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「何十年経ってもアニソンが好きだと感じてもらえたら」“歌って戦う”作品の裏側を制作陣が語る<プリンセッション・オーケストラ>

「何十年経ってもアニソンが好きだと感じてもらえたら」“歌って戦う”作品の裏側を制作陣が語る<プリンセッション・オーケストラ>

アニメ「プリンセッション・オーケストラ」の企画原案・金子彰史とプロデューサー・諏訪豊にインタビューを実施。
アニメ「プリンセッション・オーケストラ」の企画原案・金子彰史とプロデューサー・諏訪豊にインタビューを実施。 / (C)Project PRINCESS-SESSION


キングレコード、アリア・エンターテインメント、タカラトミーによるTVアニメプロジェクト「プリンセッション・オーケストラ」が2025年4月より放送中(毎週日曜あさ9:00〜9:30、テレビ東京ほか/ABEMA・TVerほかで配信)。本作では、女の子のみが訪れることができる不思議の国「アリスピア」を舞台に、プリンセスとなったヒロインたちの戦いやドラマが描かれている。作品もクライマックスを迎えようとしている今、WEBザテレビジョンでは、企画原案を務める金子彰史とプロデューサーの諏訪豊にインタビューを実施。制作がスタートしたきっかけや、作品に対するこだわりについて話を伺った。

■「子どもだけでなく、大人が見ても楽しめる作品」“全人類向け”を掲げる作品へのこだわり

――まずは、おふたりがどのような業務に携わっているのか教えてください。

金子彰史(以下、金子):自分は企画原案という立場であり、「プリンセッション・オーケストラ」(以下、「プリオケ」)の発起人となります。ロマンチックな言い方をすると夢を描くのが仕事です。プロジェクトの先頭で旗を振り、描いた夢の形がブレないように努めています。

諏訪豊(以下、諏訪):僕はプロデューサーという立場で、皆さんからいただいた夢に対し、「どこのアニメスタジオで制作するのか」といった作品を実現するための調整を主に担当しています。また、レーベルのディレクターも務めておりますので、音楽プロデューサーの菊田大介さんや、Elements Gardenさんと一緒に、音楽展開についても関わらせていただきました。

――「プリオケ」の企画は、どのように生まれたのでしょうか?

金子:「戦姫絶唱シンフォギア」でお付き合いのあったキングレコードさんから、別タイトルについての相談を受けたのですが、その時の流れで派生したのが「プリオケ」の前身となります。立ち上がり自体はとても順調でしたが、その後の一年半ほどは、脚本担当とふたりっきりで部屋にこもり、地味で地道な時間を過ごしていました。

諏訪:そうですね。企画自体は金子さんと逢空(万太)さん(シリーズ構成・脚本)が作られていて、いざ具体的にやっていこうという段階で僕が入らせていただきました。キングレコードでも日曜あさ帯のアニメを手掛けるのは初めてのチャレンジというところで「ぜひやらせてほしいです」と、立候補させていただいたんです。

それからは「どの監督、どのスタジオでやっていくか」という話や、タカラトミーさんをはじめ、ビジネスパートナーとなる各社様にお声がけさせていただいたりして、少しずつ形にしながら現在に至ります。
「プリンセッション・オーケストラ」より
「プリンセッション・オーケストラ」より / (C)Project PRINCESS-SESSION


――“全人類向け”としてスタートした「プリオケ」ですが、やはりメインターゲットは子どもになってくると思います。企画当初から、このような方向性でスタートしているのでしょうか?

