3月29日、今年最初の芝GⅠ高松宮記念(中京・芝1200m)が行なわれる。
今回は前年の1~3着馬であるサトノレーヴ(牡7歳/美浦・堀宣行厩舎)、ナムラクレア(牝7歳/栗東・長谷川浩大厩舎)、ママコチャ(牝7歳/栗東・池江泰寿厩舎)が揃って参戦。昨秋のスプリンターズステークス(GⅠ、中山・芝1200m)の上位馬、1着のウインカーネリアン(牡9歳/美浦・鹿戸雄一厩舎)、2着のジューンブレア(牝5歳/栗東・武英智厩舎)も顔を揃えた(本レースの3着はナムラクレア、4着はサトノレーヴ)。現在のスプリント路線を担う一線級が勢揃いした、充実のメンバー構成となった。
今回悩まされるのは、前述の馬たちのなかで、5歳のジューンブレア以外は7歳以上のベテランであるという点だ。調教はもちろん、休養の取り方などで旧来よりも高齢まで活躍できるようになった現在ではあるが、それでも年下からの突き上げ、世代交代のムーブは意識せざるを得ない。今回はそうした要素も鑑みながら評価していきたい。
まず評価を下げたいのは、サトノレーヴとウインカーネリアンの2頭である。サトノレーヴは昨年、高松宮記念を制したのちに、香港と英国のG1レースで連続2着したものの、帰国後のスプリンターズステークスで伸びを欠いて4着に敗退。続く香港スプリント(G1、シャティン・芝1200m)では勝ったカーインライジングに約8馬身の差を付けられる9着に完敗した。勝ち馬の強さを考慮しても、これは負けすぎの印象が強く、立て直しの手腕に長けた堀厩舎の所属馬であっても高くは評価できない。“ヒモ”までに抑えておきたい。
ウインカーネリアンはスプリンターズステークスで単勝11番人気という低評価を覆して悲願のGⅠ制覇を成し遂げた。しかしこのレースは前半3ハロンが33秒7、後半3ハロンが33秒2という典型的な前残りの競馬。それを2番手で追走した本馬に展開が味方したのは間違いないだろう。その後の香港スプリントでは本馬も11着に大敗しており、9歳という年齢も含めて巻き返しは難しいと見て無印としたい。
ベテラン勢で高く評価したいのは牝馬の2頭、ナムラクレアとママコチャだ。高松宮記念を3年連続2着、スプリンターズステークスを3年連続3着としているナムラクレアは今回がラストラン。直線で必ず差してくる安定の走りに衰えはなく、昨年末の阪神カップ(GⅡ、阪神・芝1400m)でも中団から鋭く伸びて勝ったルガルにハナ差の2着として流石の底力を見せた。詰めの甘さが解消されたわけではなく、またやや不利な13番枠に入ったことも割引が必要だが、安定感を買って対抗評価としたい。 スローペースに泣いたスプリンターズステークスを6着としたあと、JBCスプリント(JpnⅠ、船橋・ダート1000m)で2着に巻き返したママコチャ。今年の始動戦となったオーシャンステークス(GⅢ、中山・芝1200m)は4着に敗れたものの、勝ち馬とは0秒1の僅差まで詰め寄って衰えがないところを証明した。ママコチャもナムラクレアと同様に、GⅠとなると詰めの甘さが気になるが、必ず持てる力を目一杯発揮するコンスタントな走りは健在で、低く見積もっても単穴評価は必要だろう。
では本命はどの馬とするか。本稿では世代交代のタイミングだと見て、昨年のNHKマイルカップ(GⅠ、東京・芝1600m)の覇者、パンジャタワー(牡4歳/栗東・橋口慎介厩舎)を抜てきする。
マイルGⅠの勝利があるがゆえにマイラーのイメージで捉えられがちだが、パンジャタワーの1200m実績は2戦2勝。そのうち1勝は昨夏のキーンランドカップ(GⅢ、札幌)で記録したもの。父が2019年のスプリンターズステークス覇者のタワーオブロンドンという血統も、それを裏書きしている。橋口調教師は記者会見で、「距離は1200mがベストだと思う。デビューしたときからそう思っていたし、去年のキーンランドカップを勝ったときもかなり強い競馬をしてくれたので、あれで核心に変わった感じです」とコメントし、パンジャタワーのスプリント適性を高く評価している。前2走はいずれも海外で5着といまひとつの結果だったが、仕切り直しの一戦でまだ伸びしろがある4歳馬の成長力を見せてくれるはずだ。
その他、押さえたい馬は揃って外枠に入ってしまったが、芝1200mの実績が〔4・3・0・0〕のジューンブレア、オーシャンステークスでハイペースを利して差し込んだペアポルックス(牡5歳/栗東・梅田智之厩舎)とレイピア(牡4歳/栗東・中竹和也厩舎)をピックアップ。そして、同じ舞台で行われたCBC賞(GⅢ)の勝ち鞍があり、ブリンカーを初装着して臨むインビンシブルパパ(牡5歳/美浦・伊藤大士厩舎)を穴馬としてマークしておきたい。
文●三好達彦
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