
アニメ「薬屋のひとりごと」の第2期振り返り劇場上映会が4月12日に東京・日比谷で開催され、主人公・猫猫役の悠木碧、壬氏役の大塚剛央、子翠/楼蘭役の瀬戸麻沙美が登壇。「こうしてイベントに揃うことはなかなかない」と口を揃える3人が、第2期の収録裏話を語り合った。
■謎解きにギャグにモノローグに…悠木碧「壬氏の成長で肩の荷が下りた」
「薬屋のひとりごと」は、日向夏氏の同名小説を原作とした、毒見役の少女が後宮や宮中でさまざまな難事件に挑む謎解きエンターテインメントアニメ。第2期では、帝の寵妃・玉葉妃(CV.種崎敦美)の懐妊、小蘭(CV.久野美咲)の門出、外国特使の来訪などの裏で進行していた楼蘭ら「子の一族」の反乱が描かれ、皇弟として乱を制圧した壬氏が、己の出自と向き合う覚悟を決める形で幕を下ろした。
この日はテレビアニメ第2期序盤、第1話~第6話(第1期通算25話~第30話)の劇場上映後とあって、“躍動感あふれる「子翠の登場」”“画面いっぱいの「猫吸い」”“劇場版「月精」”など、「イーロン・マスクでも持ってないと思う」(悠木)ほどの大スクリーンでの見どころの話題に。
「思えば、序盤はわちゃわちゃしてましたよね」と振り返る大塚に、悠木は「そう、あらためて思うんだけど、『薬屋』って実は序盤のほうが大変なの!後半はみんなでシリアスなお芝居を組み立てていく感じになるけど、前半は説明、ナレーション、モノローグ、ギャグ、キャラクター紹介、注目ポイントと、やることが多い!」とこの作品ならではの苦労を明かした。
瀬戸が「しかもそれを猫猫がほぼ1人で担うから。私は猫猫のギャグ表現、すごく好きです。かわいいところもあるし、やりすぎちゃうところも…さじ加減がすごく気持ちいい」と言うと、「第2期になってから、いろいろ分かってきた壬氏もその役割を担ってくれて。だいぶ肩の荷が下りたと思いつつ。結構、腕の見せどころだって感覚はありますね」と語った。
■瀬戸麻沙美、気の重い収録「こんなに賑やかで目立つ子なのに…サーッと」
第1期で虫好きな下女・子翠として登場していた楼蘭妃。その役作りについて、瀬戸は「第1期では、『まずは子翠だ!』と思って演じていたので、正直、その後の展開について考えてなかったんです。それゆえに、この(楼蘭とつながる)シーンがついに来ると思うと気が重くて…。でも第2期の要になるシーンだし、大事なセリフがたくさんあったので、原作やコミックスも参考にしながら台本と向き合いました」と当時の思いを明かした。
印象に残るシーンを問われた悠木は、「子翠の好きなシーンはいっぱいあるけど、やっぱり最初の「怪談」(第34話)は、ほの暗くてやや妖艶な子翠っていう…今までの明るくて同じような熱量でオタクみたいな友達だったはずの子翠とはちょっと違って印象的。後の展開も含めて、一貫して“虫”をテーマに組み立てられてもいますし」と感想を語った。
一方、大塚は「小蘭もいた、マッサージのシーン。あの辺も後からよく見ると、実は里樹妃(CV.木野日菜)と出会わないように上手く立ち回っているんですよね子翠は」と、第37話「湯殿」をピックアップ。瀬戸は「こんなに賑やかで目立つ子なのに、そういうときはスッと存在感を消してバレなかった。…何か今、『子翠なんて下女はいない』となってサーッと(怖ろしく)なったときのことを思い出しちゃった」と感慨深げ。
悠木は「ゾッとするよね。でも、どこから連れてこられたかとかの出自を気にされず働いている人がいるからこそ起こる事件というか、それこそ猫猫もだし、そういう場所である後宮の闇みたいなのもありますよね」と振り返った。

■子翠のモラトリアムに「猫猫は誤算」瀬戸麻沙美&悠木碧がエモい分析
続いて、「なあに?」という返事ひと言に込められた熱量が話題となった、第44話「砦」からのクライマックスがテーマに。
瀬戸は「ほのぼのした話をしていたのに、もう『なあに?』のところに…あぁ寂しい…」と明るい声で前置きしながら、「私も猫猫と同じように、こういうときに『子翠』と呼ぶか『楼蘭』と呼ぶか迷うんです。…“彼女”の中では、あの結末は決まっていたことで、だから猫猫も壬氏もあくまで演じている物語の役者の1人っていう捉え方だった。でも、関係性が変わって、ただの出演者じゃなくなっている猫猫がいて、その存在に助けられてもいて」と述懐。
「だからこそ『子翠』と呼んでくれて、今まで過ごしてきた時間はなかったことにならないって思えたのかなぁと。彼女は涙を流しませんけれど、私自身は鼻の奥にツーンとくる感覚が…あってもいいんじゃないかなと思ったので、気持ちを持って行きやすかったです」と振り返った。
悠木は「猫猫はきっと、自分が『子翠』と『楼蘭』のどっちで“いて”ほしいかで呼んだんだろうなと思って。だから子翠も、どっちでいたいかで返事をしてくれたのかなって…。彼女はこの結末のためにずっと準備をして、何度も頭の中でシミュレーションRTAをしていたわけじゃないですか。その中で唯一の誤算だったのが、猫猫という、変な子と仲良くなりすぎたこと」と分析。