金子:もちろん小さなお子さんも視聴対象と考えていますが、全人類向け作品を標榜している以上、その親御さんも対象ですし、これまで自分の主戦場であった深夜アニメの視聴者も意識しています。年齢だけでなく性別にもとくに制限は設けていません。そうした考えが念頭にありますので、必然的に王道作品を目指すことになりました。

ただ、あまり欲張りなレンジの取り方だと薄味になってしまいがちなので、「子ども向けではあるけれど、子ども騙しでは終わらない」という指針を立てることで企画としての強度を保っています。天邪鬼な自分なので、「シンフォギア」のノウハウは活かしつつも、また違った切り口の作品となるのが理想形でした。
「プリンセッション・オーケストラ」より
「プリンセッション・オーケストラ」より / (C)Project PRINCESS-SESSION


「プリンセッション・オーケストラ」より
「プリンセッション・オーケストラ」より / (C)Project PRINCESS-SESSION

■「純粋な悪役は1人もいない」日曜あさアニメだからこその意識

――「プリオケ」の制作にあたり、意識していたことは?

金子:どこか一方向にだけ尖った作風にはしないこと。それで小さくまとまったり、当たり障りのない無味無臭の内容にはしないこと。どちらも別ベクトルの思想ではありますが、その両立は不可欠だと考えていました。そのためにも自分が子どもの頃に見ていたアニメや特撮のテイストを思い出すように努めました。子ども時代に感じた楽しさを、今の自分なりにアップデートしたかったのです。

あとは、企画の立案が「シンフォギア」のテレビシリーズが終了した直後だったので、「シンフォギア」ではできなかったことにも挑戦してみたいという思いもありましたね。
「プリンセッション・オーケストラ」より
「プリンセッション・オーケストラ」より / (C)Project PRINCESS-SESSION


――「『シンフォギア』ではできなかったこと」について、具体的に伺いたいです。

金子:次回の話を早く見たいという欲求を掻き立てる為、「シンフォギア」では「刺激」というスパイスをふんだんに振りかけたつもりですが、「プリオケ」ではそうした欲求を掻き立てる為に異なる方法を取り入れています。それは「安定感」です。

リテラシーの未成熟な年齢層もターゲットなので、敵と味方はわかりやすく分類し、身内のぶつかり合いは極力避けることで、安心して見続けられるという「シンフォギア」とは真逆の方法を採用しています。筆の巧みな逢空さんがいてこそできた試みです。その結果、敵として立ちはだかる存在はいるんですけど、純粋悪や絶対悪は1人もいない物語にもなっています。

――なぜ、“純粋な悪役”を設定していないのでしょうか?

金子:別視点での善、異なる正義の激突が一貫した対立構造だからです。それでも終局に純粋悪を出して盛り上げるのもひとつのやり方ですが、「プリオケ」は一年かけて物語を深掘りができる猶予がありますので、「善でも悪でもない別の何か」を最後に立ちはだかる壁として設定されています。異なるからこそ激突する正義であり、たとえ異なっていても正義である以上、きっと手を取り合える……そんなクライマックスを逢空さんは描き切ってくれました。
「プリンセッション・オーケストラ」より
「プリンセッション・オーケストラ」より / (C)Project PRINCESS-SESSION


――また「シンフォギア」と「プリオケ」では、ストーリーの分量にかなり差がありますよね。

金子:「プリオケ」は、大河ドラマのように骨太な内容に挑戦できる反面、自分のような飽きっぽい人間には、見続けるだけでかなりの負担を強いてしまいます。そこで概ね全体が1クール×4となるように意識しました。子どもの頃に熱中した特撮作品に「仮面の忍者 赤影」というのがあるんですけど、そのテンポ感のある構成を参考にしたいと逢空さんにも伝えました。新たな展開、新たな謎が物語を牽引してほしいという狙いです。まさか「プリオケ」と同時期に、令和版「赤影」が放送されるとは思ってもみませんでしたが(笑)。

―― “歌って戦う”ところも「プリオケ」の大きな特徴だと思います。

金子:特徴とはいえ、歌いながらのアクションは、毎回オープニングアニメを作るようなもので、現場には大変な苦労をかけています。また、物語と音楽が密接に絡み合うため、関係する各所の調整やディレクションが想像以上に難しかったりします。それでもどうにかやれているのは、弊社アリア・エンターテインメントが音楽制作会社であり、所属する複数の作曲家たちが脚本や演出に対して臨機応変に対応してくれるからなんです。

