
胸を打つベンチ前の光景と2ゴールの呉屋大翔の献身。ジェフがようやく掴んだ今季2勝目の背景
[J1百年構想リーグEAST第9節]千葉 3-2 東京V/4月4日/フクダ電子アリーナ
17年ぶりにJ1に復帰し、百年構想リーグを戦うジェフ。
PK戦を含め4連敗スタートとなり、5節の柏とのダービーで待望の勝利を掴むも、その後は3連敗と苦戦を強いられていた。
もっともホームで迎えた東京Vとの18年ぶりのオリジナル10対決は、3年前、昇格プレーオフで敗戦を突き付けられた相手へのリベンジという意味でも想いは強かった。
そんな一戦で前半に2ゴールの活躍を見せたのが、先発起用されたFW呉屋大翔である。19分、自らが蹴ったPKはGKに阻まれるもこぼれ球をしっかり蹴り込み、40分にはMFイサカ・セインのスルーパスに反応してGKとの1対1を制した。
ただ、後半は気合いを入れ直した東京Vに押し込まれ2-2の同点に追いつかれる。それでも途中出場の左SB日高大が劇的な決勝弾をマークし、百年構想リーグの折り返しとなる9試合目で、今季2勝目を手にした。
後半は苦しい時間が続くも、リードを得て迎えた試合終盤、千葉のベンチメンバーは誰もが立ち上がり、ピッチの仲間たちに声を届ける。“チーム全員でこの勝利を掴むんだ”。そう言わんばかりの熱いエネルギーが詰まった印象的な光景は、スタンドのボルテージも大いに高めた。
82分にベンチに下がっていたイサカ・ゼインも振り返る。
「3連敗していたので、なにがなんでも勝とうとチームでやってきましたし、内容は良くなかったですが、最後勝ち切れたのはチームとしての力だと感じます。勝ちながら修正していきたいですね」
何より、これまでの試合でもベンチから立ち上がり、誰よりも味方を鼓舞していた呉屋の姿がピッチから退いた後もそこにあった。日高が決勝ゴールを挙げた際、いの一番に駆け寄り抱擁したのも呉屋である。
そうしたチームのために働いてきたストライカーが、そしてベンチから勝利への想いを託されて投入された日高がネットを揺らして勝利を手繰り寄せたことに、個人的には大きな意味があると感じる。
一概に比較はできず、チームが勝っている、負けているの展開にもよるが、勝利に貪欲で、誰もが同じ方向を向いているチームのベンチからは結束力が自然と醸し出されるもので、ジェフはそれがよく感じられるチームと言える。
17年ぶりのJ1は苦しい戦いが続くが、小林慶行監督も、積み重ねの大切さを説く。この試合での崩しの形についても説明した。
「分析ではなく自分たちの積み上げという認識です。今日のプレーに関して、ヴェルディさんがこうだからこうだよねというトレーニングをしてきたから、あれがあったわけではなく、自分たちが積み上げたものがそのまま、その場その場で、選手たちの表現として出てきたものであります」
そして指揮官は折り返しを迎えたことについても想いを語った。
「本当に、今日みたいなゲームが何試合かあったと思います。今まではこのゲームが完全に自分たちの手の中から抜けていったみたいなところだったと思うので、だからこそ反省しなければいけないと感じていますし、今日も完全に、後半で言ったら4点くらい取られてもおかしくなかったのかなと。それは本当に反省しなければいけないところです。
一方で、前半のところでは自分たちがしっかりとゲームをコントロールできたところ、その時間をどれだけ伸ばしていけるかに対してチャレンジしていくところが後半戦に求められることだと思います。
言葉で言うのは簡単なんですが、やっぱりもっと強度と正確性、技術を上げていかないと。そこに対して選手は今トライしてくれていますが、あとは少しずつケガ人が戻ってきてくれているので、競争力をチームとして上げていくというのが後半戦に関しては一番チームにパワーをもたらしてくれると思っています」
今後もすべてが上手くいくことはないだろう。粗さはまだまだ多い。それでも愚直に全員で前に進むジェフの戦いには魅力が詰まっているのは間違いない。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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