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【DeNA】「1番・牧秀悟」の起用と9回バントの真髄――靍岡ベンチコーチが明かす新時代の戦略

【DeNA】「1番・牧秀悟」の起用と9回バントの真髄――靍岡ベンチコーチが明かす新時代の戦略

☆牧秀悟の1番起用のワケ

 3日間とも横浜ブルーに染まった横浜スタジアムでの開幕3連戦。結果は残念な3連敗となってしまったが、相川亮二新監督のカラー、ビジョンは垣間見えた。

 まずは牧秀悟の1番起用。開幕戦でいきなり初球をスタンドに運ぶ一打は、この3連戦でも一番の盛り上がりを見せる場面だった。3戦連続でマルチヒットをマークし、打線に火を付ける起爆剤の役目は果たした。だが相川監督はもうひとつのプランニングを思い描いていた。
 「なんとか下位が出塁して牧のところにつなげていくか。これは1年間のキーになるところです」

 リーグ屈指の強打者にランナーを溜めて回していけるか。かつての日本球界の主流であった“俊足強打”タイプの1番ではなく、チームが採用しているのはもっと合理的で攻撃的な考え方。

 参謀役の靍岡賢二郎ベンチコーチはその真意を明かす。

「基本的な思想はセイバーに基づいています。一番いい打者を1番に置いて、細かい話になりますが2番にはダブルプレーを回避できる足があればなおいいですし、4番は長打が打てる選手というようなところですね」

 打順が1つ上がれば、シーズンを通した打席数は確実に増える。チームで最も期待値の高い打者に、1回でも多くバットを振らせる。牧秀悟の1番起用にはシンプルな論理が存在する。

 一方でデータは絶対ではない。選手の“今”を見極め、それをミックスさせる柔軟性も重要になる。「打率も今はすごく上下動します。試合を重ねていくなかで、誰をどの位置に据えるのがベストか。常に柔軟に、その時々のベストを探っていかなければならないと思っています」とフレキシブルな視点を基本線とする。

「蝦名(達夫)などは、見ての通り、いい時に比べると状態自体はちょっと落ちているので、今は下がっています。ただ、状態が良ければ2番に入る可能性も十分ありますし、5番に入る力も元々持っている。現状の調子や試合での捉え方、練習での雰囲気など、あらゆる判断材料を加味して、今の位置に落ち着いているということです」 

 下位打線についても、意図はしっかりとしている。8番にはショートの林琢真と石上泰輝が3戦ともに入った。「8番に出塁を期待できる小技の効く選手を置き、9番のピッチャーに送らせる。そこから押し上げてトップの牧に回していく」という循環型の構造を意識している。この“どこからでも牧に繋ぐ”という意識こそが、今季の打線が持つ怖さの本質になる。☆ビハインドでの送りバントの意味

 打順論とともにファンの間で議論を呼んだのが、初戦での1点ビハインドの場面で見せたバント策。

「基本的なバントの思想として、得点確率が上がるのは無死二塁から1死三塁と、無死一、二塁から1死二、三塁になった時しか数字上では上がりません。非常に限定的なことを理解した上で、プラスどうやって攻めていくかは試合中の流れ、相手ピッチャーの出来などを組み合わせています。なので、ただ送っての同点狙いではなく、最低でも同点でそれ以上にあの下位で決めきるプランでした」
 
 アウトをひとつ献上して得点圏にランナーを進める。それは数字上ではベターではないことを承知のうえで取った策。「形として結果に繋がらなかったので、また作戦を練り直さなければなりませんが…」と責務は負う大前提は認めつつ、ベンチの狙いを語った。

「蝦名の調子が良ければ打たせることもありました。けれどもバントに踏み切ったのは、松尾(汐恩)が9番に入っていて、その前には代打を送ることも決まっていました」。7番に入っていたピッチャーに度会隆輝を、その前全て三振を喫していた石上には九鬼隆平で勝負するプランは織り込み済み。さらに相手投手は日本初登板のキハダ。俊足ランナーがセカンドに進めば、外野も前に出る。間を抜けば長打の期待値も上がり、ひとりでも出塁できれば松尾に回り、さらには1番には牧がいる。

「天候も悪かったですし、初めてっていうところでアップアップしてたところもあるので、得点圏に行けばまた力も入ると思いますし、いろんなバランス、状況を考えた中での作戦でした」

 勝てば官軍の世界。だがデータという「盾」を持ちながら、現場の状況に応じた「矛」を振るう新体制の意志が、そこには存在した。

取材・文●萩原孝弘
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配信元: THE DIGEST

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