
「勝ちにもっと全員が飢えないといけない」「プロは結果でしか見られない」危機感募るもやはり魅力的なジェフのサッカー。我慢と志の先に見たい進化
[J1百年構想リーグEAST第12節]川崎 2-1 千葉/4月25日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
志が高く、主体的なサッカーを――。昨季17年ぶりのJ1復帰を果たし、百年構想リーグに臨んでいるジェフの戦い方は個人的にかなり魅力的に映る。
約2か月前にホームでPK戦の末に敗れた川崎とのリターンマッチでもそうだった。後方から丁寧なビルドアップを試み、相手の配置を見ながら主体的にボールを前進させ、ゴールに向かう。ショートパスだけでなく、相手を食いつかせてからのサイドハーフらを活かすロングフィードもより光るようになっている。自分たちでゲームを動かし、相手を崩す志がチーム全体からよく表われているのだ。
もっとも難しいことに挑戦しているからこそエラーも起こる。川崎戦では、試合の入りが芳しくなく失点。その後、4-4-2の初期配置から攻撃時は4-3-3のような形に変え、川崎のボランチの脇などを有効に使い、決定機をいくつも作ったが、今度は決め切れない。
それでも諦めず、セットプレーから土壇場で追いついたが、直後に「自分たちのエラーが重なってしまった」(小林慶行監督)と、相手のジョーカー、マルシーニョをゴール前でどフリーにするまさかの形で、決勝点を奪われたのだ。
2失点目のシーン、チームとして左サイドの対応からエラーが重なり、最後はマルシーニョのマークを外してしまった右SBの髙橋壱晟が試合後には責任を感じなかなか立ち上がれなかった姿も印象的であった。
12試合を戦って2勝10敗(うち3試合がPK戦負け)。EASTで最下位に沈む。幾人かの怪我人を抱えるなか、戦力でも他のJ1勢とは小さくない差を感じる。目先の結果を求めるなら、本来、堅実なスタイルに舵を切るべきなのだろう。
それでも「当たり前のことを当たり前にやろう」を合言葉に信念を貫く小林監督の下、どれだけ打ちのめされても、志を捨てず、難易度の高いスタイルに挑もうとするのが今のジェフなのである。「J1では無理だよ」「だから勝てないんだ」。心無い声もあるだろう。
何か新しいものを作ろうとすれば批判が起こるのが当たり前である。それを真摯に受け止めながらも前進を止めない姿が魅力的に映るのである。
それはかつて失点を繰り返しても、負けを繰り返しても、“魅せて勝つ”を合言葉に前に進み続けた、川崎の姿にも少し似ているようにも感じた。その意味でも、現在は“魅せて勝つ”からより“勝つ”ことにシフトしているように映り、この日の交代カードは守備のバランスを強化する采配を主に勝ちにつなげた川崎と、前に出ることを止めず守備面でミスが重なり敗れた千葉の一戦は、なんだか様々な示唆に富んでいたようにも感じる。
もっとも、プロは結果も求められるのが当たり前だ。だからこそ、千葉の選手たちは強い危機感を覚えている
少しずつ成長を見せ、川崎戦では良いフィードを何本も送ったCB河野貴志も語る。
「前半の入りは相手のペースで、徐々に自分たちのペースにできましたが、失点するのが早すぎた。一方で、距離感が良いと、(クサビのパスを)真ん中に刺せますし、一人ひとりのポジショニングが良いと上手く連動して自分たちの出したい形を出せる。最近、より意識していますし、積み重ねることができています。
一方で(内容は良かったという試合が)ずっと続いていて、周りもそう言ってくれるが、もうそれじゃダメ。結局はこの世界、結果がすべて。改めてしっかり反省しなくちゃいけない。負けているので、川崎相手に良い試合ができたじゃダメで、勝ちにもっと全員が飢えないといけないし、貪欲にもっとやっていかなくちゃいけないと思います」
またキャプテンの髙橋は失点シーンの対応で自分にベクトルを向けながら、説明した。
「(シーズン)序盤からそうで、前回の川崎戦も内容は良くても勝てなかった。J1のクオリティに対して守れる守備をしなくちゃいけないし、チームとして得点を奪わなくちゃいけない。
育成年代だったら内容は良かったで良いかもしれないけど、僕らはプロ。結果でしか評価されない。良いサッカーをしているほうが勝つわけでもない。
だからこそもちろん理想と現実を両方追い求めたいですが、勝ちもしっかり求めないと、チームとしてもそうだし、個人としても成長していけない。そういう面でもやっぱり勝ちを求めたいです。
そうでないと内容がいくら良くても(夏からの新シーズンで)降格しますよとなっちゃう。僕らは必死に上がってきたのに、降格なんて絶対に許されない。でも勝てない時期が続くと、現実的に戦うということになってしまうかもしれない。それが嫌だったらより成長するしかない。やっぱりこのハーフシーズンでどれだけ力を上げられるか、だと思います」
千葉にとって恵まれているのは、シーズン移行に伴う、降格のない半年間の特別大会である百年構想リーグでJ1勢を相手に力試しをし、順応しながら、夏からの本番に臨めること。
だからこそ、勝てない時期は疑心暗鬼になり、進むべき道を見失いがちだが、足元を見つめながら今のジェフには理想とするスタイルに突き進んでもらいたい。この先、どこかで現実との折り合いを付けなくてはいけない時期も来るのかもしれない。それでも目先の結果に捉われない挑戦が、その後の輝かしい未来を作ると信じたい。必死に背中を押す人たちもそう願っているはずだ。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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