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日本代表の鍵はこの男か…ドイツで圧倒的存在感を放つ“攻守のダイナモ” 佐野海舟の進化が止まらない

日本代表の鍵はこの男か…ドイツで圧倒的存在感を放つ“攻守のダイナモ” 佐野海舟の進化が止まらない

ブンデスリーガのマインツで2シーズン目を過ごす佐野海舟の存在感は、試合を追うごとに増している。もはや単なる守備的MFという枠には収まらない。チームのバランスを保ちながら、攻守の流れをつなぐダイナモそのものだ。

 とりわけ今季途中にウルス・フィッシャー監督が就任すると、佐野はワンアンカーとして中盤の底を一人で支える役割を任されている。両脇の選手が前線に出ていく分、中央のスペース管理とカバーリングはすべて佐野に委ねられる。佐野一人がケアしなければならないタスクとエリアは、広範で多種多様。ひとりで担うタスクワークとそのクオリティは、ブンデスリーガ全体で見てもトップレベルに属する。

 佐野の特徴といえば、思い切りのいいアプローチによるボール奪取と、勢いそのままにボールを運んでいくプレー。ただフィッシャー監督の戦術だと、あまり前に出てボールにアプローチしてしまうと、ケアすべきエリアを空けてしまう。
 「ダブルボランチの時は後ろに落ちたり前に行ったりできましたけど、ワンアンカーで両脇が前に行くタイプだと、自分が前に行くのはなかなか難しいです。真ん中を空けてしまうのが一番良くないと思うので、そこは意識しています。ビルドアップでディフェンスラインに落ちて関わりたい時もありますけど、落ちた時にその穴を埋めてくれる選手がいないこともあるので、バランスを見ながら、中央を空けないことを意識しています」

 本人がそう語るように、守備ラインの前で相手にチャンスの起点を作らせないことが重要になる。最初のころはまだいつ、どこで、どのように動くべきかを探りながらのプレーで、タスクをしっかりこなす方への意識が強かったように思われる。

 慣れてきたここ最近は、センターのスペースをバランスよくケアしながらも、危ない場面やチャンスになりそうな場面では、思い切りよく前に出たり、後ろに下がったりして、ボール奪取からチャンスメイクの頻度がグンと上がってきているのが特徴的だ。

 特に中盤の相棒でドイツ代表MFナディム・アミリが負傷離脱してからは、チャンスメイクへの取り組みで存在感を発揮している。

 フランクフルトとのダービー戦(3月22日)で、チームを2対1の勝利に導いたのは佐野の判断力と打開力だった。89分、中盤でボールを持った佐野が、相手がチェックに来ないのを見ると、ダイナミックなドリブルでペナルティエリア付近まで進出。粘りながらシルバン・ビドマーへボールを渡すと、そこからビックチャンスになり、最後はパウル・ネーベルが右足でゴールをねじ込んだ。
 「出ていける時は迫力を持って出ていくことと、でも最後の質の部分は自分の課題だと思っています。今日は得点につながりましたけど、ああいうところで、もう少し攻撃の機会を作れればいいと思います。ただ、ベースは守備だったりバランスを見るところだと思うので、そこは崩さずにやっていきたいです」
  こうしたプレーは、クラブレベルにとどまらず、日本代表においても重要なタスクになる。現代サッカーにおけるアンカーは、単なる守備者ではない。スペース管理、配球、そして前進のタイミング。そのすべてを高いレベルでこなせる選手がいるかどうかで、チームパフォーマンスが大きく左右されるほど。

 マインツで同じ中盤でプレーする川崎颯太は、「ああいう前に出てボールを奪うプレーはなかなかできない」と舌を巻く。実際、佐野の守備は単なる待ちの守備ではない。前方向への鋭い矢印を持ち、ボール奪取から即座に攻撃へとつなげる。その一連の流れは、チームに勢いをもたらす重要な要素となっている。

またビルドアップ時に相手のマンマークを受けることも増えてきている。そうした時に直接守備ラインからパスを受けるのではなく、中盤や前線の選手にあてたボールをもらい直すパターンを増やすことで、中盤のオーガナイズ力を高めようとしている点にも注目だ。

「ワンアンカーで両脇の2枚が前に行くタイプだと、自分が受けても距離感は課題になってくると思います。なるべく自分が直接的に関与するというより、周りが受けて、その後に自分がフリーになれる時もあります。直接的な関与ももっと増やしていかないといけないと思います」

「もっと怖がらずにボールを受けたい」と語るように、本人もビルドアップへの関与を課題として認識している。守備的役割に留まらない意識の高さが窺える。マインツで着実に成長しているプレーを、代表でも存分に発揮してもらいたい。

 3月の代表戦に向けては次のようにコメントを残している。

「(代表戦だと相手も)質の高い選手が多いチーム。個の部分も大事にしてますけど、チームとしてやるべきことをしっかり整理できればできると思うので、そこは一人ひとりが整理してやることが大事だと思います」

 マインツで磨かれている力が、日本代表にどのような安定と前進をもたらすのか。その価値が問われる舞台が、少しずつ目前に迫ってきている。

取材・文●中野吉之伴

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配信元: THE DIGEST

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