右腕の疲労。それがヒューストン・アストロズが発表した今井達也のIL(故障者リスト)入りの理由だった。ところが、その後の画像検査の結果は「異常なし」と、米メディアが伝えている。骨にも筋肉にも問題は確認されなかった。体は壊れていないが、マウンドには立てない。
開幕3登板を終えた時点での今井の成績は1勝0敗、防御率7.27。この数字と向き合うには、日本時代の今井を知っておく必要がある。
2025年シーズンは163回2/3を投げて10勝5敗、防御率1.92、178奪三振。前年も173回1/3で10勝8敗、防御率2.34、187奪三振で、最多奪三振タイトルを手にした。3年連続2桁勝利、直近2シーズンの防御率はいずれも2点台以下。西武のエースとして積み上げた実績は、NPBの基準では疑いようがない。
それがメジャーに渡ると一変した。デビュー戦からして74球中、ストライクはわずか36球。3度目の登板となったマリナーズ戦では初回に5四死球を与える大乱調で、一死しか奪えずに37球でノックアウト。ストライクはわずか17球だった。防御率1.92の投手が、ストライクゾーンの半分にも入れられない。この落差はいったい何なのか。
登板後に今井は、環境の変化について語った。地元記者を通じて伝わったコメントによると、
「日本とは旅行のスタイルが異なり、選手が食事をするタイミングも違う。日本ではホテルに戻ってから夕食を食べるが、こっちでは選手たちはスタジアムで食事をしている」
アメリカ生活全般の適応についての発言だったが、乱調の直後に出てきたコメントだけに、受け取る側の空気は複雑だ。
「ドジャースを倒したい」と豪語した男が…
ここで思い出されるのが、渡米前の今井の言葉である。ドジャース入りを明確に否定し、
「(ドジャースを)倒したい」
「ああいうチームに勝ってワールドチャンピオンになることが、自分の人生にとっていちばん価値がある」
そのドジャースについては、
「あれだけピッチャーがいたら、自分はいらないでしょ、って思います」
とも言い切った。強気な言葉を、力強さよりも挑発に近い響きで記憶している人は多いはずだ。
そうした気性は、グラウンド上でも顔を出している。2025年9月のオリックス戦では、ピンチの場面でマウンドに向かおうとした豊田清投手コーチを手で制し、ロジンバッグをマウンドに叩きつけるシーンがあった。「任せてほしかった」と本人は語ったが、チーム関係者の受け取り方は違う。渡米前の言葉と今の成績を並べれば、もはや説明はいらないだろう。
「ただのノーコンだった」
「言い訳にしか聞こえない」
「メンタルが保てていない」
批判の声はおおむね、これに集約されている。
検査結果が「異常なし」と言い切った以上、弁明の余地はなかろう。防御率1.92という数字は日本でのもの。「ドジャースを倒したい」と豪語した男が、食事のタイミングや球場環境に戸惑っている。このまま終われば「ビッグマウス」の称号だけが残る。
(ケン高田)

