顔を出さず、体のシルエットと声だけで勝負してきた「歌い手Ado」に、変化が訪れようとしている。
それは4月27日放送の「CDTVライブ!ライブ!」(TBS系)でのひとコマ。2月に自身で作詞・作曲を手がけた新曲「ビバリウム」を熱唱していた、まさにその時だった。いきなりカメラが彼女の左目を、ドアップで捉えたのである。時間にしてわずか1秒。それでもオンエア中のX投稿は瞬時に沸いた。
〈吸い込まれそうな瞳〉
〈きれいな二重だね 目力にくぎ付け〉
2020年10月に「うっせぇわ」で鮮烈なメジャーデビューしたAdo。翌2021年3月にこの曲のMV再生回数が1億回を突破し、「新語・流行語大賞」の年間トップテンに選出されるなど、社会現象となった。
一方でライブを含め、正体は決して明かさない秘密主義を貫き、「徹子の部屋」(テレビ朝日系)でも、黒柳徹子はAdoのイメージイラストと話していたのである。
2月28日に公開された「ビバリウム」MVでは、横から捉えた顔の輪郭、手元、そして意外なほど長い後ろ黒髪など、断片的なカットを積み重ねていたが、テレビではこうした部分解禁は初めてのこと。それだけインパクトは強かったが、歌唱力は疑いようがない。
もはや焦らしのための焦らしに見えて…
2024年にはアジア、ヨーロッパ、アメリカを回る初のワールドツアー、さらに女性ソロアーティストとして初となる、国立競技場でのライブ2デイズは即ソールドアウトで14万人を集めるなど、国民的アーティストの地位は完全に確立している。
それでもまだ小出しを続けるのは、ファンへのサービスというより、もはや焦らしのための焦らしに見えてくる。最初の「顔出しNG」戦略が生んだミステリアスなブランドイメージは、すでに十分すぎるほど機能した。次の「完全素顔解禁」が実現する日は、そう遠くないかもしれない。
(中嶋梓)