「シンフォギア」も「プリオケ」も、このアドバンテージと今日までのノウハウのおかげで成り立っています。

諏訪:全楽曲をElements Gardenが手がける作品ということで、アニソンはまさにキングレコードの得意分野でもありますし、楽曲についても結果的に「自分たちの胸を熱くしてくれた格好良いアニソン」という構成で目線を合わせていました。
「プリンセッション・オーケストラ」より
「プリンセッション・オーケストラ」より / (C)Project PRINCESS-SESSION


「プリンセッション・オーケストラ」より
「プリンセッション・オーケストラ」より / (C)Project PRINCESS-SESSION

■作品を彩る“膨大な楽曲数” キャラを魅力的に見せるための秘訣とは

――他のアニメとは違う「プリオケ」の面白さはなんだと思いますか?

金子:「プリオケ」は、「すごく歪だけど、奇跡的にまとまっている作品」だと思っていて。というのも、スタッフ全員が自分たちの力を120パーセント出すために大暴れしているんですよ。大暴れしつつも結果的にはすごくまとまっているし、その点は他の作品では見られない「プリオケ」ならではの魅力だと実感しています。

諏訪:僕はやはり楽曲数だと……! アレンジバージョンも含めて全部50曲ほどをElements Gardenの皆さんには制作していただきました。加えて、毎話同じパートを歌っているわけではなく、シチュエーションによって楽曲の構成や歌っている箇所が変化しています。なので、作中で歌唱シーンがない話は2話くらいしかないんじゃないかというくらい歌が非常に沢山出てくる作品であり、歌っている=戦っているということが最大の特徴でもありますので、アクションも大きな魅力だと思っております。

ちなみに、劇伴もElements Gardenの皆様で制作されており、80曲くらいありますので、本当に途方もないカロリーで取り組んでいただいております。こんなに歌を聴けるアニメ作品って他には存在しないのではないかと思いますので、他のアニメとの大きな違いだと感じています。

――これだけの楽曲を制作することは、最初から決まっていたのでしょうか?

諏訪:最初はそこまでの数を想定していなくて。制作を進めていく中で「ここで新曲が聴けたら素敵だよね」という話からどんどん増えていき、最終的に今の楽曲数になりました。本当にどんどんでした。

特に4クール目で流れている楽曲については、最初から決まっていた曲はほとんどないんです。キャラクターを魅力的に見せるためのアプローチとして、このようにさせていただき、菊田大介さんを中心に、Elements Gardenの竹田祐介さん、笠井雄太さんにも人肌脱いでいただいた、という流れですね。
【写真】“全人類向け”としてスタートした「プリオケ」場面カット多数!
【写真】“全人類向け”としてスタートした「プリオケ」場面カット多数! / (C)Project PRINCESS-SESSION


――作品がクライマックスを迎えるということで、最後にファンの方へメッセージをお願いします。

諏訪:まずは1年間応援していただき、本当にありがとうございました。キングレコードとして、日曜のあさに放送する作品を手がけるのは初めてのチャレンジだったので、なんとか走りきることができたことをホッとしている気持ちと寂しく思う気持ちがあります。

僕も作品に携わってから5~6年の月日が経っているのですが、今回の作品だからこそ出会えたような親子のファンの方や、この作品でしか得られない経験をさせていただきました。その経験を活かして、多くの映像や楽曲を楽しんでいただけるようなことを今後考えたいと思っています。

金子:企画原案などと格式ばった肩書の自分ですが、紐解けばつまり、「プリオケ」の最古参ファンのひとりということです。今はこの1年間を駆け抜けられたという安堵感があり、それ以上に「プリオケ」が完結してしまう! という喪失感に苛まれています。

スタッフもキャストも、そして支えてくれる皆さんも最高だったからこその寂しさでいっぱいですが、だからこそ、次なる一歩を踏み出せるんじゃないかと期待もしています。1年間のお付き合い、ありがとうございました。楽しかったです。皆さんも同じ気持ちであれば、とても嬉しいです。

◆取材・文=渡辺美咲

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