
「声をかけていれば…」ヒースロー空港で遭遇した“アーセナル主力”への後悔
ロンドン到着2日目の3月23日、キングス・クロスに滞在してから1日も経たないうちにグラスゴーへ。日本代表の練習を取材するために移動を開始した。
23日の3時過ぎ、キングス・クロスのアパートメントを出発。約1時間後にヒースロー空港へ着き、しばらく待機した。海外取材で何より堪えるのは、やはり移動だ。ロシア・ワールドカップを現地取材した際も日本代表の勝利以上に移動の過酷さのほうが強く記憶に残っている。
人は良い出来事よりも、悪い思い出のほうを鮮明に記憶してしまう。これは心理学でも知られている現象だ。
そんなことを考えながら同行のカメラマンと搭乗ゲートへ向かっていた時だった。カメラマンが“アーセナル主力”との遭遇に「あっ」と声をあげる。前方に目をやると、イタリア代表のリッカルド・カラフィオーリが歩いていた。
背番号33のジャージを身にまとい、颯爽と歩く姿はひときわ目を引く。おそらく代表戦に向けてチームに合流するのだろう。
いち早く気づいたカメラマンは熱心なアーセナル・ファン。その場でサインを頼もうとするが、「(昨日)カラバオカップ決勝でマンチェスター・シティに敗れたばかりですからね。やめておきます」と断念した。
確かにカラフィオーリの表情は冴えないように映っていたので、声をかけない決断は間違っていないように思えた。しかし、その判断が間違いだったと気づくことになる──。
ヒースロー空港からグラスゴーに到着したあと、カメラマンはぽつりと漏らした。
「さっき、サインをもらわなかったことを後悔しています」
悪い記憶ほど強く刻まれる。あの時、声をかけていれば──。そんな後悔が今回の遠征で増えないことを願いたい。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)
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