プレーオフで活躍し、自分のチームを勝利に導くというのは、NBAプレーヤー誰しもが夢に描く場面だろう。
現地時間4月20日に行なわれたニューヨーク・ニックス対アトランタ・ホークスの第2戦でその喜びを味わったのは、ホークスのベテランガード、CJ・マッカラムだった。
ゲームハイの32得点に6アシスト、3リバウンド、2スティール、1ブロックと、攻守にわたる奮戦ぶりは数字にも表れているが、それだけではない。決め手は最終クォーター残り2分半、99-100と1点を追う場面からマッカラムは3連続フィールドゴールで一挙6点を稼ぎ出し、ホークスを逆転に導いた。
ニックスもジェイレン・ブランソンが意地の3ポイント2本をねじ込み粘ったが、ジェイレン・ジョンソンが追加した2点も効いて、ホークスが1点のリードを死守。107-106で逃げ切った。
79-91と12点差で第4クォーターに突入したニックスは、そのアドバンテージを守り切れずに貴重なホームゲームを落としてしまったわけだが、2桁リードで最終クォーターに入って敗れたのは、球団のプレーオフ史で2度目という屈辱的な敗戦。最後のポゼッションでミケル・ブリッジズのジャンプショットが決まっていれば劇的な再逆転勝利となったが、ブザーぎりぎりに放たれたボールはリムに弾かれた。
キャリア13年目のマッカラムは、今年の1月、トレイ・ヤングとのトレードでコーリー・キスパートとともにホークスに加入した。
昨年夏にニューオリンズ・ペリカンズからワシントン・ウィザーズへトレードされたばかりで、わずか半年後に、また別の球団へとチーム替えを経験したベテランにとって、大舞台でこのような活躍をすることは、思い描いていた理想の姿だったという。
「まさにこういう形を思い描いていた。役割としても、いいチームで勝利に貢献できる存在になる、ということもね。プレーオフ進出の助けになるというのは、(ホークスに入団するにあたって)エージェントや家族とも話していたことだった。もうあちこち移動し続けるのは避けたい、自分たちが“ホーム”だと思える場所を見つけたいってね」
34歳のガードはさらに続ける。
「長い夏の間に2度の引っ越しを経験して、NBA生活がもたらす過酷な日々をただただ耐え抜いてきた末に、プレーオフで戦えるようになったこと――それはまさに、トンネルの先に見えた光だったんだ」 NBA は自分がトレードされた事実をSNSで知るようなこともある世界。家族をもつ年齢ともなれば、落ち着ける場所で腰を据えてプレーに集中したいと思うのも当然だ。
一方、ホークス側にとっても、マッカラムの加入は大きなプラスとなった。
プレーオフへのストレートインを現実的なものにした2月中旬から3月半ばにかけての怒涛の11連勝中も、その影響は大きく感じられた。連勝の1戦目であるブルックリン・ネッツ戦からマッカラムはスターティング5に定着。主軸のジェイレン・ジョンソンに加えて、ゲームメークができてペネトレーションも得意とする彼の存在があることで、相手は的を絞りにくくなる。
ホークスに来てからは35.7%にとどまっているが、3ポイントも4割近い確率が見込めるマッカラムの存在は、チームの穴を様々な形で埋めている。7年半のあいだ球団のフランチャイズプレーヤーだったヤングと入れ替わる形での入団となったが、ここまでの活躍を見る限り、“ヤング・ロス”を払拭する働きをしていると言えるだろう。
ところで冒頭のニックス戦では、マッカラムは残り5秒の山場でジョシュ・ハートのファウルを誘い、フリースローのチャンスを得た。しかしこれを2本ともミス。ブリッジズのブザービーターが決まっていれば、直前の3連続ゴールも水の泡になるところだった。
これには本人も「難しいショットは決めるのにイージーショットは外す。ジムに戻ってフリースローの特訓をするよ」と苦笑い。
ともあれ敵陣、しかもマディソンスクエア・ガーデンという難所で、ホークスは貴重な勝利を手にした。明日23日のステイトファーム・アリーナでの第3戦は、どのような展開が待っているだろうか。
文●小川由紀子
ヤング体制からジョンソン中心のチームへ――変貌を遂げたホークス快進撃の理由<DUNKSHOOT>
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