
「僕が10点取っていたら絶対に使われている」ボルシアMGで町野修斗が直面するシビアな現実。スタメン奪取へ「続けてやっていくしかない」【現地発】
近年は2020-21シーズンでの8位の後、二桁順位が続いているドイツの古豪ボルシアMG。日本代表FW町野修斗が加入した今季はさらなる苦境に直面し、23年夏からチームを率いていたジェラルド・セオアネ監督が、開幕直後の昨年9月に解任された。
その後、U-23を率いていたホイゲン・ポランスキ監督がチームを引き継いだものの、終盤戦の現在も降格争いから脱することができていない。3月21日のケルン戦も、勝ち切れないシーズンを象徴するかのような厳しい展開を強いられたのだ。
開始30秒でイェンス・カストロップが先制点をゲット。幸先の良いスタートを切ったが、その3分後と6分後に立て続けに失点。1-2と試合をひっくり返された。
それでもボルシアMGは攻撃姿勢を鮮明にし、フィリップ・ザンダーが得点。2-2に追いついた。そして60分にはカストロップの豪快ミドル弾が飛び出し、3-2とリード。このまま試合を終えられれば理想的だった。
けれども、84分に同点弾を献上。そのまま3-3でタイムアップの瞬間を迎えることになった。ケルンと勝点1を分け合う形になり、チーム全体が重苦しいムードに包まれたのだ。
ベンチスタートだった町野が指揮官に呼ばれたのは、3-3になった直後の88分。その少し前に相手に退場者が出ていて、数的優位の状況下でのプレーとなった。
「僕は得点が必要な時に使われるんで、3-3になった時間が遅かった分、出るのも遅くなったと思います」と本人は難しさを覚えながらも、ピッチ上では勝利への貪欲さを強く押し出していた。
まずロングスローで見せ場を作ると、アディショナルタイムにはハイボールを競り勝ち、ハリス・タバコビッチの決定機につながりそうなチャンスを演出した。が、結果的には自身のシュートはゼロで、チームも勝てず。消化不良感が色濃く残ったに違いない。
「勝点3が欲しかったですし、僕自身、メングラ(の選手)としてこのスタジアムでの試合は初めてだったので、もう少し出たかったのが本音。出たらやれるというイメージを持っていたので、本当に悔しかったです」と偽らざる思いを口にした。
ケルン戦の起用を見ても分かる通り、最近の町野はタバコビッチの控えに甘んじている。もちろん2シャドーの位置でもプレーできるが、そこにもスピードと打開力のあるフランク・オノラというライバルがいる。彼らを越えない限り、背番号18がスタメンを掴むのは難しい。それが現状なのである。
「僕は3枚(3トップ)の時は、どこでもできるというイメージを持っているんですけど、今は監督からは1トップのところで考えられているのかなと。最近はゲームを変えるであったり、締めにいく役割の方が多いので、もどかしいところもありますけど、頑張ってやっています。
監督が求めている1トップは、タバコビッチみたいなガシっとしたタイプ。僕もそういうところをもうちょっと見せないといけない。起点になるところは示せているとは思いますし、続けてやっていくしかないですね」と、本人は短時間出場が続く現状をしっかりと受け止め、地道に前進していく構えだ。
2023年夏から2シーズン過ごしたキール時代は、マルセル・ラップ監督から全幅の信頼を寄せられ、どんな状況でも確実に起用された町野。ブンデス2部だった23-24シーズンは31試合出場で5ゴール、1部に昇格した24-25シーズンは32試合出場で11ゴールと、その数字は指揮官の積極起用によるところも大きかった。
しかしながら、ボルシアMGではそういう立ち位置を掴めていない。シーズン序盤の監督交代が1つのターニングポイントになったのは事実だが、このチームに来てから彼自身の良さをうまく出せていないのも確かだろう。
2026年の13試合に限って言うと、フル出場したのは1月25日のシュツットガルト戦のみ。その後はすべて後半からのプレーにとどまっている。今回のケルン戦のように10分以下のプレー時間しか得られていないゲームは4試合で、このまま足踏み状態が続くと、2026年北中米ワールドカップ行きにも暗雲が立ち込めないとも限らない。それだけに本人の危機感も強まっているはずだ。
「やっぱり監督が求めているものが足りないんじゃないですか。攻守の切り替えのところは誰よりもやるのは今、強く意識していますけど、やっぱり今季は3点しか取れていないし、アシストもしていない。僕が10点取っていたら絶対に使われているんで、数字の面は大きいと思います」と、自身を客観視しつつ、目に見える数字を残せるような動きや連係を確立していこうとしている。
これだけ厳しい状況が続くと、心が折れてしまってもおかしくない。けれども、町野は持ち前の明るさを失わないように精神面を整えているようだ。
「僕自身、陽気なキャラというか、仲間がキツい時でもエネルギーを与える立場だと思っていて、監督もそういう意味でベンチに置いておきたいのかなと思います。
良い時でも悪い時でも、練習で毎日やっていることが出ると思ってるんで、自分はもう26(歳)ですし、自制心を保ちながら何とかやっています」と、ドイツ3シーズン目でメンタルコントロール術も体得した様子だ。
こうして苦しみながらも、模索を続けている町野。ここから日本代表の活動に参加し、4月頭には再びボルシアMGに戻ることになるが、W杯が開幕する6月まで、彼のキャリアにとって極めて重要な時期。何としても復調のきっかけを掴まなければならない。
周りと密に意思疎通ができる日本代表でのプレー機会は、自身のゴール感覚や攻撃センスを取り戻す絶好のチャンス。これを活かして、シーズン最終盤の爆発につなげていくことが肝要だ。
26試合終了時点で勝点28の12位という難しい位置にいるボルシアMGの救世主となるべく、町野にはもう一皮むけてほしいところ。今がまさに正念場だ。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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