現地時間3月17日、元NBA選手のパトリック・ベバリー(元ヒューストン・ロケッツほか)が、自身のポッドキャスト番組『Pat Bev Show』を更新。クリス・ポール(元ロサンゼルス・クリッパーズほか)の引退や、今季のMVPレースなどについてトークを展開した。
そのなかでベバリーは、ロケッツ時代の同僚ジェームズ・ハーデン(現クリーブランド・キャバリアーズ)と、レジェンドの“D-Wade”ことドゥエイン・ウェイド(元マイアミ・ヒートほか)を比較。ハーデンの方が上だと断言した。
「俺はD-Wadeのことはリスペクトしている。ヤツは俺の仲間だ。だけど、いい選手について言うと、得点力があって、(ファウルを獲得して)フリースローラインに立てて、ピック&ロールからパスを捌ける選手のことなんだ。多くの選手たちがD-Wadeが繰り出すピック&ロールを警戒していた。わかるだろ?多くのヤツらが彼にそれを許していたのさ」
「じゃあD-Wadeにはクラッチ能力が備わっているか?その通りだ。D-Wadeがジェームズ・ハーデンよりもクラッチプレーを見せた時もあったか?確かにあった。でもな、ジェームズ・ハーデンの方がドゥエイン・ウェイドより優れている。みんなはD-Wadeが優勝したことを理由に混乱している。それは否定できないが、優勝はチームの功績なんだ。チームの賞なのさ。
で、俺は個人の話をしている。どっちがより優れた選手か、ってことだ。個人で見れば、ジェームズ・ハーデンを選ぶべきだ。アレン・アイバーソン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)やD-Wadeを貶めるつもりはないが、比較にならない。ジェームズ・ハーデンは、史上最高のスコアラーのひとりかもしれないんだぞ。俺たちは彼のことを称賛すべきだと思うね」
ウェイドとハーデンは、NBA史上で見ても有数の実績を残してきたスーパースターだ。ヒート3度の優勝すべてに主力として貢献し、2006年には球団初優勝の立役者になったウェイドは、超人的なクイックネスとガード離れした当たり負けない強靭な肉体を持ち、積極果敢に相手リングを強襲。
リム付近で繰り出す多彩なフィニッシュやミッドレンジジャンパーで得点を量産し、キャリア16シーズンで平均22.0点、4.7リバウンド、5.4アシスト、1.54スティールをマークした。 一方のハーデンは、ここ数年はトレードで移籍を繰り返し、今年2月には通算6チーム目となるキャブズへ加入。新チームで20試合に出場し、平均20.8点、5.4リバウンド、8.1アシストを記録しており、36歳のベテランになった今も一線級で活躍を続けている。
すると、ベバリーのポッドキャスト番組配信から約1週間が経過した27日、ウェイドも自身のポッドキャスト番組でこの話題について言及し、どこか呆れた表情を見せながらこう口にしていた。
「俺より上手くないくせに、なんで俺について語り、事実を述べることができるのか理解に苦しむね。パット・ベブが俺とジェームズ(ハーデン)について話したばかりだ。また俺とジェームズの話かよ」
「パットは断言していた。ジェームズ・ハーデンがドゥエイン・ウェイドより優れていると。アイツは非常に断定的な答えをした。それを知って俺は『パット、誰が優れていると言う根拠はどこにあるんだ?』って思ったね。
どうせなら、個人的に好きなプレースタイルはSYX(フットボールにおけるクォーターバック、オフェンスの中心選手)だと言えばいいじゃないか。バスケットボールで何ひとつ俺より優れていないくせに、誰かが俺より優れているなんて言うんじゃない。そんなことは許されない。
優れた選手について語る時というのは、バスケットボールのあらゆる側面について語るってことだ。俺がどれだけ多くの面で優れていたか、君(ホスト役)なら知っているだろう?」
ウェイドの全盛期が2000年代中盤から後半、ハーデンの全盛期をロケッツ時代後半とすると、どちらもリーグ最高級の選手だったことは間違いない。2006年にファイナルMVPを受賞したウェイドは、3度の優勝を果たした一方、スタッツリーダーになったのは2008-09シーズンの得点王のみ。
対するハーデンは、優勝経験こそないものの、2017-18シーズンにMVPを受賞。さらに、平均30点超えで得点王に3度、アシスト王に2度立ち、フリースロー成功数で6度、3ポイント成功数でも3度リーグトップになっている。 とはいえ、ウェイド対ハーデンの構図は、ピークの異なる2選手を比較することであり、史上最高の選手を意味する“GOAT(Greatest Of All Time)”を決めることが難しいように、満場一致で明確になるトピックとは言えない。
また、2012-13シーズンからNBA入りしたベバリーは、全盛期のウェイドとコート上でマッチアップしていない。
さらにこの男がロケッツでハーデンと共闘したのは2016-17シーズンまでで、得点王になった当時のハーデンと一緒に過ごしたわけでもない。しかし、元チームメイトということで、ハーデンへ個人的感情が入ってしまったようにも思える。
ただ、引退した選手たちがソーシャルメディアを通じて比較したり、口論するのは現代を象徴しているとも言える。もしかすると、今度はまた違う選手を引き合いに出して比較が展開されるかもしれない。
文●秋山裕之(フリーライター)
【画像】シャック、アイバーソン、コビー、レブロン、カリー、ヨキッチ…2000年以降のMVPを受賞当時の写真で一挙振り返り!

