河村勇輝のNBA2シーズン目は、いい意味でも、悪い意味でも、当初想定していたのとはまったく違うシーズンとなった。
予想していなかったような困難が襲ったのは去年秋。開幕前に足の血栓が見つかり、3か月治療に専念しなくてはいけなかった。逆に、1月に復帰した後は、予想していたよりも多くのチャンスが巡ってきた。
「ブルズは2WAY契約の選手をNBAであまり使わない」と聞いていたのが、シーズン半ばで戦力の大半を入れ替えた時や、シーズン終盤に故障欠場が増えた時には、NBAブルズに招集され、試合前半から出ることも多かった。そのなかで、NBAでも自分の力が通用するということを証明することができた。NBAの壁を感じたこともあり、目標とする本契約をもらうには十分ではなかったが、それでも、間違いなく選手として成長したという手応えを感じられたシーズンだった。
ブルズのユニフォームを着て過ごした3か月はどんな日々だったのか。そして、3シーズン目となる来季に向けて、どんな思いでいるのか。現地時間4月10日(日本時間11日)、ブルズのレギュラーシーズンが終了する2日前に、シカゴのユナイテッドセンターで行なわれたホームゲーム最終戦で河村に話を聞いた。
――今季を振り返って
「最初の3か月間にバスケができなかったっていうこともあって、シーズンがすごく短かったというか、早かったというか……という感覚が一番強いです。そのなかで去年以上にローテーションとしてプレーさせてもらう機会があって、そのなかで自分のできること、できないこと(がわかった)。ディフェンスの部分は去年よりよくなってると自分の中でも感じますし、オフェンスも思い切ってシュートを打ち切るっていうところは去年以上にできてるんじゃないかなって思う。
ただ、シュートの確率の部分とターンオーバーの部分っていうのはもっと高めていかないと、本契約どころかNBAの2WAYだったり、そういったところにも行けないような状態になってしまうと思う。逆に言うと、そこをしっかりとクリアすれば、自ずと本契約っていうところは近づいてくるかなと思ってます」
――今季で一番印象に残った試合は?
「最初のマイアミ戦(現地時間1月31日)。僕の今シーズンのNBA復帰戦っていうこともありましたし、試合にも勝って、また第4クォーターの最後のクラッチタイムも試合に出させてもらった。最初の試合で、試合にも勝てたので、一番強く印象に残っています」
――昨季とのNBAでの出場時間帯の違いについて
「去年は(ほとんどが)試合終盤、ある意味、試合の勝負が完全についている状態での出場で、相手のメンバーも若手の選手や、あまり試合に絡んでこないような選手のマッチアップがやっぱり多かったんですけど、今年のように第2、3クォーターから出ることによって、スター選手、主力選手とマッチアップする機会が増えて、そういった選手を止めることだったり、マッチアップすることで得られるものというのは本当にたくさんあるなと思ってます。
逆に言うと、本当にひとつミスしたらもう次チャンスがないという緊張感の中でのプレーなので。そういったプレッシャーも必ず自分の強さにつながって、成長につながっているなというふうに思います」
――昨季以上にNBAを経験することができた?
「元々シーズンが始まる前は、前シーズンにブルズで2WAY契約だった選手から『ブルズは2WAY選手をほとんど(NBAで)使わないから、かなりタフなシーズンになるよ』みたいな話を聞いていたんですけど、チーム状況も相まって、プレータイムもいただけたのは間違いなく自分の経験になってます。
この経験が必ず次の本契約に向けてのいいステップにはつながってくるし、この2年間で確実にステップアップできてるので、あとはここをひとつ乗り越えれば、間違いなく本契約っていうところにつながるかなって自分では思ってます」
――昨季のメンフィス・グリズリーズではシーズン終盤にヘッドコーチが交代となったが、今季はシーズン終盤にフロントの責任者2人が解雇となりました。
「これが NBA の厳しさというか。選手だけではなく、ヘッドコーチだったり、トップの GM(ゼネラルマネージャー)が変わるっていうことは、なかなか NBA 選手でも多くない経験だと思ってるんで。そういうのを2年連続で経験しましたし、また今回のトレード・デッドラインでは、半分以上の選手が入れ替わって、ガラッとチームが変わったっていうのも経験できているので。
逆に言うと、自分が本契約になった時は……まあ、2WAY の時もそうですけど、本契約になればまたそういったトレードのことをさらに気にしたりしないといけないこともあると思うので。今は、とにかく自分がフォーカスできることをやるべきかなと思ってます」
――7月にフリーエージェントになりますが、その時にチームを選ぶ基準は?
「自分が選べる立場だった場合は、ポイントガードを起点とするようなチームでプレーするのがいいのかなと思っていて。そういうチームの方が自分は生きるのかなって。
あとはトランジションの多いチーム。ハーフコートでじっくりじっくりやるチームというよりかは、どんどんアップテンポでやるバスケットの方が自分はいけるかなって思ってるんで。自分が選べる立場だったらそうやって選びたいなと思います」
――その点で、ブルズはどうですか?
「ブルズはツーガードでプレーすることもありますけれど、トレード・デッドラインの後からガードが増えちゃって、この夏どう整理するかちょっとわかりませんし、トレ・ジョーンズとロブ(ディリングハム)のスモールガード2人は契約が残っているらしいので、スモールガードが増えすぎると(残るのは)簡単ではないのではと思います…」
――来季に向けての抱負
「渡米して3年目は本契約を目標としてきていたので、来年はもちろん本契約をしっかりと目標に据えながらやっていければいいなと思います」
――今夏の代表戦出場について
「代表戦ですごく活躍したからといって、NBAの契約にぐっと近づくということではないとは思うんですけど、もちろん代表戦に出たいという気持ちは常にある。そこは次のチームの契約との兼ね合い。そういったところがしっかりとクリアになれば、常にプレーできる準備はしておきたいなと思っています」
取材・文●宮地陽子
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