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羽生結弦、地元・宮城で単独公演『REALIVE』 メンテナンス期間を経て“進化”した極上の表現「皆さんにどう変わったか、今ここに生きていることを見せる」

羽生結弦、地元・宮城で単独公演『REALIVE』 メンテナンス期間を経て“進化”した極上の表現「皆さんにどう変わったか、今ここに生きていることを見せる」

メンテナンス期間を経て迎えた単独公演「REALIVE」で、羽生結弦は過去の “ICE STORY”3作を振り返り、続く “ICE STORY 4th”を予告した。

 昨年8月、より進化するための“メンテナンス期間”を設けると表明した羽生は、今年3月に地元・宮城のセキスイハイムスーパーアリーナで開催された「notte stellata 2026」で復帰。メンテナンス期間で身につけた、新たな身体表現を垣間見せた。そして約一か月後となる4月11日、同会場で開幕した「Yuzuru Hanyu “REALIVE” an ICE STORY project」では、その進化がよりはっきりと表れた。

 約7000人の観客が見守る中で始まった「REALIVE」。第1部では、プロ転向後初の単独アイスショー『PROLOGUE』及び“ICE STORY”3作品の中から選ばれた曲が演じられた。その意図について、羽生は「今まで“ICE STORY”というものの中で滑ってきたプログラムたちを、こうやってメンテナンスして新しくなってきた自分の体を通して、皆さんにどう変わったか、今ここに生きていることを見せる」と説明している。

 プロスケーター・羽生の原点である『PROLOGUE』(2022年)からは、連覇を果たした2018年平昌五輪で滑ったフリー『SEIMEI』。“ICE STORY”第1弾となるスケーター史上初の単独東京ドーム公演「GIFT」(2023年)からは、『あの夏へ』『Otoñal』。『Otoñal』について、羽生は「曲を使っているのにまだ滑っていないプログラムだなということもあり、サプライズを込めて」選んだと説明している。

“ICE STORY”第2弾「RE_PRAY」(2023~24年)からは『MEGALOVANIA』、『鶏と蛇と豚』の2曲。そして「Echoes of Life」(2024~25年)からは、『Mass Destruction』、『Utai』の2曲を選んだ。

 羽生は「プログラムって、本当に一期一会」と語る。

「ジャンプやスピン・ステップの出来であったり、またお客様皆さんの歓声であったり、会場の暖かさやその時の天候によっても全然雰囲気が違うので、本当に『そこに生きているものだな』って僕は思うんですよね。だから、ミュージシャンたちが『LIVE』と言うのが、すごく僕は自然に感じられていて。だからそういう意味でも『LIVE』というふうに思いながら、この『REALIVE』というものを作りました」
  1曲目は、羽生の立てるエッジの音だけが響くイントロから始まる『MEGALOVANIA』。この後に『Mass Destruction』が続くのだが、羽生は「今回初めて、最初の1曲目から2曲目の間が約1分ちょっとしかないという、裏でも靴を脱がないでも早く着替えてそのまま出るみたいな新しいことをやっていた」と明かしている。

「技術的にもすごく新しいことをやっていたんですけど、非常に皆さんの反応もすごく気持ちよくて。『大変だけど、頑張っている甲斐があったな』って思いました」

『Mass Destruction』の後には、スクリーンに映し出される数々の記録と音声で流れる羽生自身の言葉により、競技者としての道程を振り返るパートが挿入される。3曲目『Otoñal』の後には、プロ転向を表明した会見の映像が流れた。リンクの中央線を行き来する動きが印象に残る4曲目『鶏と蛇と豚』を滑り、静謐な5曲目『あの夏へ』へとつながった第1部は、6曲目『Utai』で終幕。前半終了時点でスタンディングオベーションをする観客も散見され、羽生は「ありがとうございました」と感謝を述べて退場した。

 そして「PREQUEL Before the WHITE」と名づけられた第2部では、アニメーションで描かれる小さな男の子と羽生が紡ぐ物語が展開される。一度も退場することなく滑り続ける第2部は羽生にとって挑戦であり、「後半を全て出ずっぱりでやるということも初めて」と振り返った。 羽生の分身とも受け取れる男の子は閉じ込められた檻から抜け出し、歩き、泳ぎ、そして滑る。この第2部は羽生が書いた原作に基づいており、羽生は「『この子がもし存在するとしたら、どういうふうに感じて、どういうふうに世界を探検させたいかな』みたいな感じで、想像を膨らませて書いていきました」と語った。

「でも、根本にある思いが多分一緒だったりとか、もちろん自分の中から出てくる言葉や情景だったりするので、きっと僕の中にあるものだとは思うんですけど。でも僕だけの想いだけだと、全然独りよがりのちっちゃいものにしかならないなって僕の中では思うので、『皆さんが想像できる余白のある物語にしたいな』って思って、作っていきました」

 そして最後にスクリーン上で、この物語が4番目のアイスストーリー「WHITE」に続くことが示されると、会場から歓声が上がった。

 この第2部「PREQUEL」は、「ICE STORY 4th」の前日譚である。「PREQUEL」そして「ICE STORY 4th」は原摩利彦氏によるオリジナルの新作音楽に乗って描かれる。

 原氏は、絶大な人気を博した映画「国宝」に提供した楽曲で日本アカデミー賞最優秀音楽賞・主題歌賞を受賞している。また2021年に開催された東京五輪の開会式では、ダンサー・森山未來が踊り高い評価を受けた追悼のパート“MOMENT OF REMEMBRANCE“ の曲も担当した。コンテンポラリーダンスとの親和性が高い原氏の音楽に乗って滑ることにより、羽生のスケートは新たな境地に達したようにみえた。

 羽生は、原氏の音楽が「自分が書いたストーリーに、色をつけてくださっている」と感じている。

「音色という色をどんどん、どんどんつけてくださって、ストーリーを聴覚で感じられるようにしてくださっていて。本当に僕自身も、滑っていて気持ちいい」
  スケーターとして卓越した技術と身体を持つ羽生のもう一つの大きな魅力は、自らの想いを演技に乗せる能力だろう。コンテンポラリーという概念では、既存の形式ではなく自らのアプローチを探求していく。羽生は、メンテナンス期間中に身につけたダンスの技術を使い、スケートで何が表現できるかをさらに追求し続けている。

 新たな羽生結弦が観られるであろう「ICE STORY 4th」。その詳細が明らかになるのを、多くの人が待ちわびている。

取材・文●沢田聡子 

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配信元: THE DIGEST

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