
【北中米W杯出場国紹介|第33回:南アフリカ】経験豊富なベテランと勢いのある若手が融合。武器は高い組織力と接戦での勝負強さ
個のスター性よりも、組織力と接戦での勝負強さを武器に、南アフリカはアフリカ予選を勝ち上がってきた。
本大会の出場国が「48」に拡大された恩恵で、アフリカの枠も「9.5」になったが、南アフリカのグループには格上とも言えるタレント軍団のナイジェリアが入った。
そのナイジェリアとはホームもアウェーも1-1の引き分けで、成長著しいベナンに2連勝を飾ったこともあり、本大会へのストレートインを決めた。
チームの攻撃を牽引するのが、エースストライカーのライル・フォスター(バーンリー)だ。スピードとフィジカルを兼ね備えた万能型のストライカーで、最前線での起点としても、裏への抜け出しでも違いを生み出せる。
単なるフィニッシャーにとどまらず、前線からの守備やポストプレーでも貢献し、チーム全体のバランスを保つ重要な役割を担う。その勇姿は1998年のフランス大会、2002年の日韓大会で攻撃を牽引した、伝説のストライカーであるベニー・マッカーシーを彷彿とさせる。
そのフォスターを背後から支えるのが、21歳のレレボヒレ・モフォケン(オーランド・パイレーツ)だ。攻撃の中心としてボールを引き出し、ドリブルと創造性で局面を打開する「バファナ・バファナ(南アフリカ代表の愛称)」の宝石のようなタレントだ。
彼の存在によって、南アフリカは単調なカウンターだけでなく、ボール保持から崩す形も備えるようになり、攻撃の幅が広がった。
戦術面では4-2-3-1をベースに、守備時にはコンパクトなブロックを形成し、奪った瞬間に素早く前線へとボールを届ける。二人のボランチがバランスを保ちながら中盤のスペースを消し、最終ラインも無理に押し上げず、安定を優先する。
その意識の浸透が、大崩れしない試合運びを実現している。個々の選手の知名度は決して高くないが、役割分担が明確で、一般的なアフリカのチームのイメージとは裏腹に、組織力は非常に高い。
キャプテンマークを巻く守護神のロンウェン・ウィリアムズ(マメロディ・サンダウンズ)は、身体能力の高さを活かしたビッグセーブだけでなく、幅広いカバーリングで20歳のムベケゼリ・ムボカジ(シカゴ・ファイアー)や22歳のイメ・オコン(ハノーファー)などが組む若いバックラインを支える。言わば、フォスターと並ぶチームの要だ。
このチームを率いるのが、ベルギー人指揮官のユーゴ・ブロースだ。2021年5月5日の就任以降、選手の特性を見極めた現実的な戦術の構築と、チーム内の競争を促すマネジメントで組織を立て直した。
経験豊富なベテランと勢いのある若手をうまく融合させ、過度に個に依存しないチームへと仕上げている点は特筆に値する。試合ごとに柔軟に戦い方を調整する手腕もあり、格上相手でも簡単には崩れない。
本大会のグループステージで南アフリカはグループAに入り、開催国のメキシコ、欧州プレーオフをしぶとく勝ち上がったチェコ、そして前回大会でベスト16に進出した韓国と対戦する。
いずれも実力と実績を兼ね備えた難敵だが、南アフリカにとっては持ち味である堅守と試合巧者ぶりを発揮しやすい構図とも言える。主導権を握られる展開でも我慢強く戦い、限られたチャンスを確実に仕留めることができれば、グループ突破の可能性は十分にある。
文●河治良幸
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