「でもその誤算が、ポジティブな方向に働いているのがめちゃくちゃいいよね…ってことを、猫猫だけが分かってないっていうのが何かよかったというか、でも、分かんない子だったからうまく行ったのかもなとも」とぐるぐるしながら語り、「アフレコは、そのままの空気に乗っかっていればよくて、もちろん迷うところもなくはないんですけど、テクニカルに頑張ったというよりはエモーショナルに任せていたという感じです」と明かした。
■声優志望者も必見、演技巧者同士のアフレコ秘話に会場聞き入る
「あんなに流れを止めないで録ることってなかなかないですよね」と頷いた瀬戸は、さらに「テストと本番で、特に猫猫はお芝居が全く違っていて。皆さんの見ていただいた本番もですが、私はテストの猫猫もやっぱり好き。何か、結構感情的で…」と語りだした。
我に返った瀬戸に「ごめんなさい、テストでの話をしちゃって」と言われた悠木だが、「いや全然!」とあっけらかん。「もっと言うと、テストだとだいぶエモくなってたんだよね。画のとおり、情熱的に(子翠を)引き止めていたんだけど、本番では猫猫らしさを入れてあげたほうがいいよねって話になって…」と、一発本番のようになった収録について明かした。
その後も悠木と瀬戸は「テストと本番で方針をガッツリ変えたときって、正直、“やっちゃったかな~”って思うから、ジャッジの時間が超怖くて」「私も緊張した~!」「頭から順番に直していくので、そのシーンが近づいて、シーン番号がガッツリ飛んだぞ、いいのか!?」「でも、もしかしたら後で居残って録り直すパターンで飛ばされた可能性もゼロじゃないから…」「調整ルームをすごい見ちゃったよね!」と2人で回想。結局、「本番ほぼ撮り直しナシ」だったということで、瀬戸は「(悠木)の対応力、すげえ…って思いました」と絶賛していた。
■悠木碧&瀬戸麻沙美「壬氏は不憫であればあるほどいいんだから」
第2期最終回、第48話「はじまり」では、何も知らない小蘭から「また猫猫と子翠と一緒にアイスを食べたいな」という手紙が。瀬戸が「小蘭の中では子翠の物語が続いてるんだよね。もう会えないとは思うけど、小蘭の中ではそこの思い出がしっかり残ってて、それも何か繋ぎとめてくれてるって感じで。『小蘭、ありがとう』ってなります」と語ると、悠木が「小蘭は楼蘭である子翠を全く知らないから、子翠が本当に子翠のままなんだよね」と分析。
“玉藻”と名乗る少女が海に向かう展開で終えたにことついて、瀬戸は「“瀬戸目線”になっちゃうんですけど、死ななくてよかった。この先分かんなくても、生きてるんだって思えるのがうれしい」と一視聴者として感想を。「やっぱり死んだら終わりじゃないですか!(あのラストなら)まだ私だって、第3期や劇場版に出られるかも…それは無理か…」とおどける瀬戸に悠木が「グッズとかにはなるかも!」「エイプリルフールの施策とか!」とフォロー。「あとはみんなが思い出してくれれば…(回想シーンで)」と言われ、「あ~、そうですね」(大塚)、「頑張るわ!コツコツと」(悠木)と、引き止め工作をもくろんでいた。
悠木は第2期全体を総括して「壬氏が猫猫を守りたくてあげた簪(かんざし)が、巡り巡って、猫猫の“一番守りたいものを守って終わる”というオチがさ、もう、もう、お後がよろしすぎるよねぇ!?」と感動しつつ、「あとは壬氏の絶妙な不憫さがさ…」と忘れずに指摘。瀬戸が「いいですよね…壬氏は不憫であればあるほどいい」と続けると、大塚は「壬氏も事情を聞いて、一応納得していましたけど」と主張。悠木は「そう、そこで納得できる器の広さもあるのよ」と壬氏の“推し”ポイントをアピールしていた。
【猫猫、子翠論&今後の展開編】に続く。
※北海道、東京、愛知、大阪、福岡で開催中の第2期を映画館で楽しめる「振り返り劇場上映会」は、今後2026年4月26日(日)に第7話~第12話、5月10日(日)に第13話~18話、5月24日(日)に第19話~第24話を上映。
さらに、2026年8月15日(土)には「スペシャルイベント~夏の園遊会 2026~」が、パシフィコ横浜 国立大ホールで開催される。悠木、大塚のほか、小西克幸、種崎敦美、瀬戸麻沙美、久野美咲、橘龍丸、豊永利行らが出演。チケットのオフィシャル2次抽選が5月10日(日)23:59まで受付中。このイベントのグッズは、4月17日(金)23:59~5月10日(日)23:59に先行受注生産、翌5月11日(月)0:00より一般販売。
テレビアニメ「薬屋のひとりごと」第3期は日本テレビ系にて2026年10月より分割2クールで放送予定。劇場版「薬屋のひとりごと」は2026年12月公開。
◆取材・文=坂戸希和美
※「種崎敦美」の「崎」は「たつさき」が正式表記。

