今年2月に開催された男子テニスツアー「オクシタニー・オープン」(フランス・モンペリエ/室内ハードコート/ATP250)で背中のケガから約半年ぶりにカムバックし、順調な復帰ロードを歩んでいる世界ランキング31位のアルテュール・フィス(フランス)の新たなヘアスタイルに注目が集まっている。
フィスの今の髪型は、髪を地肌に沿って細かく三つ編みに編み込んだ「コーンロウ」。見た目のインパクトが強く、欧米のバスケットボール選手やヒップホップアーティストなどの間で人気を誇るスタイルで、名前はトウモロコシの列(corn+row)のように見えることに由来している。
だが変わったのは髪型だけではない。復帰後のフィスは、プレー面でも元々定評のあった粘り強さが向上している印象だ。先月の「カタール・オープン」(ATP500)では決勝で現王者カルロス・アルカラス(スペイン)に敗れるも見事準優勝。続く「BNPパリバ・オープン」(ATP1000)でも8強入りし、復活を強く印象付けた。
さらに第28シードで参戦した開催中の「マイアミ・オープン」(3月17日~29日/アメリカ/ハード/ATP1000)でも快進撃を演じている。ワイルドカード(主催者推薦)のダーウィン・ブランチ(アメリカ/現272位)、元3位のステファノス・チチパス(ギリシャ/現51位)、トップ25のバレンティン・バチェロット(モナコ/同25位)を破ると、現地25日に実施されたトミー・ポール(アメリカ/現23位)との準々決勝では、6-7(3)、7-6(4)、7-6(6)と全セットでタイブレークにもつれた2時間47分の激闘を制し、四大大会に次ぐグレードのマスターズ1000大会で初のベスト4進出を果たした。
ファイナルセットのタイブレークで2-6と4本のマッチポイントを握られながら大逆転勝利を収めたフィスはポール戦後、米テニス専門チャンネル『Tennis Channel』のインタビューに回答。その中で今回のイメージチェンジについて触れ、あるバスケットボール界のスーパースターからインスピレーションを得たものだと明かした。
その人物とは、身長183cmと比較的小柄ながら、最高峰のNBAで華々しい活躍を遂げたアレン・アイバーソン(アメリカ/現50歳)。2000–01シーズンにはフィラデルフィア76ersをNBAファイナルに導き、最優秀選手賞(MVP)も獲得。さらに4度の得点王や11度のオールスター出場など、数々の輝かしい功績を残した伝説的スコアラーでもある。
父親が元バスケ選手で、自身も無類のバスケ好きとして知られるフィスは、インタビューで「テニス界にはアルカラスや(ヤニック・)シナー(イタリア/現2位)、(ノバク・)ジョコビッチ(セルビア/同4位)のようなトップ選手がいて、それぞれが独自のスタイルを持っている。その中で僕は何か“違うもの”を持ち込みたかった」と説明。そこで、コーンロウがトレードマークだったアイバーソンの大胆かつ個性的なイメージを取り入れることにしたのだという。
父には『髪型を気にするよりもテニスに集中しろ』と言われたけど、せっかくの大舞台だし、自分ならではのスタイルを楽しむことも大事だと思った」と笑顔を見せた21歳。ここまで来たからには、キャリア最大のタイトル獲得も期待せずにはいられない。
文●中村光佑
【動画】フィスが激闘を制してベスト4進出を果たした「マイアミ・オープン」準々決勝ハイライト
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