
NHK「おかあさんといっしょ」で初代体操のお姉さんとして活躍してきた秋元杏月さんが、この春で番組を卒業。2019年から7年間の活動の集大成となる「『おかあさんといっしょ』メモリアルベスト とびだそう どこまでも」が発売される。
近年「おかあさんといっしょ」のお兄さん・お姉さんと言えば子どもたちだけでなく保護者の心も癒し、元気づけてくれる存在。“杏月お姉さん”の卒業が発表された時も、惜しむ声がSNSに溢れた。いつも子どもの視線に立ち、全力で向き合ってくれた秋元さん。今回は7年前の思い出やコロナ禍での番組との向き合い方、相棒である体操のお兄さんを務めた福尾誠さん、佐久本和夢さんとのエピソードなどさまざまなお話を伺った。
■子どもたちへの尊敬が強くなった7年間
――いち視聴者として、杏月お姉さんはキラキラした笑顔の印象がありました。今回の撮影でもとっても素敵な笑顔を見せてくださいましたが、“笑顔の秘訣”はありますか?
ありがとうございます! 笑顔の秘訣……人と会う時間を楽しむことですかね。私にとって、誰かとお話することが一番元気になることだなと最近改めて感じているんです。「おかあさんといっしょ」でお兄さんお姉さん、お友達と過ごす時間は本当に楽しくて、いつも心から笑っていました。
――なるほど。杏月お姉さんとして「おかあさんといっしょ」に初めて出演したのは7年前になりますが、最初からあまり緊張はされなかったんですか?
いえ、最初はものすごく緊張していました。歌や踊りだけではなく台本や収録の流れも把握しなければいけないので、覚えることがたくさんあって。特に地域局での収録は自分たちで進行することが多かったので、毎回とても緊張していたのを覚えています。
――「おかあさんといっしょ」のお兄さんとお姉さんと言えば、子どもたちの憧れの存在です。子どもたちと触れ合う中で学んだこと、気づかされたことはありますか?
子どもたちって、私が思っていたよりもすごく身体能力が高くて知識も豊富で、個性豊かなんだなと感じました。収録で幼稚園やこども園、保育園に行く機会が多かったのですが、ご家族が宇宙関係のお仕事をされている子は宇宙についての知識が豊富だったり、普段山や自然の中で過ごしている子どもたちは草やお花の名前をいっぱい知っていたり。「これ毒があるから触っちゃだめだよ」と教えてくれることもあって、「私が知らないことを、あの小さな体の中にいっぱい詰め込んでいるんだな」と改めて子どもたちへの尊敬の気持ちが強くなっていきました。
――「身体能力が高い」というのが体操のお姉さんならではの気づきですね。
一緒に山登りをする撮影があったのですが、子どもたちは3周ぐらい登るところを、私は1度しか登れなくて(笑)。体力差に驚きました。スタジオ収録では「あ・そ・ぎゅー」や「きらぴかハッケンジャー」といったおともだちと一対一で触れ合うコーナーを担当していたのですが、最初はできないことがあっても、教えたり一緒にやったりすると、すぐにできるようになるんです。「子どもって本当に成長するスピードが速いんだな」と、いつも驚かされていました。

■お兄さんお姉さんと保護者は“戦友”
――2019年から体操のお姉さんになった秋元さんは、コロナ禍も経験していらっしゃいます。それまでスタジオ収録に参加していた子どもたちの出演が一時中止になるなど、番組にも大きな影響があったと思うのですが、どんなことを思いながら活動していましたか?
コロナ禍では子どもたちもお外に遊びに行けなかったり、おともだちにも会えなかったり、制限された生活を送ることになりましたよね。そんな中でも、「できるだけ楽しい時間をお届けして、元気になってもらいたいな」という気持ちで収録に挑んでいました。そもそも普段おともだちがいる収録でも「カメラの前にもおともだちがひとりいる、と考えながら歌と踊りをしてみて」とアドバイスいただいていたので、基本的な姿勢は変わらなかったのですが、その気持ちがより強くなった期間でした。
――コロナ禍もそうですが、それ以外の時も私たち保護者の立場としては「おかあさんといっしょ」のお兄さんお姉さんって、子育ての一番辛い時期を一緒に乗り越えてくれた存在だったので、本当に感謝しています。そんな保護者からの声も届いていましたか?
