
【セルジオ越後】スコットランド戦に価値はあったのか? “11人交代”に疑問、W杯の参考にならないよ。このレベルの相手には勝って当たり前だ
日本代表は3月29月にスコットランドとアウェーで対戦して1-0で勝利した。
結果だけを見れば良い勝ち方をしたように見えるかもしれない。でも、内容をよく見ていくと、いろいろと疑問が残る試合だった。
相手にもチャンスは間違いなくあったし、この試合のマン・オブ・ザ・マッチは点を取った選手じゃなくて、日本のゴールキーパー、鈴木。これはつまり、それだけ彼が止めなければいけない場面があったということ。
この試合にはコメントしにくい。その理由は日本が11人交代できるという特殊なルールで戦ったからだよ。
前半は、お互いが後ろでボールを回してにらみ合っているような、重い試合だった。そんななかで、今、世界ではブラジルとフランス、イングランドとウルグアイみたいに、ワールドカップに向けた真剣な強化試合をたくさんやっているんだ。
でも、日本だけが11人も選手を交代できるルールでやっている。こんなのはワールドカップの参考にはならないよね。せっかく国際試合をやるなら、本番と同じ5人交代というルールの中で、チームがどれだけ戦えるのか、監督がどういう采配をするのかを試すべきなんだ。
これじゃあ、まるでイベントだよ。選手は45分だけ全力で走ればいいんだから、ハイプレスもかかる。これはマラソンじゃなくて、駅伝みたいなもの。ほかの国はどこもこんなやり方をしていない。Jリーグのシーズン開幕前に30分×3本の練習試合をやるようなもので、世界のスタンダードとは違うんだよね。
後半から三笘や伊東が入って、圧倒的に流れが変わったように見えたかもしれない。でも、それにはカラクリがあるんだよ。
スコットランドは、前半にメインのチームを出して、後半は控えの選手たちに交代させてきた。ところが日本はその逆をやった。前半は経験の浅い選手も試しながら戦って、後半から主力を投入したんだ。相手が主力を下げて、こっちが主力を出したら、そりゃあ結果は出るよね。
ワールドカップ本番では、5人しか交代できない。限られた交代枠の中で、誰をどのタイミングで投入するかが勝負の鍵になる。そのシミュレーションが、この試合では全くできなかった。だから、内容を評価するのがすごく難しい。
この試合で誰が一番良かったかと聞かれたら、間違いなくゴールキーパーの鈴木だよね。だから彼は90分間、交代させられなかった。チームとして勝ちたかったから、彼だけは外せなかったということ。分かりやすい話だよ。
ほかの選手で、彼以上に目立った選手がいたかというと、そうではなかったかな。
そもそも、スコットランドというチームは、ランキングを見てもそんなに強い相手ではない。日本の選手が移籍すれば、みんなが得点王を狙えるようなリーグのレベルだからね。ドリブルで仕掛けてくるような選手もいないからプレスもかけやすいし、前線の選手にボールも収まらない。
ワールドカップで日本が入ったグループを考えると、このスコットランド戦は、どのチームのシミュレーションだったんだろうね。イングランドや、これからプレーオフを勝ち上がってくるであろう欧州の強豪国は、スコットランドよりずっと強いと思うよ。
結局、この試合に価値はあったのかというのが、正直な感想だね。
勝ったこと自体はいいけど、この内容でワールドカップを勝ち抜けるかというと、大きな「?」が残る。このレベルの相手には勝って当たり前だし、ベスト16以上には、こういうレベルのチームはもういないからね。ベスト16の壁を破るためには、もっと厳しい目で自分たちを分析しないといけない。
【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、80歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。
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