先の衆議院選挙で自民党は316議席を獲得した。単独政党で3分の2を確保したのは戦後初のことと話題となった。この歴史的大勝を引き寄せたのが、ユーチューブなどのSNSに公開された動画の拡散力だ。「高市1強」に一石を投じる政治家は現れるのか─。「バズる政治家」10傑を独自に選出した。
政治情報サイト「選挙ドットコム」の調査によると、今年2月に行われた衆院選挙の期間中、ユーチューブに投稿された選挙関連動画約9万本の総再生回数は約28億回。前回24年の衆院選の10倍に上る。
もはや国政において、どぶ板戦術は過去の遺物になり、SNS戦略が当落を左右する。そして先の衆院選でバズりまくったのが高市早苗総理だ。公示前に党のユーチューブの公式チャンネルに「日本列島を、強く豊かに。」と題したメッセージ動画を公開したところ、再生回数は投開票日までに1億6000万回を突破した。
「再生回数には広告として流れた回数もカウントされることから、野党からは『いったいどれだけの広告費を投じたのか』と疑問視する声も。しかし、実際には純粋に高市見たさの視聴者が数字を押し上げたと見られています」(政治部記者)
対照的だったのは、昨年10月まで自民党総裁の座にあった石破茂前総理(69)だ。総理時代の「演説動画」をチェックしても、1万回を超えているのはマレで、ネット上の集客力が選挙での集票力に直結していることを裏づける結果となった。
一方、演説シーンにしろ、国会での論戦にしろ、時には1時間以上に及ぶ長尺の動画をすべてチェックするのはなかなか難儀だ。そこで鍵を握るのが、決定的なシーンだけを抽出し、刺激的なテロップを添えて、ショート動画として世に送り出す“切り抜き職人”の存在だ。ネット事情に詳しいライターが解説する。
「切り抜き動画を投稿している職人の価値基準は動画が回るか否か。Aという政治家をこき下ろす動画がウケれば徹底的に批判し、Bという政治家を褒めちぎってウケれば称賛動画をバンバン上げる。開設から1年未満の新規参入組でも月に100万円以上稼ぐケースも珍しくありません」
高市総理を後押しした切り抜き動画の一例をここに挙げよう。
昨年11月14日の参院予算委員会で参政党の安藤裕幹事長(61)が突如、高市総理のファッションに切り込んだ。
「日本最高の生地を使って最高の職人が作った服で外交交渉をしてほしい。安物の服だと舐められる」
この異例の苦言に高市総理は困惑しつつも、茶目っ気たっぷりに切り返す。
「物持ちがいいので15年くらい前の服も引っ張り出して着ている。どうかご安心ください」
さらに高市総理は「誕生日のプレゼントでよろしくお願いします」とオチをつけ、このやり取りを収めたショート動画は瞬く間に200万回再生を突破した。動画投稿者にとって、“バズり度100点”の高市総理は最強のドル箱コンテンツ。ヨイショ動画は今も大量生産され続けている。

