久保建英が2か月以上の戦線離脱を経て、いよいよピッチに帰ってくる。
彼を欠いた間、レアル・ソシエダは快進撃を披露した。コパ・デル・レイでは決勝進出を果たし、ラ・リーガでも前節のビジャレアル戦(1-3)こそ落としたものの、欧州カップ戦の出場権を十分に狙えるポジションまで順位を浮上させている。久保不在の影響は最小限に抑えられたようにも見える。
しかし、そうした結果の安定が、すべての問題を覆い隠しているわけではない。現地メディアの視線はよりシビアだ。地元紙『noticias de Gipuzkoa』のミケル・レカルデ記者は、代役として期待されたウェズレイについて、「実戦で戦うための最適なレベルにはないことを露呈してしまっている」と断じている。
また、バルセロナに本拠を置くスポーツ紙『Mundo Deportivo』も、久保の離脱によって生じた空白について、「右サイドでクボに匹敵するインパクトを見せた選手は皆無だった。唯一、一定のパフォーマンスを見せたのはゴンサロ・ゲデスだったが、彼の本領が発揮されるのはあくまで左サイドだ」と指摘している
一方、怪我から復帰したアンデル・バレネチェアは本来の状態を取り戻せておらず、さらに本職ではない右サイドでの起用には制約を感じさせた。パブロ・マリンも健闘は見せたが、久保の次元には及ばない。「結論は明白だ。ラ・レアルは、右サイドにおいてクボだけが提供できる独自のリソースを、切実に必要としていたのである」と同記者は続けた。
ペッレグリーノ・マタラッツォ監督の志向するフットボールにおいて、ウイングは極めて重要な役割を担う。指揮官が求めるのは、単なる縦への突破力ではない。内側に入り込んでプレーを解釈し、インサイドのレーンに顔を出して攻撃に連続性をもたらせるインテリジェンスだ。
この戦術的変化について、バレネチェアは正直な胸の内を明かしている。「マタラッツォ監督の戦術には、まだ少し適応できていない。これまでのスタイルと異なるから、不意を突かれたというか、オフサイドを食らったような気分だったんだ」と語った。
その点、久保はよりハイブリットなウイングといえる。1対1の個の力に加え、狭いスペースでの俊敏性と試合を読む力を兼ね備えているからこそ、外に張って幅を取る動きと、内側へ絞る動きを自在に使い分けられるのだ。
『Mundo Deporitvo』はその点を鑑みて、「クボは日本代表でも、右サイドからスタートして中央へと進入し、得意の左足を活かして攻撃のタクトを振るう動きは習熟している。ウイングに対し、フィニッシュだけでなく組み立ての局面への関与も求めるマタラッツォ監督の要求と完璧にリンクしている」と強調している。
最大のターゲットは、言うまでもなくアトレティコ・マドリーと激突するコパ決勝(4月18日)だ。現地メディアは、久保がその前のラ・リーガのレバンテ戦とアラベス戦で試合勘とコンディションを取り戻し、大一番にピークを合わせるという青写真を描いている。
シーズンが佳境に入る中、ソシエダにこれ以上ない頼もしいピースが戻ってきた。『Mundo Deportivo』のホルヘ・セラーノ記者は、その期待感を次のような言葉で締めくくっている。
「クボの復帰。それは、すべてをあるべき場所に収めることを意味する。彼がチームに戻ることで、ソシエダは単なる一人の選手を取り戻すのではない。一つのアイディアを取り戻すのだ。攻め方、ピッチの使い方、そして相手に脅威を与える感覚。シーズンが細かなディテールと個の力によって決するまさにこの瞬間に、彼は帰ってきた。いつだって、彼はそうしてきたのだ」
文●下村正幸
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