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【北中米W杯出場国紹介|第28回:チェコ】代名詞の“ウルチカ”は今や――堅実に守り、手数をかけず相手ゴールに迫るのが基本スタイル

【北中米W杯出場国紹介|第28回:チェコ】代名詞の“ウルチカ”は今や――堅実に守り、手数をかけず相手ゴールに迫るのが基本スタイル


 欧州プレーオフを勝ち抜いて、北中米大会の切符を掴んだチェコ。20年ぶりにW杯の舞台へ戻ってきた

 準決勝でアイルランド、決勝でデンマークをPK戦の末に下しての突破だが、堅守速攻をベースとしたチームは粘り強く勝ち上がるポテンシャルを秘める。

 パベル・ネドベドやパトリック・ベルガーを擁し、1996年の欧州選手権で準優勝したチームに象徴されるように、組織力をベースに戦う伝統はあるが、そのカラーがより濃く出ているのが現在のチームだ。

 監督を務めるのはミロスラフ・コウベク。経験豊富な指揮官で、代表チームに安定感をもたらしている。コウベク体制の特長は、選手の強みをシンプルに引き出すことにある。無理に複雑な戦術を落とし込むのではなく、選手が迷わずプレーできる構造を整え、特に守備組織の完成度を高めてきた。今回のプレーオフ突破は、まさにその成果と言える。

 チェコといえば“ウルチカ”(小道)と言われる素早く細かいパス回しが代名詞だったが、堅実に守ってマイボールにすれば、あまり手数をかけず相手ゴールに迫るのが、チームの基本スタイルとなっている。

 その実現に最も欠かせない選手が、3-4-2-1の最前線に君臨する左利きのFWパトリック・シック(レバークーゼン)だ。191センチのサイズと確かな技術でボールを収めて、周りの選手を前向きにさせる。

 2シャドーの主力はパベル・シュルツ(リヨン)とルカーシュ・プロボド(スラビア・プラハ)で、ゴールに直結するプレーが期待できるセカンドアタッカーだ。所属クラブでゼロトップ的な役割を担うシュルツは、プレーオフ決勝のデンマーク戦で先制点を決めている。

 プロボドは今季のチャンピオンズリーグでも存在感あるプレーを見せており、前線でのタスクをシックとシェアできる。W杯の本大会でも侮れない存在だ。
 
 この3人に加えて、格好のターゲットマンである199センチのトマーシュ・ホリー、187センチのモジミール・ヒティル(ともにスラビア・プラハ)という大型のアタッカー陣を揃えるが、点を取りに行くシチュエーションで注目したいのは、22歳のアダム・カラベツ(リヨン)だ。

 シュルツの同僚でもある左利きのテクニシャンはスパルタ・プラハの出身で、同クラブのレジェンドであるトマーシュ・ロシツキにも例えられる逸材だ。デンマーク戦こそ出番はなかったが、アイルランド戦では終盤のゲームチェンジャーとして躍動した。

 中盤には、チームの主軸を担うトマーシュ・ソウチェク(ウェストハム)がおり、守備のフィルター役と攻撃の舵取り、両面で中心の役割を果たしている。彼もまた192センチの大型選手であり、いざ前線に上がれば、もう一人のストライカーとして迫力あるフィニッシュを実現できる。

 攻撃面では右ウイングバックのウラジミール・ツォウファル(ホッフェンハイム)にも注目したい。33歳ではあるが、タイミングの良い攻め上がりと正確なクロスはいかなる相手でも、得点シーンを生み出す可能性を秘める。

 チェコでは一際小柄なミハル・サディレク(スラビア・プラハ)は、幅広く攻撃に絡むだけでなく、セットプレーのキッカーとしても相手の脅威になる。
 
 最終ラインでは、キャプテンのラディスラフ・クレイチー(ウォルバーハンプトン)が頼りになる。大型のセンターバックでありながら、機動力の高さを随所に発揮。接戦が続いたプレーオフの勝利も、彼の働きなくして語れない。左足のキックも秀逸だ。

 3バックの中央に構えるロビン・フラナーチュ(ホッフェンハイム)は徹底して相手のロングボールを跳ね返し、圧力のあるディフェンスでミドルシュートを容易に打たせない。右のシュテパン・チャロウペク(スラビア・プラハ)はタイトなマーキングが目を引く、伸び盛りの23歳だ。
 
 かつてペトル・チェフが君臨したGKのポジションは、マチェイ・コバージュ(PSV)が鍵をかける。プレーオフの2試合で5本のPKを阻止したヒーローであり、安定したシュートストップに加えて、ハイボールの対応に強さを見せる。オランダリーグで独走するクラブを後方から統率する守護神は、現在はレバークーゼンから期限付き移籍という立場だが、ここからステップアップしていくことは確実だろう。

 W杯本大会のグループステージはA組で、開催国メキシコ、韓国、南アフリカと同居し、実力拮抗が予想されるものの、高さを活かしたセットプレーの得点力は強みになりそうだ。グループステージ突破はもちろん、さらなる躍進も十分に期待できる。

文●河治良幸

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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