
TVアニメと原作連載終了から10年という節目を飾る『劇場版「暗殺教室」みんなの時間』が、3月20日に劇場公開初日を迎えた。これを記念して、東京・新宿バルト9にて初日舞台挨拶が開催され、声優の福山潤、渕上舞、岡本信彦、洲崎綾、逢坂良太が登壇した。
■キャスト陣が10年ぶりに集結 お馴染みのポーズも披露
万雷の拍手に迎えられてステージに登場した殺せんせー役の福山は「皆さん、今日はよく観ていただきました!」とファンに呼びかけ、「この10周年の記念すべきプロジェクトで、こうやって皆さんの前に舞台あいさつで登壇させていただけること、本当に嬉しく思います。やっぱり、思いが溢れてくるというか。そういったものを語りきれるか分からないですが、皆さん一緒に楽しい時間を過ごしましょう」と喜びを口にした。
続いて潮田渚役の渕上が両手を広げながら「潮田渚、そして蛍を演じた渕上舞だよ!」とお馴染みのポーズを披露し、「せんせーカラーである黄色を身にまとってごあいさつに参りました。この場では何から語ろうかと、頭の中がものすごくグルグルしていますが、みんなで楽しく作品のことを語り合いながら魅力をお伝えできれば」と挨拶した。
すると赤羽業役の岡本も渕上のポーズを真似て「赤羽業を演じた岡本信彦だよ!」と続き、「マイマイ(渕上)の後はこうなっちゃうんですよ。この流れはよくイベントでもやってましたよね」と笑顔を見せた。茅野カエデ役の洲崎、磯貝悠馬役の逢坂らも次々とこのポーズを披露し、先に挨拶を終えていた福山が「いつも俺だけできない」と寂しそうな表情を浮かべると、会場は大きな笑いに包まれた。
岡本が「この5人で登壇するのもめちゃくちゃ久しぶりなんですよ」と明かし、洲崎も「今日は同窓会なんで、皆さんと一緒にお祭りみたいに、一緒に楽しくトークができれば」と呼びかけた。逢坂は「皆さん、観ていただいたと思うんですが、僕そんなに出てなかったでしょ?」とぶっちゃけて会場の爆笑をさらいつつ、「セリフ数的にはそんなにないんですけど、映像の作り方で、自分もちゃんと出ている感じがして。僕らも見ていて感動しました」と完成した作品への想いを語った。

■予測不能の“10年越しの答え合わせ”
イベント中盤では、公式Xで事前にファンから募集した質問にキャストが答える企画が実施された。
「劇場版が決まった時はどう思った?」という質問に対し、洲崎は「最初に聞いた時は10年後の世界線の話をやるのかと思った。アニメが7年後とかで終わったので、10年後……何歳?32歳?33歳?」と発言。すかさず「25歳だね」という訂正の声が上がり、福山からも「あんなに教えたのに……」とツッコミが入る場面もあった。逢坂は「いつ聞いたのか記憶がないんですけど……」と振り返り、「劇場版をやりますって話だけ聞いて。そのまま台本をもらうまで何も聞いてなかったんで。台本が来て、『あ、当時のやつを振り返るんだ』と思ったら……(磯貝が)全然出てない」と再び笑いを誘いながらも、「卒業前にみんなが思い出を振り返るストーリーだったので。それが余計にエモいなと思いました」と感慨深げに語った。
また、教壇に立つファンからの「福山さんは、どんなことを心がけて一人一人のクラスの声優のみなさんと接してきたのか」という真剣な質問に対し、福山は当時の心境を述懐した。「テレビシリーズが始まった頃は、共演者のひとりという感じで出発したんですけど、やっぱり1クール、2クールと進んでいくと、だんだん大人組、若い組、教師組、生徒組みたいな感じで分かれていって。実際みんなを生徒と思っていたというわけではないんですけど。でも実際、役を通してやっていく中で、みんなとフラットに、均等に接していきたい、という感じはあった」と語った。

