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伏黒 恵役・内田雄馬は僕の「先生」で、レジィ・スターは「結局、いい人」 声優・青山 穣の「呪術廻戦」分析&収録秘話が面白い

伏黒 恵役・内田雄馬は僕の「先生」で、レジィ・スターは「結局、いい人」 声優・青山 穣の「呪術廻戦」分析&収録秘話が面白い

TVアニメ「呪術廻戦」にてレジィ・スター役を務める青山 穣にインタビューを実施
TVアニメ「呪術廻戦」にてレジィ・スター役を務める青山 穣にインタビューを実施 / (C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

TVアニメ「呪術廻戦」第3期「死滅回游 前編」(ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・TVer・Leminoほかにて配信)でレシートを身にまとう謎の男、レジィ・スターを演じる青山 穣は、この狡猾で功利的なヴィランに意外な印象を抱いていた――。バトル相手である伏黒 恵役・内田雄馬との収録裏話、不吉な予言を遺して逝った名シーン秘話、そして自身の高校演劇“回游”まで……心底気さくでお話好き&芝居好きな彼の、教養に裏打ちされたノンストップトークをお楽しみあれ。

■レジィ絶命のBGMが、あの「瀕死の白鳥」だと気づいて感激

――以前から「呪術廻戦」という作品をご存知でしたか? その印象は?

はい、娘が単行本を持っていて。宣伝もあちこちで見かけました。「死滅回游 前編」冒頭の、高層ビル群を破壊して繰り広げられる歪な呪霊とのバトルなんて、19世紀産業革命以降の科学文明の発達と、混在しつつも相容れない人間性を鮮やかに対比しているなと…。

――レジィ・スターというキャラクターについての理解を教えてください。

大前提として“過去の術師”だから、現代社会とは距離を置いているんだろうなと。だって彼は受肉して戻ってきたわけでしょう。仲間への扱いからドライで冷たく見えるけど、死は自分も経験したようなよくある事象の1つ、大したことじゃないという感覚で、自分のことも駒の1つだと思っていたんじゃないかな? そういう、他人や時代との距離感みたいなものを、セリフの中で大事に表現したつもりです。
TVアニメ「呪術廻戦」第3期「死滅回游 前編」第57話より
TVアニメ「呪術廻戦」第3期「死滅回游 前編」第57話より / (C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会


――第58話(第3期第11話・3/19放送)で描かれた散り際が鮮烈でした。

ね。僕は(御所園翔太)監督に感謝したいんだけど、仕上がりを見たら、レジィが息絶えるシーンのBGMに、カミーユ・サン=サーンス先生の「白鳥」が流れたんですよ。あの伝説的なミハイル・フォーキンの振り付けで有名なバレエ「瀕死の白鳥」の…。あぁ、監督はレジィを白鳥だと思ってくれたんだ、このあっさりとした死に、“生きようと必死にもがきながら、やがて息絶える白鳥”をオーバーラップさせてくれていた。「監督、やってくれたな!」と、ものすごく感激しました。

でも僕は…だからこそ面白いんだけど、あっさり逝っちゃう彼に、最初からそのつもりで受肉したんじゃないかとすら思って演じていて。本気であって本気じゃないみたいな好奇心、無執着からくる余裕を感じていたんだ。少し、羂索(CV.櫻井孝宏)と似ていたかもしれないね。
TVアニメ「呪術廻戦」第3期「死滅回游 前編」第58話より
TVアニメ「呪術廻戦」第3期「死滅回游 前編」第58話より / (C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会


■今際のレジィの“不吉な予言”は、伏黒への親近感の表れ!?

しかも彼は最期、伏黒(CV.内田雄馬)にポイントをあげてから逝くじゃない? だから、結局は“いい人”だと思うんだよ。どんなに嘯いていても、それだけが本心とは限らないでしょう。自分とよく似た戦い方をする伏黒に、結局は親近感やシンパシーを抱いたんじゃないかな。

――「オマエは運命に翻弄され 道化となって死んでくれよ」と、不吉な予言を遺しましたが…でも確かに“無執着で、自分も駒”なら成立しますね。レジィが身近にいたらどうですか?

いや、俺は嫌だね!(笑) 何か頼んだら「お、いいよ!」とか言って、再契象(契約内容の再現)の術式で出してくれるなら友達にいてもいいけど…。

―― (笑)。そんなレジィとご自身の共通点など、演じる上で手がかりとした“核”は?

敢えて言うなら、物事を引いたところから見る部分は似ているかもしれない。特にお芝居では、役の感情になっているけど、同時に脇からそれを見ている自分も少なからず存在しているからね。その感覚は、受肉した過去の術師としての俯瞰と近いものがある気がします。
TVアニメ「呪術廻戦」第3期「死滅回游 前編」第58話より
TVアニメ「呪術廻戦」第3期「死滅回游 前編」第58話より / (C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会


――逆に共感できないところは。

うん、俺は人は殺さないな…!? 包丁もあんなに飛ばさないよ! 「死滅回游」に巻き込まれたくないから、術式も持ちたくない。普通が一番だよ。あと、なかなか真似できないレジィの格好は、昔「週刊少年ジャンプ」で連載していた永井豪先生の「ハレンチ学園」に出てくる、パラソル先生みたいだと思っていました(笑)。

■伏黒 恵役・内田雄馬は、ベテラン・青山 穣の呪術の「先生」!?

