
2026年に復刻されファンが注目している、『SDガンダム外伝』バーサルナイトガンダム「元祖SDガンダムワールド バーサルナイトガンダム」(BANDAI SPIRITS)。26年8月発売予定
【画像】「おい、まさか…」「世界観変わった(笑)」これが独自解釈で変身した『ワタル』龍神丸の姿です(4枚)
思いがけず「競い合う」関係に?
1980年代後半、低等身キャラクターが子供を中心にもてはやされ、通称「SDブーム」といわれる時期がありました。そのブームは、さまざまな方角に影響を及ぼします。
もともと「SD」とは、1985年6月にガシャポンで販売開始した「SD(スーパー・ディフォルメ)ガンダム」という商品が語源でした。本来は兵器であるMS(モビルスーツ)を、可愛らしく二頭身にディフォルメした商品です。
「ガンダム」という作品の対象年齢から考えると、子供だけを狙った商品ではなかったのですが、徐々に本来の視聴者層よりも低年齢層に受け入れられるものとなりました。それは、はからずも同じように低等身キャラでヒットしていく「別の商品」との相乗効果だったかもしれません。
それが一大ブームを巻き起こした「ビックリマンチョコ」です。1977年から販売されていたビックリマンチョコは1985年8月から、今では定番となった「悪魔VS天使シール」へとリニューアルされました。
このシリーズが徐々に売り上げを伸ばしていき、空前の大ヒットとなります。一方のSDガンダムも1988年6月から「カードダス」という自動販売機によるカード販売で、その人気に拍車をかけることとなりました。
ビックリマンは1987年10月からのアニメ化などで勢いを増していきましたが、公正取引委員会による勧告により、1988年11月に販売した第17弾以降はシールのレアリティを均等化することとなります。これがきっかけでブームに陰りが見え、やがて終息していきました。
もっとも、ここに至るまでビックリマンと同じ層を狙ったシール付き菓子はいくつか販売され、以降も「低等身キャラ」のブーム自体は続くことになります。そして入れ替わるように子供たちの心をとらえたアニメがありました。それが1988年4月から始まった『魔神英雄伝ワタル』です。

『魔神英雄伝ワタル』35周年記念商品として「龍神丸」を立体化した「METAL BUILD DRAGON SCALE 龍神丸(35th ANNIVERSARY EDITION)」(BANDAI SPIRITS) (C)サンライズ・R
競い合うことで玩具業界も発展?
『ワタル』はもともと『聖戦士ダンバイン』のような異世界ものとして企画されました。その後、ビックリマンのように「正方形に収まる形」という発想からデザインされたそうです。
こうして低等身キャラとして生まれた『ワタル』がヒットした要因はいくつかありました。しかし、あえて筆者が強調したいのは、組み立て式キット「プラクション」シリーズの存在です。
プラクションは380円という低価格帯から販売され、「塗装不要」「接着剤不要」「ワンタッチアクションギミック」という特徴がありました。なによりもラインナップが豊富で、ほぼ毎月複数の商品が店頭に並びます。
当時の小学生男児にはお小遣いで買える価格という点も魅力で、発売から数か月で玩具屋の主力人気商品となりました。その勢いは先行して人気だったSDガンダムにも大きな影響を与えます。
SDガンダムは1987年5月から「BB戦士」と呼ばれるブランドのプラモを販売していました。もともとはガンダマンやザックンなど、オリジナルキャラクターとして展開していましたが、1988年5月から映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の公開にあわせて登場MSの名前で販売するようになります。
そして1988年11月に「元祖SDガンダム」という新シリーズがリリースされました。このシリーズも塗装不要、接着剤不要、ワンタッチアクションギミックを特徴としており、明らかにプラクションへの対抗馬として誕生しています。
互いに切磋琢磨することで低等身キャラブームは長きにわたって続き、やがて現在のようにひとつのジャンルとして確立することになりました。複数の勢力が競い合うことで、業界全体を押し上げ、結果的に発展したケースといえるでしょう。
「SDガンダム」も「ビックリマン」も「ワタル」も、いくつもの世代に通じるようになったのは互いに競い合った結果ということかもしれません。