■福山潤の深い“殺せんせー論”にキャスト感銘
さらに「昨日も(TVアニメ再放送の)オンエアがありましたが、最後、みんなの出席をとっていくところまで含めて、自分の中で、殺せんせーがどういう風にみんなと接していくのか、最初から分かっていたわけではありませんでした。でもみんなと一緒にE組の教室を作っていくうちに、誰かが一人だけ特別だというわけではなくて、みんなが等しく特別なんだと。均等に接することがフラットなのではなく、特別なのに均等になる、ということがあり得るんだなと。それがこの『暗殺教室』を通して感じさせてもらったこと」と熱弁。「だから『平等にしよう』という意識って、自分の思いを抑えつけてフラットにしようということに置き換えてしまいがちなんですけど、特別なものは特別なもので構わなくて。それぞれスペシャルなものを、自分と同じスペシャルなカテゴリーに入れられた時に、みんなを平等に見れるのではないかな、というのが僕が殺せんせーを演じてる時に感じたことですね」と真摯に答えた。
これには洲崎も「私の学生時代の先生よりいいこと言うなと思って。響きましたね」としみじみ。岡本も「福山さんって、1言ったら100返してくれるんですよ。例えば芝居で悩んだ時も、いろんな要素も全部含めて答えてくれて。それって多分、『お前はその中でどれを選ぶか』というような、余白の部分も残してくれてる感じがして。だからこそ答え自体が、一個の正解というよりも、(自分を)伸ばそうとして、そういう芝居の話をしてくれてたんだろうなという気がします」と福山の現場での姿勢を称賛した。
そこに逢坂が「優しさだけじゃないですよね。ちゃんと厳しさもくれるからね」と続けると、岡本は「厳しさしかなかったですよ!福山さんは昔、尖りまくっていたから」と冗談めかして暴露。「尖りまくってたは違うからね!?」と抗議する福山に対し、岡本が「『暗殺教室』で出会った時は、殺せんせーのように丸くなっていましたけどね」と上手くまとめ、会場を大いに沸かせた。
渕上からは「でも可愛らしいところもあるんですよ」とフォローも。「福山さんは当時から『あそこのシーンはこういう風にお芝居をした方がいいんじゃないかな』っていろいろと教えてくれるわけですよ。それで『あ、そうなんですね、分かりました、やってみます』と言って本番でやってみたら『舞ちゃん、テストでやった方がよかったな』ってことがよくある。その時に『ごめんね、ごめんね』って言ってくれるかわいいところがあるんです」と明かすと、福山自身も「その時に『俺です!俺が余計なことを言いました!』って言います」と振り返り、キャスト間の厚い信頼関係をうかがわせた。

■色あせない「暗殺教室」への想い
舞台挨拶の終盤、最後のコメントを求められた福山は「昨日のテレビ放送を観た方いらっしゃいますか?」と会場に問いかけ、多くの手が挙がるのを見て笑顔を見せた。「10年たって、あらためて皆さんに、また思い出してもらえる、新しく観てもらえることになって。そんなに経ったのかとか、懐かしいとか、いろいろな思いがあると思うんですが、この10年という素敵な時間がすごく良い作用をしていると思うんです」と語りかけた。
そして、「やはりいい思い出というものは、一生懸命だったこと、辛いこと、いいこととあって。その時に感じたことが時間と共に昇華されていくんだと思います。この『暗殺教室』という物語が完結してから10年たった今でも、こうやって色あせない物語として、皆さんにお届けできたこと。心から幸せを感じております」と胸中を吐露。「ですから、この『暗殺教室』を通して、良かったこと、楽しかったこと、そういった想いで、大切なお友だちの皆さまと繋がることができる一歩になればとても嬉しいです。僕らが話したことも、重箱の隅をつつくといろんなネタが出てくるので。何度でも楽しんでいただけたら幸いです」と締めくくり、10年ぶりの同窓会はこの日一番の温かな拍手の中で幕を閉じた。


