなるよ」と苦笑する。しかし、NECの方針は明確だった。ディック・シュロイダー監督との約束を守り、欧州カップ戦出場権獲得という目標を果たすため、チームの心臓を失うわけにはいかなかったのだ。シャイクは次のように語る。

「向き合うべきは監督、ファン、そして固く団結しているチームだ」。

 そんな中、佐野本人は驚くほど平静さを保っていた。「彼は模範的な態度を見せた。グループ内や試合における彼の振る舞いは、本当に類稀なものだった。もし自分が彼の立場なら、怒りに任せて建物の窓をすべて叩き割っていただろう」とシャイクは称賛する。佐野本人も後日、葛藤を明かした。「正直、苦しい10日間だった。でも、今は頭の中がすっきりしている。前を向いて進み続けなければならない。オファーをくれた方々には感謝したい」

 佐野を巡る周辺は今なお騒がしい。現地メディア『Headliner』は、NECがさらなる高額売却を見据え、超大物代理人ジョルジュ・メンデスに協力を仰いだと報じた。選手会からは「商品扱いだ」との批判も上がるが、それほどまでに彼の市場価値は高騰している。

 新天地候補についても、国内の名門は除外されたようだ。NECの元テクニカルマネージャー、ダニー・フークマンは「アヤックスはもはやかつての巨人ではない」と切り捨て、佐野は直接ビッグリーグへ行くべきだと主張。オランダのデータ分析会社『SciSports』によれば、フラム、ユベントス、そしてアトレティコ・マドリーが「最もフィットする移籍先」として浮上している。

『Voetbal Flitsen』は、2000万ユーロという誘惑を退け、組織としての矜持を守り抜いたNECの決断を「財務的、組織的、そして感情的な収穫」と総括した。一人の日本人青年が引き起こしたこの熱狂は、今夏、さらなる巨大なうねりとなってNECを飲み込もうとしている。

文●下村正幸

【動画】AZ戦で決めた佐野の芸術的なミドルシュート
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配信元: THE DIGEST

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