――アフレコ現場はいかがでしたか?

もしかしたら僕が一番騒がしかったんじゃないかな? というくらい、スタジオ内が静かでびっくりしましたね。といっても、レジィと伏黒だけの場面が多かったから、内田さんと2人での収録がほとんどだったんですけど。

彼はずっと「呪術廻戦」に出ているから、やっぱり術式のこととかすごく詳しいんだよね! バトル中の駆け引きの意味や術式の仕組みなど、もちろん僕も勉強していったけど、突っ込まれるとうまく説明できないようなレベルまで、手取り足取り教えてくれて…彼は、大変親切なナイスガイ! もう、先生と生徒みたいになっていました(笑)。

ある回では、天元役でナレーションも務められている榊󠄀原良子さんの抜き録り(オンリー)を、内田さんと一緒に別室で見させてもらったことも。彼女の熱量に、2人で「すごいね…」とか言い合いながら現場の空気を楽しんでいました。

――アクションのスピードが速いことも特徴的ですね。

そう、大変だった! あれは速い。内田さんに聞いたら、この作品では(アクションに声を)入れない場合が多いらしいんですけど、でもレジィはキャラクター的に…モノローグも多い人だし、過去の人間として、伏黒との戦いを楽しんでいると表現したくて、むしろ他の作品より多く入れてみたんですよね。次の手をパッパッパッと打っていくものすごい頭脳戦だし、楽しそうな息とか笑いを、指示されないところでも敢えて入れさせてもらいました。
TVアニメ「呪術廻戦」第3期「死滅回游 前編」第57話より
TVアニメ「呪術廻戦」第3期「死滅回游 前編」第57話より / (C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会


■フレキシブルな収録対応で「死ぬまで一気に」演じられた

――この作品は、アバン(OP前)、Aパート、Bパートの分け方や構成も芸術的ですよね。通常、アニメはパートごとに一気に収録しますが、この番組ならではのご苦労などは。

そういえば…レジィが死ぬのは第58話のCM明け、Bパートの頭なんだけど、えびなさんと、一緒に収録する内田さんにお願いして、特別にAパートとくっつけて収録させてもらいました。一旦切ってからあらためて死ぬより、一気にやった方が、やっぱり“入る”から。

――逆にさらに長く通されたんですね…! 他に、個人的に推したいシーンは?

やっぱり、高羽史彦(鶴岡 聡)が出てきて、伏黒とレジィが困っていた場面でしょう(笑)。どんだけ続くんだっていうあのシュールな時間、もう一生忘れない!!

――(笑)。この作品、全編を通して緩急が尋常じゃないですよね。

そうなんだよ! うん、アレは面白いなと。特にあのシーンは監督の独特のセンスだね。
TVアニメ「呪術廻戦」第3期「死滅回游 前編」第57話より
TVアニメ「呪術廻戦」第3期「死滅回游 前編」第57話より / (C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会


■人生を“回游”して、今あらためて「高校演劇」が面白い!

――レジィは右腕に「不退転」という入れ墨がありますが、青山さんご自身が人生や仕事で大切にしている信念や、熱を感じて修行を続けていることは?

結局芝居のことになっちゃうけど、僕ね、この年になって高校演劇をまた好きになって、よく全国を回って観ているんです、1日7本とか。僕らの時代の高校演劇と基本的に変わっていないんだけど、あらためて観ると、本当に大したもんだよ。宝塚歌劇団みたいなのも、昔の不条理劇みたいなのもある。こんな尖った作風でよく勝ち上がってきたなって学校も、ザ・高校演劇っぽい教室に起こる事件で勝負する学校もある。磨けば光るんじゃないかっていう面白い役者もいるし、すごく刺激になっています。

――お子さんがいらっしゃると、学生時代を追体験できていいですね。

そう、楽しいんだよね! 高校演劇を観る機会なんて二度とないと思っていたけど、一周回ってから観てみると勉強になる。あの時代って大事だよね…原点、還るべき場所、すべての始まり…そういう熱を最近になって見出しています。

――といって懐古主義ではなく、人生のピークを更新している感じですね。

肉体も含めると一概に言うのは難しいけど、今これをまた味わえているということは、確かに更新しているのかも。ある意味、こうやって「呪術廻戦」に出させてもらってインタビューを受けている今この瞬間だってきっと人生のピークですし(笑)。高校演劇時代輝いていたな、でも大学行って演劇やったときも、その後小劇場やった頃も楽しかったし、ロンドンに演劇留学したときも、帰国後に歌舞伎座で働いていたときも面白かったですからね。

――すばらしいです。最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

作家性の高い「呪術廻戦」という作品に出会えて、いろいろな方とお仕事できて、その中でこのレジィ・スターっていうちょっと派手な…すぐ退場してしまうんだけど(笑)、引っかかりのあるキャラクターを演じられて大変ありがたく、楽しかったです。レジィ亡き後も、いろいろな視点や見方で、幾重にもお楽しみください!

※高羽史彦の「高」は、正式にははしごだか

◆取材・文=坂戸希和美
TVアニメ「呪術廻戦」第3期「死滅回游 前編」第58話より
TVアニメ「呪術廻戦」第3期「死滅回游 前編」第58話より / (C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会


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