
2月にデビュー1周年を迎えたアイドルグループ「ハルニシオン」。楽曲とパフォーマンスの良さでアイドルファンの心をつかみ、1周年ワンマンライブを恵比寿ザ・ガーデンホールで開催するなど、人気急上昇のグループとして注目されている。そんなハルニシオンが、2年目をさらに盛り上げるべく、春からの新展開「ハルキャン」がスタート。 その一環として、WEBザテレビジョンではハルニシオンに楽曲を提供した豪華作曲家陣4名(ナッツP、渡辺拓也、エンドウアンリ、矢野達也)とメンバーによるスペシャル対談を連載でお届けする。
記念すべき第一弾のゲストは、グループ名と同名のデビュー曲「ハルニシオン」の作詞作曲や「gradation」のプロデュースを手掛けたナッツP氏。「ハルニシオン」制作の裏側や、レコーディングを通して見えたメンバーの印象について深く語り合ってもらった。
■ 誰も知らない「ハルニシオン」へ向けた楽曲制作の裏側
ハルニシオン:改めて、ハルニシオンです。本日はよろしくお願いします!
ナッツP:お願いします。頑張ります(笑)。
村瀬ゆうな:今回はなんと、「ハルニシオン」の楽曲提供、そして「gradation」のプロデュースをしてくださったナッツPさんをお迎えして対談をしたいと思います。世間的にも正体が謎に包まれている方なので(笑)、こうしてお話を聞ける機会は本当に貴重で、すごく楽しみにしていました。
ナッツP:こちらこそ、ありがとうございます。
村瀬ゆうな:始まりの曲でもある「ハルニシオン」を聴いて、私たちメンバーが集まったと言っても過言ではありません。改めて、この曲の制作にまつわる印象的なエピソードがあればお聞きしたいです。
ナッツP:そうですね、本当に色々ありました。楽曲を作るにあたって、運営の皆様から「「ハルニシオン」というアイドルを立ち上げるので、本当に全部お任せします」とお声がけをいただいたんです。「そんな責任あることをやっていいのか」というプレッシャーもありつつ、自分が思う「アイドルに歌ってほしい楽曲」を詰め込ませてもらったのが「ハルニシオン」です。まだどんなメンバーが来るかわからない状態で曲を作るというのは今までになかった経験なので、すごく印象的ですね。
村瀬ゆうな:(感極まって思わず涙ぐむ)……すいません! 本当に素敵な始まりを作っていただいて嬉しいです。
■ レコーディングで感じた、メンバーそれぞれの魅力とガッツ
馬場彩華:私たちのことをまだ深く知らない中で、レコーディングにも立ち会ってくださったと思うのですが、メンバーそれぞれに対してどんな印象を持たれたかお聞きしたいです。
ナッツP:みんな以前にもアイドル経験があったり、人前に立って応援してもらった経験がある子たちだったので、「歌えるだろうな」という信頼はあり、全く心配していませんでした。自分が作る曲はメロディーが難しかったり、チャレンジングな部分が多くなりがちなのですが、応援してもらった経験があるからこそ、諦めずに挑む姿勢が全員から感じられました。例えば、といちゃん(来海とい)が歌っているところなどは「難しいことをやらせちゃったな」と思いつつも、果敢に挑む姿がすごく美しいなと思いましたね。
村瀬ゆうな:レコーディングはオンライン上で立ち会ってくださったと思うのですが、それぞれの歌声にはどんな印象を持ちましたか?
