
平畠啓史チョイス“至極の11人”|柴崎岳に魅了されました。うっとりと恍惚感。本当に美味しい和食を食べた時のような気分【J1月間ベストイレブン3月】
芸能界屈指のサッカー通で、J1からJ3まで幅広く試合を観戦。Jリーグウォッチャーとしておなじみの平畠啓史氏が、J1百年構想リーグの月間ベストイレブンをセレクト!3月の栄えある11人はどんな顔ぶれになったか。
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雪もあり、とても寒い2月に開幕した百年構想リーグも、3月の日程が終了し折り返しが近づいてきた。3月のEASTでは鹿島が4連勝。王者の風格が漂う勝ち方で首位を走っている。
一方、WESTは混戦。一つの勝利で順位が大きく変わるような展開になっている。そんな3月のJ1百年構想リーグのベストイレブンとMVP を勝手にセレクトし、3月を振り返ります。
GKは鹿島の早川友基。4試合で1失点は文句なし。千葉戦の失点も目前のイサカ・ゼインのシュートが味方に少し当たってコースが変わったもの。首位を走るチームの守護神に相応しい活躍だった。
3月28日に行なわれた町田対川崎のPK戦における町田の谷晃生のPK3ストップは圧巻だったし、清水の梅田透吾も好パフォーマンスを披露。セーブ数、セーブ率でも高い数値を残している。
右サイドバックはFC東京の室屋成。攻守両面で高い強度を維持そして継続。攻撃に関わる時のタイミングが絶妙で、相手が危険を感じるようなポイントに走り込む。佐藤恵允との関係も良好で、FC東京の右サイドは魅力的なものになっている。
左サイドは神戸の永戸勝也。攻撃力抜群。6節・名古屋戦でのこぼれ球左足ボレーは美しいもので、前半の小松蓮への右足でのアシストも見事だった。ウイング的なポジションに配置されても、その攻撃力を遺憾なく発揮している。
センターバックは神戸のマテウス・トゥーレルとC大阪の田中駿汰。広島戦では3バックの中央に入ったトゥーレルは、見事な対応力を見せた。強さに目が行きがちだが、走行距離やスプリント回数でも高い数値を残している。走力が優れていることもトゥーレルの魅力だろう。
中盤はもちろんセンターバックに入っても、高いレベルのプレーを披露する田中。PK戦突入か? と思われた6節・京都戦のアディッショナルタイムに劇的ゴール。どのポジションであっても、常にピッチに置いておきたいと監督に思わせる選手の一人だ。
ボランチは鹿島の柴崎岳と清水のマテウス・ブエノ。3月のWESTでパス数トップのマテウス・ブエノだが、こぼれ球奪取やシュートブロックなど守備の局面での数値も高い。アンカー気味のポジションで、絶妙にバランスを取りながら、守備でも非凡なプレーを披露する優れた選手である。
さて、これから3月のMVPを発表します。なぜならば我慢できないから。もっと言うなら、最初に発表したかったくらいだから。
MVPは鹿島の柴崎! 5節・東京V戦でコーナーキックから鈴木優磨のゴールをアシストしただけでなく、6節・川崎戦の鈴木に送った絶妙クロス。7節・町田戦、5分の鈴木のゴールも起点は、レオ・セアラへの柴崎の縦パスだった。
8節・千葉戦でのCKの精度。3月すべての試合でゴールに関わる活躍。スタメンでも途中出場でも、チームを勝利に導くプレーぶりはまさにMVP。言い足りないので、最後にもう少し触れます。
中盤の右には横浜FMの天野純。MUFGスタジアムで行なわれた、8節・川崎戦の2G1Aは圧巻。遠野大弥の負傷により後半からの出場で、まさに出色の出来。左足から放たれた放物線を描くボールの起動は美しく魔法がかかったようだった。
リハビリから復帰し、ようやくプレーできるようになった遠野が再び負傷したことへの思い。そして、家族に不幸があり、つらい思いも抱えながらのプレー。あの放物線の美しさは技術だけでなく、いろんな複雑な思いが重なっていたのかと思うと感慨深い。魂のこもったボールの軌道には人間・天野純の思いが込められていた。
左サイドには3ゴール、鹿島の鈴木。ゴール前での活躍だけでなく、中盤の繋ぎの中で、ワンタッチを入れたり、パススピードを変えたりすることで、チーム全体に躍動感を生み出すようなプレーも多い。ポジショニングやプレー選択が実にクレバーで、効果的なプレーが多く、チームの勝利に対する貢献度が高かった。
FWは名古屋の山岸祐也とG大阪のデニス・ヒュメット。プレーの引き出しが多く、シュートフォームが美しい山岸。ボールを持っている選手がパスを出したくなるようなタイミングでの動き出しは見事。山岸が得点を重ね、ボールが集まるようになれば、名古屋の勝点はさらに伸びていくだろう。
トップにヒュメット、その下にイッサム・ジェバリのG大阪の攻撃の関係性がたまらない。そして、ヒュメットはシュートを打つ時に少し余裕がある。最終局面で燃料切れではなく、シュートの場面に余力を残しているので期待感があるし、決め切れるパワーがある。まだまだゴール数を伸ばすに違いない。
神戸の小松も風格が漂い、良いタイミングでボールが入っている。そして、東京Vの染野唯月の活躍も見逃せない。ポストプレーでの顔を出すタイミングの良さはもちろん、ラインブレイクを狙う裏のスペースへの動きも秀逸。前線からの守備でも貢献し、高い次元でワントップの役割を果たしている。
最後に柴崎、再び。力みのない姿勢でボールを受け運び、スピード、距離感ともに完璧なパスを送る。そのすべてのプレーに深みがあって、本当に美味しい和食を食べた時のような気分になる。
ただ、舌を刺激して美味しさを感じさせるだけでなく、目も鼻腔も脳も刺激するような、美味しいだけでなくうっとりと恍惚感さえ覚えるような味。柴崎のプレーは大人を満足させるものがある。今月は柴崎岳に魅了されました。
取材・文●平畠啓史
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