
恋愛において「ライバル」の存在は、しばしば強い感情を呼び起こします。
特に、自分のパートナーに近づく人物が現れたとき、私たちはどんな相手により強い嫉妬を感じるのでしょうか。
この素朴な疑問に対し、顔の特徴という意外な要因から答えを導いた研究が報告されました。
英ストラスクライド大学(University of Strathclyde)の研究チームは、女性を対象に、恋のライバルの「顔の女性らしさ」が嫉妬の強さにどのように影響するかを調査。
その結果、女性たちは「より女性的な顔立ちのライバル」に対して、より強い嫉妬を感じる傾向があることが明らかになったのです。
「女性的な顔」とは、具体的にどんな特徴を指すのでしょうか?
研究の詳細は2025年12月17日付で学術誌『Scientific Reports』に掲載されています。
目次
- 女性らしい顔ほど「恋の脅威」になるのか?
- 「加工なしの顔」でも嫉妬は変わるのか?
女性らしい顔ほど「恋の脅威」になるのか?
研究で注目されたのは「顔の女性らしさ」です。
これは、大きな目、ふっくらした唇、小さめの顎、眉の位置が高い、滑らかな輪郭など、典型的に女性的とされる特徴の強さを指します。
こうした顔立ちは、一般に「魅力的」「若々しい」「健康的」といった印象と結びつくことが知られています。
進化心理学では、このような特徴を持つ人物は「配偶者価値(mate value)」が高いと見なされ、恋愛関係において強力なライバルになりやすいと考えられています。
つまり、人は無意識のうちに「この相手は自分のパートナーを奪う可能性が高い」と判断し、その結果として嫉妬が強まる可能性があるのです。
これまでの研究でも、女性的な顔のライバルがより強い嫉妬を引き起こすことは示唆されていました。
しかし、その多くはコンピュータで加工された顔画像を使ったものであり、現実の人間関係を反映していないという問題がありました。
そこで今回の研究では、より現実に近い条件でこの仮説が成立するかが検証されました。
「加工なしの顔」でも嫉妬は変わるのか?
研究では、イギリス在住の異性愛女性51名とレズビアン女性49名が参加しました。
参加者には、無表情の白人女性の顔写真50枚(いずれも加工していない自然な画像)が提示されます。
そして、「この人物があなたの恋人に言い寄っていると想像してください」と指示され、そのときに感じる嫉妬の強さを7段階で評価させました。
さらに、顔の女性らしさは2つの方法で測定されました。
1つは顔の形状を数値化する客観的な手法、もう1つは別の参加者による主観評価です。
その結果、どちらの測定方法でも同じ傾向が確認されました。
つまり、女性的な顔立ちの人物ほど、より強い嫉妬を引き起こしたのです。
この傾向は異性愛女性で特に顕著に見られました。
一方、レズビアン女性でも同様の傾向は確認されましたが、その強さは有意に弱いものでした。
研究者たちはこの違いについて、恋愛における「魅力の基準」の違いが影響している可能性を指摘しています。
異性愛男性は一般的に女性的な特徴を好む傾向が強いため、女性的な顔のライバルは一貫して脅威となります。
一方、女性同士の恋愛では魅力の好みがより多様であるため、女性的な顔が必ずしも最大の脅威になるとは限らないと考えられます。
嫉妬は「理性的な危機察知」かもしれない
今回の研究が示しているのは、嫉妬という感情が単なる感情的反応ではなく、ある種の「合理的な判断」に基づいている可能性です。
私たちは、相手の外見から無意識に「競争相手としての強さ」を評価し、それに応じて感情を調整しているのかもしれません。
特に「女性らしい顔」というシンプルな特徴が、恋愛のリスク評価に関わっているという点は興味深いものです。
今回の研究は、「どんな恋のライバルに女性は最も警戒するのか」という問いに対し、顔の特徴という具体的な手がかりを示した点で重要です。
恋愛における嫉妬は避けがたい感情ですが、その裏側には、私たちの進化の歴史に根ざした精巧な判断メカニズムが働いているのかもしれません。
また、同様の研究の男性バージョンの実施が待たれるところです。
参考文献
Women experience greater jealousy when their romantic rivals have highly feminine faces
https://www.psypost.org/women-experience-greater-jealousy-when-their-romantic-rivals-have-highly-feminine-faces/
元論文
Facial femininity of potential rivals predicts jealousy in both heterosexual and lesbian women
https://doi.org/10.1038/s41598-025-27643-0
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

