
【北中米W杯出場国紹介|第41回:メキシコ】7大会連続で16強止まり→前回はGS敗退。圧倒的なホームアドバンテージで新たな歴史を刻みたい
北中米ワールドカップに開催国として臨むメキシコ代表は、通算18回目の出場を誇る常連国だ。
過去の最高成績はベスト8で、1970年大会と1986年大会の二度で、いずれも自国開催で記録したもの。今回はアメリカ、カナダとの共催となるが、グループステージの3試合はすべてメキシコ会場で行なわれ、もし1位通過を果たせばラウンド32、さらにラウンド16も首都の“聖地”エスタディオ・アステカで戦うことができる。
圧倒的なホームアドバンテージを得られる条件は整っており、過去の栄光を再び手繰り寄せる好機と言える。
一方で、近年の成績を振り返ると、課題も明確だ。1994年大会以降、7大会連続でベスト16敗退という“壁”に阻まれ続けてきた。前回大会ではグループステージ敗退の屈辱も味わい、世代交代の必要性が問われた。
そうした停滞を打破するために指揮を任されたのが、かつて日本代表を率いたハビエル・アギーレ監督だ。経験豊富な指揮官はチームを「戦う集団」として再構築している。
開催国のため予選は免除されたが、実戦の場として重要だったのが北中米カリブ海王者を決める昨夏のCONCACAFゴールドカップである。決勝でアメリカを2-1で下して優勝。W杯開催地の1つでもあるヒューストンでの勝利は、チームの完成度と勝負強さを証明するものだった。
この大会でエースのラウール・ヒメネス(フルアム)は準々決勝と決勝で得点を挙げており、存在感を改めて示している。
ベースは4-3-3。中盤で丁寧にボールをつなぎ、サイドに起点を作りながら、状況に応じてゴール前に人数をかけていくスタイルだ。伝統的なパスワークを土台にしつつ、現代的なプレッシングも取り入れており、守備はコンパクトでソリッド、攻撃ではオープンでダイナミックという明確なメリハリを持つ。
このチームの最大の強みは、センターラインの安定にある。最前線にはR・ヒメネスが君臨し、中盤の軸にはエドソン・アルバレス(フェネルバフチェ)が構える。守備陣ではセサル・モンテス(ロコモティフ・モスクワ)がディフェンスリーダーとして広範囲をカバーし、そのパートナーを務めるホアン・バスケス(ジェノア)はセリエAで屈強なアタッカーと日々対峙している実力者だ。ゴールマウスにはラウール・ランヘル(グアダラハラ)が立ち、パワーとテクニックを兼備した現代型GKとして注目される。
さらに、ベテランのギジェルモ・オチョア(AELリマソル)が代表に復帰したことも見逃せない。豊富な経験を持つ守護神は、メンバー入りすれば自身6回目のW杯出場となり、ピッチ内外で精神的支柱として機能する可能性が高い。
ただし、中盤の要であるアルバレスが今年2月に足首の手術を受けており、本大会で万全のコンディションを取り戻せるかは不安材料として残る。
堅固なセンターラインの助けを得て、サイドでは個性的なタレントが躍動する。注目は左サイドのブライアン・グティエレス(グアダラハラ)だ。攻撃的なポジションを幅広くこなすユーティリティ性を備え、外でも内でも違いを生み出せる。
右サイドバックのイスラエル・レジェス(クラブ・アメリカ)は攻守にわたってアグレッシブな上下動を見せ、左では経験豊富なヘスス・ガジャルド(トルーカ)がバランスを保ちながら攻撃にアクセントを加える。
前線のオプションも多彩で、俊敏さを武器とするアレクシス・ベガ(トルーカ)や、ボックス内での抜け目ない動きと決定力に優れるヘルマン・ベルテラメ(インテル・マイアミ)が控える。試合展開に応じて異なるタイプのアタッカーを投入できる点は、トーナメントを戦い抜くうえで大きな武器となるだろう。
全体としては、過半数が国内リーグの選手で構成されているため、国際舞台では過小評価される傾向もある。しかし、個々のポテンシャルは高く、組織としての完成度も着実に高まっている。
ホーム開催という追い風を受けながら、アギーレ監督がこのタレント集団をいかに束ね、長年破れていないベスト16の壁を越えていくのか。メキシコサッカーの新たな歴史を刻む挑戦が、いよいよ幕を開ける。
文●河治良幸
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