ナッツP:うなちゃん(村瀬ゆうな)は歌い出しを担うということで、やはり強い責任感を感じましたね。心色ちゃん(芹沢心色)は、「こんなに真っ直ぐな歌声で歌える子なんだ!」とすごくびっくりしました。無邪気で子どもっぽいところもあるけれど(笑)、その真っ直ぐさでみんなを引っ張っていける子だろうなと感じました。
あちゃん(福間彩音)は、リモート越しだとすごく自信がなさそうな声で「はい、大丈夫ですかね……」みたいな感じだったんです。でも、いざ歌い出すと「いや、めっちゃ歌えるじゃん!」と(笑)。高いキーで難しいメロディなのに、すごくガッツがある。自分の中では自信を持ちきれない部分があるかもしれないけれど、挑む姿勢がしっかり見えて、「全然自信持っていいよ!」と、いい意味で裏切られましたね。
さやまるちゃん(馬場彩華)は、さすがの堂々とした歌いっぷりでした。メンバーの中でも経験が豊富ということもあり、彼女の歌声はみんなが「安心して聴ける」存在です。グループにおいてこの“安心感”ってめちゃくちゃ重要で、彼女がいることでグループ全体の力が底上げされているなと感じました。
瑠花ちゃん(長浜瑠花)はね、もうめっちゃ好きなんです、私(笑)。ビジュアルはもちろんですが、「やっと自分の曲がリリースできます」という思いも含めて、これから多くの人に見つかって、愛され、守られていく子なんだろうなと。周りが一緒に喜んでくれているのも嬉しいですし、「世の中に応援される人なんだよ」という自覚をどんどん持っていってほしいなと思っています。……なんだかレコーディングの時から色々な感情が溢れちゃいましたね。
ナッツP:(メンバー全員がナッツPの話を聞きながら号泣しているのを見て)……って、めっちゃティッシュ回ってる!(笑)
村瀬ゆうな:なかなか直接作家さんからこんなお話をいただくことがないので……温かさを感じて涙に変わってしまいました。

■ 雑草「ハルジオン」の姿とアイドルの生き方を重ねて
長浜瑠花:まだハルニシオンのグループ像が明確ではない中で曲を作られたと思うのですが、歌詞はどんな風に生まれたのかお聞きしたいです。
ナッツP:アイドルに歌ってほしいメロディーラインを意識しつつ、意外と「女の子目線」のアイドル曲って少ないなという思いがありました。女性が歌う女性目線の曲は、きっと感情移入もしやすいだろうなと。そして「ハルジオン」というお花をテーマにいただいた時、ハルジオンっていわゆる雑草というか、アスファルトの隙間などに咲いている小さな花ですよね。その子が主役になるとしたら、人間の生活の中で「確かにこの花、あそこにあったな」と思われている側って、どういう気持ちなんだろうと考えたんです。本当は太陽を浴びたいんじゃないか、本当はキラキラした場所で花開いて美しくありたいんじゃないか、と。それがアイドルの生き方とリンクするなと思い、人間に置き換えて違和感がないようにすり合わせていったのが始まりでした。
村瀬ゆうな:ハルニシオンというグループへの解釈が深まりました。「ハルジオン」という花が持つテーマに惹かれて応援してくださる方もどんどん増えている印象を受けます。この曲のおかげで、今のハルニシオンの指針ができたと言っても過言ではありません。本当にありがとうございます。
■ 歌詞に込められた「応援する側」への深いメッセージ
来海とい:ナッツPさんの紡ぐ歌詞が大好きなのですが、特に「こういう気持ちを伝えたい」と思って書かれたフレーズはありますか?
ナッツP:私は歌詞の中に「矛盾」を入れるのが好きなんです。アイドルはお客さんがいてこそ成り立つ職業ですが、あえて「気づかなくても生きてはいける」という言葉を入れました。アイドルやエンターテインメントって、衣食住に比べれば優先順位は低く、後回しにしてもいいものですよね。でも、人間はなぜかお金を使ってでも音楽を聴き、応援したいものを求める。生きていくために絶対に必要なわけではないのに、「このアイドルを応援することが生きがいだ」と思える。だからこそ、「気づかなくても生きていける花」であり、「忘れられないなら忘れたくないことにしよう」と歌うことで、応援する側のファンの方にも共感してもらえるように言葉を選びました。日常の中で「これが終わったらハルニシオンの曲を聴こう」「ライブに行こう」と思えるような、消えない存在が“推し”なんだと思います。
村瀬ゆうな:デモ音源をいただいた時、ナッツPさんが仮歌を歌ってくださっていましたが、どのような思いで歌われたのでしょうか?
