F1アストンマーティンは2026年シーズン序盤、深刻な不振に苦しんでいる。そんな中、チームにパワーユニット(PU)のワークス供給をしているホンダの母国グランプリである第3戦日本GPでようやく“最低限”の成果を手にした。
鈴鹿サーキットでの週末、フェルナンド・アロンソが今季初めて完走を果たし18位でフィニッシュ。ランス・ストロールはリタイアに終わったものの、改善の兆しを見せる走りを披露した。F1チームとしては小さな前進に過ぎず、「完走」という結果をピックアップされること自体が、ここまでの苦境を象徴している。
アロンソの完走について、各国のメディアはどのように反応しているのか。
英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、「これは苦境にある新パートナーシップにとっての小さな慰めに過ぎない」として、その意義は極めて限定的だと指摘。次のように詳述した。
「信頼性対策は機能した。しかし祝うような雰囲気ではない。アロンソは周回遅れの18位で、キャデラック(17位のセルジオ・ペレス)から30秒も遅れた。『AMR26』は動きが重く、高速コーナーで弱いマシンであると露呈してしまった。チーフ・トラックサイドオフィサーのマイク・クラックによる『非常に長いリストのうちのひとつにチェックを入れただけ』という言葉が象徴するように、改善への道のりは依然として遠い」
国際的な自動車専門誌『CAR and DRIVER』のスペイン版は、この結果を「最も基本的な目標の達成」として位置付けた。「アストンマーティンは日本GPに、ただチェッカーフラッグを見ることだけを目標に臨んだ」と報じ、シーズンここまでの状況がいかに深刻だったかを強調する。
この週末の前には、問題解決への期待もあったが「それは実現しなかった。PUはプレシーズンテストやオーストラリアGPの時と同じもので、配置の変更程度しか行なわれていない」と、抜本的な改善が無かった現実を指摘。振動問題についても、「原因を特定できていないのか、あるいは簡単に解決できないのか……。どちらにせよ、楽観視できる状況ではない」と不安を示した。
レース自体の評価も厳しく、「良いニュースといえば、チェッカーフラッグを見られたことだけだ。それが最初の一歩だが、あくまで最低限に過ぎない」と記述。「アロンソのファステストラップは1分36秒221で、連勝したキミ・アントネッリ(メルセデス)より約4秒遅かった」と、データ面からも現状の競争力の低さが端的に示されたことを指摘し「マシンは特別に不安定だったわけではなく、単に遅いだけだ」と、問題の根深さを窺わせた。
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【画像】F1日本GP決勝前に “謎のおかっぱ制服集団”が披露した超絶パフォーマンス! スペインのスポーツ紙『MARCA』は、ホンダ側の視点からこのレースを捉えている。シーズン序盤の惨状と、批判の中で迎えた鈴鹿について、同メディアは「ホンダにとって、このレースは極めて重要だった。2026年の壊滅的なスタートと批判の中で、状況を立て直しつつあると示したかったからだ」と説明。「日本(ホンダ)の幹部たちが見守る中で、何より重要なのは“名誉”だった」と、その背景を説明した。
その中で得られた“完走”という結果は、関係者にとっては特別な意味を持っている。ホンダ・レーシング(HRC)渡辺康治社長の「これほどレース完走を望んだことはなかった。正直、ほっとしている」とのコメントを紹介し、チーム全体がまずはゴールを目指す姿勢で臨んでいたと明かした。
またレース前のミーティングで、渡辺社長が「今日は何としても完走することに集中しようと、クラックと話した」と話し、チームとしての方向性を共有していたという。さらなる印象的なエピソードとして、アロンソが渡辺社長に日本語で「ガンバッテ!」と声をかけたとも紹介。困難な状況の中で、チーム一丸となって臨んだ様子が窺えた。
さらに、「グリッドでは、チームオーナーのローレンス・ストロールと渡辺社長が握手を交わした。これを両者の過去の意見の相違を水に流す“平和のジェスチャー”と見る向きもあったが、クラックはそれを『そこまで大きな意味があるわけではない』と見ている」と同メディア。期待と慎重な見方が交錯している。
進歩は見せている。だが大きなマイナスからのスタートで、いまだ全く戦闘力のないマシンでドライバーに心身両面で苦痛に満ちた走行を強いている状況はいつまで続くのか。中東2連戦の中止によって生じた1カ月間のインターバルで、アストンマーティンがライバルとの差を縮められるか、注目だ。
構成●THE DIGEST編集部
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