私も「すごく助けられています」「元気をもらえます」といったお手紙をいただきました。中でも“戦友”という言葉をいただけたことがあって、嬉しかったです。私の中ではひたすら「子どもたちに元気を届けよう」という意識で日々取り組んでいたのですが、それが結果としておうちの方にも元気になってもらえていたんだと思うと、より励みになりました。

■他のお兄さんお姉さんは、仲間で友達
――毎年、2月のうたが発表されると、その内容から「誰が卒業してしまうのか」という話題が「おかあさんといっしょ」を愛する人々の中で話題になるほど、お兄さんとお姉さんの卒業には注目が集まっています。杏月お姉さんの卒業が決まった時にはSNSが悲しみの声で溢れていました。秋元さんは(福尾)誠お兄さん卒業の際は涙を流されていましたよね。
本当にすごく寂しくて。「辞めるのをやめてほしい」と思っていました。私たちは同時に体操のお兄さん・お姉さんになったので、誠お兄さんは「一緒に頑張ってきた」と言ってくださるのですが、私の中では背中を追いかけていたという気持ちが強くて。学ばせてもらうことがたくさんあったし、安心できる存在でした。
だからこそ誠お兄さんが卒業されるとき「本当に頼りにしていたんだな」と改めて感じて、少し反省したんです。不安な気持ちもあったけど、「誠お兄さんから学んだことを次に繋げていかないと」とそこから新年度に向けて気持ちを切り替えました。
――そこで新しく、佐久本和夢さんが体操のお兄さんになりました。言わば後輩から先輩の立場になったわけですよね。
そうですね。私にとっての誠お兄さんのような存在に、今度は私がならなくてはいけないなと思いました。自分自身を振り返っても、最初ってすごくドキドキすることがたくさんあるので、まずは安心してもらえるような、心強い存在になりたいと思っていたんです。
でも和夢お兄さんは最初からすごく安定していて、私から見て不安に思うところがまったくありませんでした。ふたりとも新体操をやっていたこともあって、一緒に新体操を披露させていただく機会があったのですが、私は毎回緊張して、本番前は不安になるんです。でも和夢お兄さんは不安になる素振りを見せないどころか「大丈夫です、大丈夫です」と言ってくれて。和夢お兄さんにはたくさん助けてもらいましたし、和夢お兄さんがいたからこそ乗り越えられた瞬間が何度もありました。
――ではご自身が卒業される時はもう不安はなかった?
和夢お兄さんなら絶対大丈夫だと思いましたし、本人にもそう伝えました。
――うたのお兄さんお姉さん含め4人でのファミリー感というか、仲の良さも観ていて魅力的でした。
途中で卒業されたあつこお姉さん・誠お兄さんを含めて6人みんな仲間であり、私が言うのもおこがましいのですが友達みたいな存在でした。今の自分がいるのはそれぞれのお兄さんお姉さんとの思い出・存在があったからこそだなと感謝の気持ちでいっぱいですし、出会えて良かったなと心から思っています。
まやお姉さんとはお仕事のことだけでなくプライベートの相談にも乗ってもらったりして。これからもずっとお友達でいられたら嬉しいです。
■これからも子どもたちといっしょ
――今回7年間の集大成である、「『おかあさんといっしょ』メモリアルベスト とびだそう どこまでも」が発売されます。7年前のご自身を観て、いかがでしたか?
私と誠お兄さんが初登場した時の「きみのなまえ」が収録されているのですが、今改めて観ると、やっぱり緊張しているなぁと思います。緊張しすぎて当時の記憶があまりないのですが、今回観て子どもたちがすごく温かく迎え入れてくれたのを思い出しました。他の楽曲も振り返って嬉しい気持ちになりましたし、思い返して「楽しかったなぁ、幸せだったな」と思えること自体が幸せだなと感じました。
――初登場、緊張している自分に今の自分から声をかけるとしたら、どんな声をかけたいですか?
「全力で楽しんで」と言いたいですね。「おかあさんといっしょ」の体操のお姉さんでいられる時間って、永遠に続くものじゃない。だからこそすごく尊い時間だったなと今改めて思うんです。周りの支えてくださる方への感謝の気持ちを忘れず、一回一回の収録やその時に会える子どもたちと過ごせる時間を噛み締めて、本当にただただ楽しんでほしいと伝えたいです。
――ちなみにですが、7年間で、一番お気に入りの衣装はなんですか?
やっぱりいつも着ていた体操服ですね。一番思い入れが強いです。収録やコンサートの時、お揃いの手作り衣装を着てくれているおともだちがたくさんいて、すごく嬉しかったです。
――衣装同様、7年間でたくさんの曲があったかと思います。一番お気に入りの曲はどれでしょうか?
たくさんありますが、卒業が決まった後の2月のうた「ゆきたいところへ」は私にとって宝物のようなクリップですね。アニメーションバージョンもとても可愛いですし、その後3月には別バージョンとしてメモリアルバージョンを作っていただきました。メモリアルバージョンに出演してくれたおともだちがみんないい顔をしていて。作ってくださったスタッフの方はもちろん、いろいろな方への感謝の気持ちが今観ても蘇ります。
――今お話を聞いていても、本当に7年間が素敵な思い出になっているんだなと感じました。いち視聴者としては、それが一番嬉しいです。
本当に、とにかく幸せな7年間でした。
――これからはどんなことをしていきたいですか?
やっぱりまだまだ子どもたちと体を動かし続けたいです。体操のお姉さんは体を動かすことが資本ですから、ストレッチしたり整体に行ったり、体のケアはすごくしていたんです。これから年齢も重ねていきますが、自分の体と向き合って、より頑張っていきたいです。


