
国内外から熱い支持を得る荒川弘の最新作「黄泉のツガイ」が待望のTVアニメ化。4月4日よりTOKYO MXほかにて連続2クールでの放送がスタートした。謎と怪奇が交錯する新感覚ツガイバトルと幻怪ファンタジーを描く本作。今回はユル役の小野賢章、アサ役の宮本侑芽、ガブちゃん役の久野美咲に鼎談インタビューを実施。豪華キャスト陣が揃うアフレコ現場のエピソードまで、たっぷりと語ってもらった。
■荒川弘作品への出演決定の喜びと、予測不能な展開への衝撃
――出演が決まった時のお気持ちからお願いいたします。
小野 荒川弘先生の作品に出演するのは初めてだったので、「まさか自分が出る日が来るとは!」とすごく嬉しかったです。
宮本 私も嬉しくて、お祝いとしてご馳走を食べに行ったぐらいです(笑)。キャスト発表後も同業の方々が喜んでくれて、改めて作品の大きさを感じましたね。
久野 私もとても嬉しかったです。自分にできることを全力で頑張りたいなと思いました。
――原作をお読みになった時の印象はいかがでしたか?
小野 みんなで平和に暮らしている状況から、一気に変化していくじゃないですか。その瞬間は「荒川先生キター!」ってドキドキしましたね(笑)。シリアスの中にもコミカルな部分があって、重くなりすぎずに進めるところも荒川先生らしさを感じます。オーディションの時に初めて読んだんですけど、面白すぎて最新刊まで一気読みしちゃって、「これで落ちたら悲しいぞ」と(笑)。
宮本 どんどんシリアスで重い話になっていくのに展開にワクワクして、私もすごいスピードで読み進めました。ツガイやキャラクターがアニメになってどう動くのか、「これは楽しみすぎる!」って感じました。
久野 世界観もキャラクターも、あまり見たことがないオリジナリティに溢れていますし、何より先が全く読めない展開にずっとドキドキしました。どのキャラクターもバックボーンがしっかりしていて、スッと感情移入できるのが素敵だなって思います。

■16歳の双子と謎めいた少女。キャラクターを演じる上での“軸”
――お芝居の際に意識していることをお伺いできますか?
小野 とくに第1話や第2話の段階では、ユルは「自分がしっかりしなきゃ」という思いがすごく強い子なんですよ。両親がいないことで、強制的に大人にならざるを得なかっただろうし、「常に冷静で、自分に殺意を向けたものには躊躇しない」という父の教えも忠実に守っているので、実年齢より大人っぽく作っても大丈夫かなと考えていました。あとで音響監督さんに「オーディションではさすがに大人っぽくやりすぎたかもしれない」って相談したくらいです(笑)。
――ユルについては、足元の土台が崩れるところから始まる芝居なだけに、難しさもあったと思います。
小野 そうですね。序盤のユルはパニックに近い状態で、納得して行動できていないフラストレーションはかなり溜まった思い出があります。まあ、簡単に言うと疲れました(笑)。
宮本 その点アサは、第1話の時点ですでに覚悟を決めて行動しているので、悩みを表面に出さないよう、きりっとしたお芝居を心がけました。唯一、兄様とガブちゃんと話す時だけは普通の女の子でいられるので、戦闘モードと日常モードの対比は色々と考えて臨みました。
――切り替えは自然な流れでやっているんですか?
宮本 そうですね。小野(賢章)さんは子供の頃から知っている存在なので、話していると自然と心がほぐれる気がしますし、久野(美咲)さんはもう。
久野 子役時代から一緒に声のお仕事をしていたもんね。
宮本 そうそう。なので久野(美咲)さんの声が聞こえると安心する自分がいて、自然と気持ちが切り替わりますね。
久野 それは私も同じです。子役時代、宮本(侑芽)さんとは映画の吹き替えのお仕事で、よく姉妹の役をやらせていただいていたんです。なので、今回のご縁にも感謝しながらお芝居させてもらっています。

