今月初旬に男子テニスのATP世界ランキングで約8カ月ぶりに1位へ返り咲いたヤニック・シナー(イタリア)が、現在開催中の「ムチュア・マドリード・オープン」(4月22日~5月3日/スペイン/クレーコート)で男子選手史上初の記録に挑んでいる。シーズン最初のマスターズ1000シリーズ4大会連続優勝の偉業だ。
24歳のシナーは先月の「BNPパリバ・オープン」と「マイアミ・オープン」(いずれもハードコート/ATP1000)を連続で制す“サンシャイン・ダブル”を達成し、クレーシーズン初戦となった「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(ATP1000)も制覇。そして第1シードで出場した今大会でも初戦の2回戦(シード勢は1回戦免除)でベンジャミン・ボンジ(フランス/104位)を、3回戦でエルマー・モーラー(デンマーク/同169位)を下し、ベスト16進出を決めた。
この結果、シナーは四大大会に次ぐマスターズ1000での連勝記録を24に伸ばし、2013年シーズンにラファエル・ナダル(スペイン/元1位)が記録した23連勝を更新。なお、上にはロジャー・フェデラー(スイス/元1位)の29連勝、ノバク・ジョコビッチ(セルビア/元1位/現4位)の31連勝があり、いずれも“ビッグ3”による記録となっている。
しかしシナー自身はこの記録を特に意識しておらず、そもそも自身と黄金期を築いた3人の巨星を「比較することはできない」と、モーラー戦後の記者会見で語っている。
「彼ら(ビッグ3)はキャリアの中で本当に多くのことを成し遂げた。まだキャリアが始まったばかりの自分にとって、彼らは別次元にいる存在だ。僕自身は今ここにいられること、そして多くの試合でプレーできることだけでもうれしい。今はただ、毎試合で持っている全てのものを出し切るようにしている。勝てればそれで良いし、仮に負けたとしてもベストを尽くせたら、後悔はない」
シナーはこれまでに四大大会4勝を含むツアー27勝を挙げているが、マドリードではまだ優勝経験がなく、マスターズ全9大会のうち同大会と「イタリア国際」(クレー)の2大会で頂点に立てていない。「何事も当たり前だとは思わない。だからこそ特定の環境で何がうまくいきそうなのかを理解しようとしている」と謙虚に語る24歳は、「モチベーションと精神面の安定性をどう維持しているのか?」との問いに、次のように答えた。
「できるだけ多くの試合に勝てるよう、自分を最高の状態に持っていこうとすること。それが今のモチベーションになっている。強くなるための魔法なんて存在しない。今の自分がやるべきは、毎回の練習で何がうまくいっているのかを理解し、それを試合でも再現することだけ。その中にモチベーションを見出そうとしている」
現地28日に予定されている4回戦では、第19シードで元8位のキャメロン・ノーリー(イギリス/現23位)と対戦するシナー。偉業達成へ向け、次戦以降の戦いにも注目が集まる。
文●中村光佑
【動画】シナーVSモーラーのマドリード・オープン3回戦ハイライト!
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