28歳ライアン・ウォードが、ついにロサンゼルス・ドジャースでメジャーデビューを果たした。
“父親リスト”入りしたフレディ・フリーマンの代役として、現地4月19日に3Aオクラホマシティ・コメッツから昇格。早速19日のコロラド・ロッキーズ戦に「7番・一塁」で出場した。
第1打席は中飛に終わったが、安打のマックス・マンシー、四球のアレックス・コールを一、二塁に置いて打席に入った第2打席で、3球目を右翼前にはじき返してメジャー初安打・初打点。続く6回の第3打席では中前打を放って、マルチ安打を記録した。
特別な日を迎えたウォードについて、ロサンゼルス地元紙『California Post』のジャック・ハリス記者が、キャリア初のメジャー昇格を果たしたウォードにスポットを当てた記事を公開した。
2019年のドラフトで8巡目指名を受けたウォードは、ドジャースのマイナーで着実に実力をつけ、25年シーズンには3Aで打率.290、36本塁打、122打点の活躍でパシフィックコーストリーグのMVPに選出。近年は毎年のように昇格が期待されていた外野手兼一塁手のスラッガーだ。
今シーズンも開幕を3Aで迎え、68打数22安打、打率.324、4本塁打、OPS1.020をマーク。夫人の出産に立ち会うために父親リスト入りしたフリーマンの代役として、白羽の矢が立った。
「待ち時間は7年と3週間。4月17日金曜日の夜、ウォードはキャリアを通して待ち望んでいた知らせを受け取った。行き詰まりそうになることも多かったマイナーでの7シーズンの道のりを経て、自身の職業における頂点のリーグに到達した」
ハリス記者によるとウォードは、「若い時に大物有望株として脚光を浴びたことはなかった。持ち前のパワーでドラフト指名されたが、体格(178センチ)や守備範囲の狭さ(ポジションは外野両翼か一塁手)が課題で、何よりストライクソーンを見極められない点が打撃成績を阻害する要因となり、評価が上がらなかった」という選手だった。
「2021年から24年にかけてウォードは109本の本塁打を放ち、ハイAから3Aに昇格。どの方向にも本塁打を放てるパワーを見せつけた。それでも、その期間の打率は.255。四球数195のほぼ3倍近い三振数(532)を記録した。ゾーンの外に外れるボールに手を出して、簡単に空振り三振に終わっていたからだ」
そんな状況にドジャース首脳陣は、ボールを見極める能力が必要だと繰り返した。そこでウォードは24年シーズンから、ピッチングマシンを使ってストライクゾーンを見極める目を養い、スカウティングレポートを存分に活用して相手投手を攻略する策を練ったりと、準備に一層の力を入れ始めたという。
ドジャースのマイナーリーグ打撃コーディネーターとしてウォードを指導し、今シーズからコロラド・ロッキーズの打撃コーチに就任したブレッド・ピルは、地道な特訓を続けたウォードについて、「彼もなんとなく気づいたんだと思う。本当にドジャースに上がりたいなら、その辺りのことも理解しないといけないってね」とハリス記者は伝えている。
メジャーデビュー戦となったロッキーズ戦には、両親らファミリーと婚約者が来場。スタンドから初昇格したウォードの雄姿を見守った。
父親のカールは『California Post』紙の取材に対し、「息子を誇りに思う。彼は何もかも簡単に手にしてきたわけじゃない。いまの地位にたどり着くには本当に一生懸命努力しなければいけなかった。(選球眼を鍛えたり、スカウティングレポートを活用するようになったのは)参加した24年の春季キャンプの終わりに、ロバーツ監督に呼び止められ、“これが今の君の成長を妨げている原因だ”と言われた」からだという。
さらに父親のカールは、「ライアンは決して自分を哀れむことはなかった。“俺はかわいそうな人間だ”なんて言うことはなかったね。いつも“よし、仕事に行こう”と言うだけだった。誰にも負けないくらい働く。それが彼の仕事に対する姿勢なんだ」と息子の言動を明かした。
ウォードは故郷のマサチューセッツ州で冬を過ごす間、野球以外の仕事もいくつかしていた。吹雪の後には、ミルベリー市の公共事業局で公園管理責任者を務める父親の仕事を手伝い、除雪車を運転して地域の主要道路の雪かきをしていた。また、地元の打撃練習施設でも働き、発展途上の持つ若い選手たちにスイングのアドバイスを行なっていた。
「本当にいい子だよ。ボストン出身で努力家だ」と振り返ったピル打撃コーチに元に、ウォードの昇格が決まった後、前所属となるドジャースのコーチ仲間から次々と祝福のメッセージが届いたという。
周囲から愛されるウォードのエピソードは枚挙にいとまがない。ロッキーズ戦でスタメン出場したが、本来はダルトン・ラッシングが一塁手として出場する予定だったという。「実は最初はラッシングを起用するつもりだった」とロバーツ監督は明かした。
それでもその後、ラッシングではなくウォードの起用を決意。翻意した理由をラッシングに伝える際、ロバーツ監督は「スタメンを伝えていたラッシングに、こう言ったんだ。“ライアンを先発出場させる。なぜなら……”」。
指揮官の言葉を、途中でスタメン落ちを宣告されたラッシングが遮ったという。「ダルトンが私の言葉を言い終えてくれたんだ。“彼はスタメンに値する”ってね」。
ウォードとラッシングは24年と25年にともに3Aオクラホマシティでプレー。25歳のラッシングが、28歳のウォードに快くスタメンの座を譲ったというのだ。
フリーマンの“父親リスト”入りによる欠場は最長でも3日間。ハリス記者も「ウォードのメジャー昇格期間は、長く続かないかもしれない」と、ウォードのメンバー入りが一時的なものになる可能性を示唆。「しかし、彼にとってドジャースまで辿り着いたこと自体が偉業だ」と称賛の言葉も付け加えた。
ふたたび3Aに戻ることになっても、ウォードが自らの手でドジャース昇格を勝ち取ったのは間違いない。メジャー昇格が一時的なものになろうとも、家族やかつて指導してくれたコーチ、3Aでの同僚選手をはじめ、多くの人に祝福されたように、ウォードにとっては大きな意味がある。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】ウォードがメジャー初安打・初打点、スタンドの家族や婚約者が大喜び!
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