――ガブちゃんもまた癖の強いキャラクターですよね。
久野 役名に「ちゃん」が付いているんですけど、実は残忍な部分も持っているキャラクターですね。実は、第1話のアフレコ前に、荒川弘先生から直接ガブちゃんの裏設定やバックボーンを教えていただいたんですよ。
小野 そうだったの?
宮本 いいなあ。
小野 教えて?
久野 言いたいんですけどね(笑)。アフレコ現場でも、キャストの中で私だけ呼ばれて教えていただいたので、まだ内緒の方が良いのかもしれません。その情報を元に役作りをして、精一杯お芝居に臨んでいます。
――ちなみに「ガブッ」という決めセリフについて、何か意識したことは?
久野 アフレコ時のリハーサルビデオのガブちゃんの手の動きや角度を見ながら、色んな表現をつけられたらなと思ってやらせていただきました。
宮本 個人的に「ガブッ」のアクセントが頭高だったのが印象的で、可愛さよりも怖さを感じてグッと来ました。
久野 嬉しいなぁ。より「かじっている」雰囲気が伝わればいいなと思っていたので。


■アフレコ現場は和やか! ベテランキャスト陣の圧倒的なお芝居
――アフレコ現場の雰囲気も伺いたいです。
小野 収録はすごくスムーズに進んでいます。すごい先輩たちがいっぱいいるので、その方々が雰囲気を和やかにしてくれている印象があります。
宮本 最初は先輩方の多さに震え上がるぐらい緊張していたんですけど、先輩方がテスト中にも普通に「あ、間違えた」とか言ってくださって。「いくらでも間違えていいんだよ」と背中で教えてくださっているんだなと感じながら、気負わずに収録ができています。
久野 すごくお芝居に集中できる現場だなと思っています。休憩時間は和やかで、本番でマイクの前に立ったら、一気に雰囲気が切り替わって「黄泉のツガイ」の世界に入り込む感じで、毎週すごく楽しいです。
――先輩方の演技を見ていて印象的だったことはありますか。
小野 中村悠一さんが一番声出してるなって(笑)。荒川弘先生の作品ってコミカルなシーンもたくさんあるじゃないですか。今回はコメディ担当の筆頭にデラさんがいると思うんですけど、日常のデラさんって、戦闘の時よりも声がデカいんです(笑)。それに引っ張られて作品全体のテンションも上がっているような気がします。
宮本 本田貴子さんが左様を作っている時に、音響監督さんから「もうちょっと石っぽく」というディレクションをもらったんです。側で聞いていて「めちゃくちゃ難しい!」って思ったんですけど、本田さんがすぐに調整して、出てきた芝居が本当に石っぽいんです(笑)。「うわあ、凄いなあ」って感動しましたね。
久野 私も、左役の本田貴子さんのお芝居が本当に素敵で、毎回尊敬しています。声を荒げるわけでもなく淡々とお話しされているのに、「神様だ」と感じさせる貫禄があって。あとは右役の小山力也さんの、マイク前でグワってギアが上がる感じも本当にすごいなっていつも思っています。短いセリフの時には小山さんはセリフを覚えてらっしゃって、台本を持たずに全身で動きをつけながらお芝居をなさるんです。お芝居への向き合い方がすごく素敵ですね。
宮本 マイクの前にお三方立っていると、小野さんを中心に左右にお二人がいらっしゃるので、まんま左右様みたいなんですよ。機会があれば、ぜひこの構図を視聴者の皆さんにもお届けしたいぐらいです(笑)。

■アニメならではの「ツガイバトル」のスピード感と劇伴に注目!
――最後に、バトル面での見どころを教えてください。
小野 ツガイによって戦い方のスタイルも全然違うので、アニメならではの動きに注目していただきたいです。個人的には、ユルは山でずっと生活していてあまり息が上がらないため、「アクションに息を入れていかなくていい」という方針が決まった時の安堵感は忘れられないです(笑)。そこは声ではなく映像で見せていくという意思の表れだと思うので、皆さんも集中して見ていただけたらなと思います。
宮本 ボンズさんなので、滑らかに動くアクションはもちろん魅力なんですけど、これから明かされていくアサの能力に関係する「静」のシーンもすごく素敵なので、そこは楽しみにしてほしいなと思います。あと個人的には、このあとに登場するツガイの強敵がすごく好きで、今から登場を楽しみにしています。
久野 初めて第1話と第2話を見た時に、荒川弘先生の原作の絵が本当に飛び出してきたような感覚を覚えて鳥肌が立ちました。アクションだけでなく、空をあおるカットだったり、何気ないカメラアングルもすごく素敵なんですよね。あと劇伴も最高で、戦闘が始まる瞬間の盛り上がり方がすごいんですよ。まるで映画を観ているかのような感覚を味わえますし、アニメならではの表現だなって改めて感動しました。ぜひこれからも楽しみにして頂けたらと思います。
――本日はありがとうございました。
◆取材・文=岡本大介


