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【F1】ルール修正で「一貫して限界走行できるように」 英専門メディアは「常識的なアプローチ」と高評価も“最高速50キロ減”問題は未解決と指摘

【F1】ルール修正で「一貫して限界走行できるように」 英専門メディアは「常識的なアプローチ」と高評価も“最高速50キロ減”問題は未解決と指摘

開幕わずか3戦で大きな修正を強いられた。

 F1は2026年シーズン、全面的に刷新されたレギュレーションの下でスタート。新時代を見据えて導入された技術ルールだが、実際のレースウイークではドライバーの走りや競争の見栄え、安全面にまで影響を及ぼし、パドック内外から不満が噴出した。

 そうした状況を受け、FIA(国際自動車連盟)はチーム代表、パワーユニットメーカーのCEO、FOMなどを交えた会議を経て、マイアミGP(5月2日~)から順次適用する改正内容を発表した。

 イタリアのスポーツ紙『Gazzetta dello Sport』は、改正内容の柱について「予選では異なるエネルギー管理によってドライバーにより大きな自由を与え、決勝では安全上の理由からブーストを制限し、スタートでは低出力検知と新たな視覚警告システムを導入する」と要点を伝えている。

 今回の修正で最も注目されるのは、やはり予選でのエネルギー管理だ。今季3戦の予選では、高速コーナーで本来なら全開で駆け抜けたい場面でも、充電のためにアクセルを緩めざるを得ない状況が問題視されてきた。同メディアによれば、FIAはこの点を是正するため、「最大許容充電量を8MJから7MJへ引き下げ、過剰なエネルギー回収を抑え、より一貫して限界走行できるようにする」と決定した。

 あわせて、「スーパークリップ(全開走行時にエンジン出力を使ってバッテリー充電する状態)のピーク出力は250kWから350kWへ引き上げられた」という。この変更により、ドライバーは高速区間で意図的にアクセルを抜く「リフト・アンド・コースト」により350kWのエネルギー回生を行なう動機が薄くなる。そのため、「再びブレーキング時以外でアクセルを抜かない、より自然なドライビング」に近づくと見られている。
  同メディアは、この変更の狙いをさらに詳しく解説しており、「予選は最初の3戦で最も大きな影響を受けた局面であり、マシンを限界で走らせることよりエネルギー管理が優先された」と指摘。その上で、今回の改正は「あくまでルール適用の仕方を修正するもの」とした。

 車両重量を軽く抑えるためにバッテリー容量を大きくできない一方、電力比率を大幅に高めたことが、露呈した“悪循環”の根源だと説明。「FIAは、互いに矛盾する技術目標に結び付いた規則の適用が楽観的過ぎたことを修正しようとしている」と評価した。

 決勝での変更もまた、安全性とレースの自然さの両立を意識した内容となった。同メディアは、「決勝で使用可能なブーストの最大出力増分は150kWに制限される」と伝え、急激な性能差によって生まれる“人工的な追い抜き”の印象を弱めようとしていると説明する。

 またMGU-Kについては、「コーナー出口からブレーキングポイントまでの重要な加速区間では350kWを維持し、それ以外の区間では250kWに制限する」方針が示された。日本GPで見られたような危険な接近速度を抑えつつ、オーバーテイクの機会そのものは残す考えだ。

 スタート手順に関しても、新たな試みが導入される。マイアミGPではまず、テストとして「クラッチを繋いだ直後に異常に加速が鈍い車両を検知し、その場合はMGU-Kの出力を自動的に介入させて最低限の加速を確保する」システムが運用される見通しである。後続車への追突リスクを減らすため、「該当車両には後部および側面の点滅灯で視覚的な警告も与える」という。

 さらにウエット時には、ドライバーからの要望を受けた措置も。「インターミディエイトタイヤのウォーマー温度を引き上げ、初期グリップを改善する」とともに、ERS出力を抑えて低グリップ下でのコントロール性を高めるという。 英専門メディア『THE RACE』は今回の会合の結論を、「退屈だが、賢明で、慎重で、合理的」と総括。「重要なのは、必要以上に過激な手を打たず、常識的なアプローチで確実に機能する方向へ進めたことだ」と評価している。

 実際、充電量上限を7MJにした判断も、「適当に数字を選んだのではなく、各チームの詳細な分析とシミュレーションを経て決まった」ものだと説明。トップダウンの大胆な変更ではなく、各分野、チームとの密接な連携による現実的で緻密な変更だと受け止めている。

 ただし同メディアも楽観一色ではない。「規則革命に近いものは全く起きず、マイアミGPまでに全ての問題を解決する奇策も現われなかった」「全てが正しい方向への一歩ではある。しかし、あくまで一歩にすぎない」と釘を刺す。

 とりわけドライバーやファンの不満が大きい、バッテリー切れでストレートの最高速が一気に50km/h近く落ちる現象については、「この改正でも完全には解決されていないように見える」と指摘する。
  そしてランド・ノリス(マクラーレン)の、「スピードがそこまで落ちるのを見るのは、魂が痛む」という言葉を引用しつつ、2014年に生じた「音」問題のように、「今度はこの速度低下が現行規則への反発の象徴になる可能性がある」との見立ても示している。

 ちなみに、序盤戦をこの新ルールへの高い適応力によってリードしてきたメルセデスのチーム代表であるトト・ウォルフも、この一連の協議について、「行動は野球のバットではなく、メスで行なわなければならない」と強調する(『Gazzetta dello Sport』紙より)。

 さらに開幕からまだ3戦しか終わっていない段階での拙速な大改変には否定的で、「最初の修正の一歩は、正しい方向にある。どちらの方向にも行き過ぎてはならない」との立場を示している。

 また、パワーユニット面で不利なメーカーへの救済措置については、「政治的な駆け引きの余地があってはならない。FIAは正しい精神で動くべきだ」とコメント。透明性と公平性の重要性を訴えている。

構成●THE DIGEST編集部

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配信元: THE DIGEST

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