ナッツP:始まりの曲なので、まずは「見つけてもらわないと」という思い。そして、世の中にはすでにたくさんのアイドルがいて「超えなければいけない存在がある」ということを意識しました。歌い方で楽曲の方向性が決まってしまうので、「これが第1作目なんだ」というフレッシュさと、みんなを導けるような爽やかさを表現しました。
村瀬ゆうな:あのデモ音源にすでにたくさんの感情が詰まっていたので、単に明るいだけの曲じゃないんだなと感じ取ることができました。あのデモがあったからこそ、今私たちがこういう風に歌えているんだと思います。
ナッツP:いやいや、これから皆さんの感情がどんどん乗っかっていくと思うので。一緒に成長していける曲になれば嬉しいです。
村瀬ゆうな:ちなみに、曲を作る時はメロディーが先ですか? それとも歌詞が先ですか?
ナッツP:基本的にはメロディーが先で、後から歌詞を乗せます。私は事前に見聞きした情報に影響を受けやすいので、「ハルジオンってどんなお花だっけ」と調べるところから始めました。そこで得たイメージをもとに鼻歌でメロディーを作っていると、「日々の隙間から」という言葉が自然とくっついてきて。そこから言葉を広げて完成させた感じです。
村瀬ゆうな:自分たちの曲だと分からない状態からずっと聴いていた曲だったので、今日こうしてお話を伺えて、やっと本当の意味で「自分たちの曲なんだ」と思えました。愛情がさらに深まりましたし、もっと自分たちにしか歌えない曲にしていきたいです!
ナッツP:色々な偶然が重なって、このメンバーと声が集まったことは奇跡だと思っています。「奇跡を見つけたグループ」として、ぜひ自信を持ってくださいね。
■ 「gradation」の歌詞に込めた「美しく散る」アイドルの姿
村瀬ゆうな:もう1曲、プロデュースしていただいた「gradation」の歌詞についても教えていただけますか?
ナッツP:「gradation」は、堀内雄斗くんが作曲で私がプロデュースという形で参加しました。堀内くん自身、アイドルへの楽曲提供の経験があまりない中で、ほとんど完成形でデモが送られてきたんです。私はその補助として、少しだけ歌詞を手直ししました。言葉選びとして、アイドルの曲に「枯れる」という表現はあまり使いたくないなという思いがありまして。デモの段階では「枯れゆくまで」となっていた箇所を、「やがて舞い散るまで」に変更しました。「枯れる」よりも「散る」方が、アイドルの最後としては美しいんじゃないかと。激しく踊ってくれる曲だろうなと想像して、「舞う」という言葉を取り入れました。
村瀬ゆうな:そんな裏話があったんですね! 改めて聞けてすごく嬉しいです。
福間彩音:私たちが歌って完成した「gradation」を聴いた時の印象はいかがでしたか?
ナッツP:デビューライブに行かせていただいた時に、「あ、この6人で本当によかったな」と心から思いました。「この声の子たち、めっちゃいいやん!」って。声質が誰とも被っていなくて、それぞれの成分がいい感じにマッチしているんです。それに、全員が歌詞をすごく大事にしてくれているのが伝わってきました。お客さん一人ひとりの目を見て笑顔で歌ってくれている姿を見て、その健気な姿勢がまたお花の特性とリンクするなと。すべてがいいタイミングで噛み合った素晴らしいステージでしたね。
■チームだからこそ「人に頼ること」を覚えてほしい
福間彩音:私たちも本当に大好きな曲なので、この曲にふさわしいグループになりたいと思って日々活動しています。ナッツPさんから見て、私たちに「こういうグループになってほしい」という期待はありますか?
