まさに「ハチャメチャ」としか言いようがない「迷演説」だった。ほかでもない、アメリカのトランプ大統領が4月2日午前10時(日本時間)から20分間、ホワイトハウスで行った、アメリカ国民向けの「重要演説」である。
「我々はわずか数週間で、戦史に類を見ない壊滅的な打撃を与えたのだ。イランの海軍は消滅し、空軍は廃墟と化した」
演説の冒頭、トランプ大統領はイランに対する「壮絶な怒り作戦」の成果について、こう自画自賛してみせた。
さらに「作戦はイランの核開発を阻止するためだった」とも語って、イラン戦争の正当性をアピール。
しかし、である。アメリカ国民のみならず、全世界が固唾を飲んで注目していたのは「エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡はどうなってしまうのか」「誰が、いつ、どのようにしてイラン戦争を終わらせるのか」という切実な問題だった。
事実上の封鎖が続いているペルシャ湾のホルムズ海峡について、トランプ大統領は、実にノーテンキな希望的観測を口にした。
「この紛争が終われば、海峡は自然に開放される。ガソリン価格も急速に下がる」
そして次のように、シレッと責任転嫁してみせたのである。
「ホルムズ海峡を通じて石油を受け取っている世界中の国々は(自ら)海峡に行って石油を奪い、守り、自国のために使え。(アメリカは)イランを実質的に破壊した。難しい部分は完了したのだから、簡単なはずだ」
要は「アメリカはこの問題から手を引く。あとはテメーらでなんとかしろ」という「丸投げトンズラ宣言」である。誰も頼んでいないのに勝手に戦争を仕掛け、自分がここまでメチャクチャにしておきながら、その尻拭いは他国に押しつける。本当に「簡単」なら、アメリカがやればいいだけの話だ。
ベトナム戦争を持ち出してとんでもないことを…
さらに世界をアキレさせたのが、イラン戦争の今後に関する発言だった。
「我々は間もなく、全ての軍事目標を達成する。2~3週間以内に極めて強烈な打撃を与える。イランを石器時代に戻してやる! それが本来あるべき姿なのだ。(それでも抵抗を続けるなら)イランの発電所を徹底的に破壊する」
それだけではない。演説の終盤では第1次世界大戦や第2次世界大戦、さらにはイラク戦争までを例に引きながら、こう口走った。
「ベトナム戦争は18年間、続いた」
イラン戦争がベトナム戦争のように長期化、泥沼化した場合、アメリカもまた想像を絶する打撃を被ることになる。まさにハチャメチャの極みではないか。
正気の沙汰ではないトランプ大統領が臆面もなく繰り返した支離滅裂の大放言によって、イラン戦争はいよいよ出口の全く見えないカオス状態に突入していく。世界はこの男のせいで、大迷惑だ。
(石森巌/ジャーナリスト)

