女子テニスで元世界ランキング2位のパウラ・バドサ(スペイン/現113位)が、長らく自身を苦しめているケガの真相と、過酷な闘いの日々について口を開いた。
2021年に「BNPパリバ・オープン」(アメリカ・インディアンウェルズ)で優勝し、一躍トッププレーヤーの仲間入りを果たしたバドサ。しかし近年は度重なる故障に悩まされてきた。23年は背中の負傷によりシーズン途中で離脱し、ランキングも一時トップ100圏外へ後退。それでも復帰後は再び順位を上げ、25年の「全豪オープン」ではベスト4に進出するなど復活の兆しを見せていた。
だが、その歩みは再び止められることになる。現在開催中の「チャールストン・オープン」(アメリカ)を前にしたメディアデーで、28歳のバドサは、不調の原因が従来指摘されていた背中ではなく、右股関節の関節唇損傷であることを明かした。
「みんな知らないんです。多くの人が背中のことを聞いてきますし、それも今まさに対処している問題ではありますが、少なくともコントロールはできています。今の問題はそこではありません。昨年は2月頃から、特にウインブルドン後は大腰筋が腱に触れる状態でした。そして最終的に関節唇を断裂しました。全てはつながっているのですが、この状態で戦うのは本当に難しいです」
こうしたコンディションの不安定さは、プレー面だけでなく精神面にも影響を及ぼしている。
「朝起きて、『今日は試合に出ないといけないの? どうやってやればいいんだろう』と思う日もあります。試合に集中できないほど、色々な考えが頭に浮かんできて、それがとてもストレスになっています」
背景にあるのは、複数の要因が絡み合う故障だ。昨季は右の大腰筋の違和感から腱への影響を経て関節唇損傷へと悪化。連鎖的なトラブルがプレーの継続を難しくしてきた。
しかも、本人が全豪後はキャリアでも最高レベルに近かったと振り返るだけに、打撃は大きい。
「もう一度戦う力が自分にあるのか、わかりませんでした。ケガからゼロの状態で復帰する大変さはわかっているし、それは時に山のように感じられるものです。自分が目指すレベルに戻るのは簡単ではありません。あの時の自分の状態を見るのは本当につらかったですし、色々なことが一度に重なって、簡単な状況ではありませんでした」
現在は手術を選択せず、注射による痛みの管理を続けながらツアーに復帰しているものの、状態は日によって大きく変動する。今季は7勝8敗と本来の力を発揮できていないが、幼なじみでコーチのポル・トレド氏の支えや、瞑想と日記といった習慣を通じて、心身のバランスを保とうとしている。
時には引退が頭をよぎることもあるというが、それを上回るのがテニスへの情熱だ。
「私は今もこのスポーツをとても愛しています。強い情熱も持っています。試合に臨むたびにそれを実感しますし、どこでプレーしても鳥肌が立つんです。あの瞬間が本当に好きで、コートの上では自分を表現できる。心から楽しめています」
先行きは不透明だが、コートに立つ理由は揺らがない。復活を期す元世界2位は、チャールストンOPの初戦を快勝で突破した。葛藤を抱えながらも前進を続けている。
構成●スマッシュ編集部
【画像】ボールがつぶれ、フェイスがたわむ! バドサをはじめ、トッププロのスーパーインパクト集/Vol.2
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