
【バイタルエリアの仕事人】vol.62 古賀太陽|観る者を魅了するフットボールでチームは昨季2位。柏のタイトル獲得に必要なこと「ポゼッションが最大の武器だとして…」
攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第62回は、柏レイソルの古賀太陽だ。
柏のアカデミー育ちであるプロ10年目のDFは昨季、リカルド・ロドリゲス監督のもと、リーグ戦全38試合にフル出場して圧倒的なパフォーマンスを披露。その活躍が認められて、昨夏には6年ぶりにA代表に選出されただけでなく、自身初のJ1ベストイレブンにも選ばれた。
今季も開幕からここまで全試合に先発しているなか、チームはまさかの開幕3連敗とつまずき、第4節のFC東京戦(2-0)で今季初勝利を挙げた。まずは、そんな新シーズンについて語る。
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今季は開幕3連敗でスタートして、特に第3節のアウェーでの鹿島アントラーズ戦(0-2)を終えてからは、この状況を打開しなければいけないという気持ちをチームとしてより強く持っていました。
実際に次のFC東京とのゲームに向かう1週間はすごく高いモチベーションを保てていて、その気持ちがみんなのパフォーマンスに出ていたと思いますし、昨シーズン調子が良かった時の強度、スタンダードは出せました。まず1勝できてよかったという気持ちです。
開幕からつまずいてしまった原因は、本当にちょっとしたところだと感じています。チームの体制は、昨季から数人入れ替わったくらいですが、それでも少なからず変化はありました。また、細かいポジショニングや判断において、選手間のずれが去年の良かった時期に比べると少しあるような気がします。
怪我やコンディション不良による離脱者もいたり、自分たちの理想とする形で開幕からスタートできなかったりしたところもありますが、そういった意識の部分による影響は小さくないと思います。
昨季以上に相手に分析されているとも思うので、スキルアップしていかないと簡単には勝っていけません。基本的には去年からやってきたことの積み上げなので、トレーニングの内容をがらりと変えたり、大きな変化があったりしたわけではないですが、判断のスピードや質は、チームとしてこれまで以上に高めていかなければいけない。とにかくそのすり合わせをやり続けることに尽きます。
百年構想リーグは半年間しかないので、本当にあっという間に終わってしまいます。それこそ開幕からの連敗が引きずり続けていたら、勝点を積めずに終わると思いますし、悪い時期を継続させない、断ち切ることはすごく重要であり、修正力が問われます。PK戦が導入されているので、今までとは違う勝点の積み上げ方になりますし、勝点3の重要さはより感じています。
昨季、ロドリゲス監督が柏の指揮官に就任して、チームスタイルが一変。レイソルは堅守速攻型からポゼッション型へと生まれ変わった。観る者を魅了するフットボールで、昨季のJ1では優勝した鹿島アントラーズと勝点1差の2位でフィニッシュ。ルヴァンカップでも準優勝とタイトル獲得にあと一歩のところまで迫った。
柏の新たなスタイルに古賀は誇りとプライドを示す。戦い方を確立した昨季を経て、タイトル獲得のために必要なこと、より強いチームになるための気づきがあったという。
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僕としては、レイソルのアカデミー時代からやってきた慣れ親しんだポゼッションスタイルではあったので、戦術が大きく変わっても、悩みや、難しさはそんなに感じませんでした。ただ、リカルドの考え方にシフトチェンジして、これまで無意識に染みついていた守備的な形からより攻撃的に、攻守両面で優先順位を変えることを昨季の序盤は特に考えて、シーズンに入りました。
今のレイソルのスタイルは誰もがやろうとしてできるサッカーではないと思っています。だからこそ確立させたいですし、この戦い方で常に上位にいるようなクラブになっていきたいです。昨季を経て、自信には繋がりましたが、これを本当にスタンダードにしていかなければいけない気持ちが一層大きくなっています。
現代サッカーではインテンシティの部分が強調されがちですが、それありきの僕たちのスタイルだと思っています。チームの理想は、状況によってやり方を変えられるようになること。もちろんポゼッションサッカーで勝ち続けられるのが理想ではありますが、それ以外の戦い方も覚えていかなければ強いチームであり続けるのは難しいです。
僕たちにとって、ポゼッションが最大の武器だとして、それだけではなく、他のオプションや引き出しがどんどん増えていくことでより恐いチームになれると思います。
リカルドにはカウンターでも脅威を発揮できるようなチームでなければいけないと言われます。チームメートたちとも、例えばリードしている展開で、僕たちがボールをずっと保持し続けられたらいいですが、ブロックを敷いて守ったとしても、勝てればそれでもいい。ポゼッションだけに固執せず、考え方の柔軟さはあってもいいのではないかという会話もしています。
昨季のリーグ戦、勝点1差で優勝を逃したことから考えても、勝つことから逆算した上で何が最適解なのかを柔軟に考えられるようになることが、チャンピオンになるためには必要だと感じています。
昨季はまず、自分たちのスタイルを確立することからスタートしたシーズンでした。それを示せたからこそ、もう一段階上に行くためには、やっぱり勝つ集団でなければいけない。他の戦い方やスタイルを習得していかないといけない。そう思うのは昨季の悔しい経験があったからこそです。
リーグ優勝した鹿島を見た時、たとえ90分間を通して内容で相手に上回られていたとしても、最後には勝っている。彼らは重要なポイントを絶対に抑えていたり、ずる賢さもある。ボールを蹴って止めること以外にも、勝つことに徹することが今後は必要になってくるのかなって気がします。
綺麗なものだけでは難しいとも感じるので、とにかく勝つことから逆算して必要なものは何なのかをみんなが追及していけるとより強くなっていけると思います。
レイソルに新たなフットボールを持ち込んだスペイン人指揮官にはどんな印象を持っているのか。“戦術家”と称されることも少なくないロドリゲス監督の“モチベーター”的な魅力を語る。
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第一印象は戦術の部分というよりも、パッションというか熱量を持っている監督だなと思いました。
もちろん戦術の部分ではさまざまなオプションを提示してくれたり、それぞれの相手に対して何が有効なのかを明確に示してくれたりしています。それはなかなかできることではないし、リカルドの強みだと思っているのですが、選手たちが彼の言葉を信じられるのは、人間性を信頼しているからこそです。情熱的な部分がリカルドの魅力だと思います。
「試合に出ている11人だけが大事なわけではない。サブやメンバー外になってしまう選手も含めて全員が本当に大事だ」と言う言葉を常に強調しています。
ある時、良いパフォーマンスをしている選手がいて、「その選手をすごく使いたい気持ちがあるけど、みんなのレベルが高いから、その選手ですら使うことができない」と、みんなの前で涙ぐむ場面がありました。
去年、シーズンが終わってからのミーティングでも、「本当に全員に感謝している」という言葉はすごく伝えてくれていましたし、「みんながいなかったら、このような良い結果にはなってない。誰一人欠けてはいけなかった」と話していました。一人ひとりに対して向き合い、熱い気持ちを持っているところが彼の人間性を表しています。
※後編に続く。次回は3月31日に公開予定です。
取材・構成●中川翼(サッカーダイジェストWeb編集部)
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