
【北中米W杯出場国紹介|第36回:ドイツ】5度目の世界制覇へ。大型FW問題は解決、2列目はライバルの列強も羨むほどの陣容に
北中米ワールドカップで5度目の優勝を狙うドイツ代表は、前回のカタール大会での屈辱からの巻き返しを期す。初戦で日本に敗れ、グループステージ敗退に終わった結果は、長年安定した強さを誇ってきたこの国にとって大きな転換点に。過去には旧西ドイツ時代を含めて4度の優勝を誇るが、伝統に安住しない再構築が求められた。
カタール大会後もハンジ・フリック体制が継続されたが、2023年9月の親善試合で、再び日本に完敗したことが、監督交代の決定打に。後任に就いたユリアン・ナーゲルスマン監督は、世代交代と戦術改革を同時に推し進めた。
基本システムは4-2-3-1だが、4-3-3と使い分け、試合中にも可変できる。ポゼッションにスピードと縦への推進力を加えたスタイルへと進化している。
新体制で挑んだEURO2024は、準々決勝でスペインに延長戦の末に敗れて敗退。それでもフロリアン・ヴィルツ(リバプール)が得点を挙げるなど、若い世代の台頭が明確になった大会でもあった。
この流れは欧州予選にもつながり、初戦でスロバキアに敗れる波乱のスタートから5連勝し、最終節ではスロバキアに6-0の大勝でリベンジを果たして、本大会出場を決めている。
前線ではニック・ヴォルテマーデ(ニューカッスル)が新たな軸として台頭し、長らく課題とされてきた大型FW問題に解決を示した。2列目にはヴィルツに加え、ジャマル・ムシアラ(バイエルン)、カイ・ハバーツ(アーセナル)、レロイ・ザネ(ガラタサライ)といった個で打開できる選手が並ぶ。ここに18歳の新鋭レナート・カール(バイエルン)が加わり、ライバルの列強も羨むほどの陣容だ。
中盤ではアンジェロ・シュティラー(シュツットガルト)とレオン・ゴレツカ(バイエルン)が強度と安定感をもたらし、攻守のバランスを支える。最終ラインは前体制から着実に経験を積んできたニコ・シュロッターベック(ドルトムント)とヨナタン・ター(バイエルン)が中心となり、対人守備とビルドアップの両面で機能している。
戦術面と精神面の両方でチームを支えるのがヨズア・キミッヒ(バイエルン)だ。ボランチでも高水準のプレーを見せる万能型の選手だが、現在は右サイドバックとして固定され、ビルドアップの起点と攻撃参加の両面で存在感を発揮する。ピッチ全体を俯瞰するその視野と統率力で、存在そのものがドイツ代表の生命線だ。
注目のGKはマヌエル・ノイアー(バイエルン)がEUROの後に代表引退を表明。当初は後継としてマルク=アンドレ・テア・シュテーゲン(ジローナ)が有力視されていたが、太ももの負傷により長期離脱。ノイアーの復帰説も囁かれるなかで、オリバー・バウマン(ホッフェンハイム)が欧州予選で安定したパフォーマンスを披露し、開幕スタメンの最有力候補として大きくアピールしている。
本大会のグループステージではキュラソー、コートジボワール、エクアドルと同組に入った。いずれも独自の特長を備えた相手ではあるが、総合力ではドイツが上回ると見られ、確実に首位突破を果たしたいところ。ここを盤石に乗り切ることが、決勝トーナメントでの戦いを優位に進め、5度目の優勝に近づくための鍵となる。
文●河治良幸
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