ナッツP:すでに私の想像以上のものをいただいていますし、お客さんが増え続けている事実がそれを証明していると思います。曲も、皆さんが歌い続けることでまた別の角度の魅力がリンクしていくと思うので、グループがもっと大きくなってからも大切に歌い続けてほしいですね。
今後の期待という部分で言うと……少し大人としての意見になりますが、「ちゃんと言葉にして人に頼ること」を覚えてほしいなと思います。作家という仕事をしていると、どうしても自分1人の力ばかり信じがちで、人に頼るのが苦手になってしまうことがあって。でも、皆さんはグループであり、運営のスタッフさんを含めたチームですよね。
女の子って気を遣うのが上手だからこそ、自分だけで抱え込んでしまったり、他人を信じきれなかったりすることもあると思うんです。みんな責任感が強くて優しい子たちだから、「これを言ったら相手が悲しむかな」と遠慮してしまう気持ちもわかります。でも、問題が大きくなってから寄りかかるよりは、日頃から小出しにして相談する方が、寄りかかられる側も負担が少ないはずです。「6人なんだから、他の人を頼ってもいいんだ」ということを一人ひとりが自覚して支え合っていけたら、もっと強くなれると思います。
福間彩音:ありがとうございます。本当にその通りで、みんな相手を思いやるあまり抱え込んでしまう部分があるので……。良い部分は大事にしつつ、これからはもっとしっかり支え合っていこうと改めて強く感じました。

■表現の引き出しは「たくさんのインプット」から生まれる
芹沢心色:私はナッツPさんの作るサウンドがすごく大好きなのですが、言葉にできない感情を、どのように音に落とし込んでいるのか気になります。
ナッツP:曲作りにおいて「インプット」はすごく大事にしていますね。自分では普通だと思っているんですが、周りからは「雑食で本当にいろんなジャンルの曲を聴くよね」とよく言われます。「このアーティストは、怒っている感情をこんな風に悲しそうに、狂おしそうに歌うんだな」とか、色々な音楽を聴いて選択肢の引き出しを増やすようにしています。
ハルニシオンの皆さんも、レコーディングでディレクションを受ける機会がたくさんあると思います。「こういう感じで歌ってほしい」と指示される中で、自分なりに「こういう歌い方も試してみたいです」とチャレンジしてみるのもいいと思いますよ。
「図々しいと思われるかな」と遠慮してしまうかもしれないけれど、最終的に判断してくれる人がいるのだから、思い切って提案してみる。もし却下されても気にしない心持ちが大事です。そうやって試行錯誤することがクリエイティブであり、皆さんも「曲を作っていく1人」になれる。自分の成功体験を作っていく意味でも、ぜひ色々な表現に挑んでみてください。
■私も「ハルニシオン」の一部! これからも共に歩む決意
芹沢心色:最後に、いつも応援してくださる方や、これからハルニシオンを見つけてくださる方へ向けてメッセージをお願いします。
ナッツP:ハルニシオンがここまで大きくなって、こんな対談記事が出るまでになったのは、決して当たり前のことではありません。初期から関わらせていただいた身としては、ファンの皆様の応援の積み重ねがあってこそだと本当に感謝しています。いつも応援してくださっている方は「私たちがこれだけ大きくしたんだぞ!」とぜひ誇りに思ってください。そして、これから見つけてくれる方たちにも、もっともっと好きになってもらえるように……メンバーと一緒に私も頑張ります! なぜかハルニシオン側の目線で言わせていただきます(笑)。
村瀬ゆうな:ありがとうございます……! もうナッツPさんはハルニシオンの一員ということで!(笑)
ナッツP:ハルニシオンとイコールですね(笑)。
村瀬ゆうな:私たちにとって生みの親のような存在ですから。ナッツPさんなしではハルニシオンじゃない、と心から思っています。これからどれだけ曲が増えても、グループ名をタイトルにしたこの曲は絶対に一生歌い続けます。それがナッツPさんの曲で本当に良かった。これからも大切に歌っていきたいと、今日改めて強く思いました。
ナッツP:嬉しいです! 歌い続けることで成長していく曲だと思うので、グループがもっと大きくなってからも歌い続けてくださいね。
村瀬ゆうな:またナッツPさんの曲が歌えるように頑張ります。気長にお待ちしていますので、「ハルニシオン2」とか「3」とかでも(笑)ぜひ……!
ナッツP:大好評につき第二部ですね!(笑) 私自身ももっとクリエイターとして強くなっていきたいと思うので、いつかまた必ず皆さんに曲を書かせてください。それは「絶対」と約束します。
ハルニシオン:今日は本当にお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました!
――ハルニシオン×豪華作曲家陣の対談連載、次回は16日(木)「Luv it!」「ただ、君に咲く。」「流れ星はどこから来るのか」を提供した渡辺拓也氏との対談をお届けする。
(取材・文=WEBザテレビジョン編集部)

