チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝、2戦合計0-1でアーセナルの前に屈したスポルティング。その敗退から1週間後、彼らには決して負けられない戦いが待っていた。宿敵ポルトとのポルトガル杯準決勝第2レグだ。
ホームの第1レグを1-0で制していたスポルティングは、この試合を0-0で切り抜け決勝進出を果たした。そして、この完封劇の中心にいたのが、守田英正だ。地元の大手スポーツ紙『A BOLA』は、守田に「8」という高採点をつけ、次のようにその働きを絶賛している。
「敵のパスコースを幾度となく遮断し、体力の限界に達していたチームを助けた。中でもヴィクトル・フローホルトとのマッチアップは出色だった。一秒たりとも足を止めず、常に攻撃の幅を広げようと画策する金髪のデンマーク人に対し、通行禁止のカードを突きつけ、ポルトの反撃を封じ込めた」
今シーズンの守田は、終盤にかけて調子を上げている。だが、その充実ぶりとは裏腹に、6月で満了する契約の更新は絶望的だ。『A BOLA』は「イングランドでのプレーを希望する彼は契約更新を拒んでおり、リーズ・ユナイテッドがその動向を注視している」と現状を説明し、退団は不可避だと報じている。
この現実に納得していないのは、スポルティングのファンだ。前述の準決勝第2レグの後、守田は自身のインスタグラムに「インスピレーションが欠けても、姿勢だけは欠かしてはならない。(決勝の舞台)ジャモールで会おう」というメッセージを投稿した。これを境に、残留を求める声が殺到。その波は一般ファンに留まらず、フットサル界のスター、エリック・メンドンサや、国民的俳優のセザール・モウランといった著名人をも巻き込んでいる。
なぜ、守田はこれほどまでに愛されるのか。その背景には、彼が異国の地で感じ、適応してきた深い洞察がある。守田は最近、こう語っている。「ポルトガルのフットボールはアグレッシブだ。そして、選手にとってもファンにとっても、フットボールが文字通り人生そのものであることを強く実感する。これは日本にはない文化的な特徴だ」。 一方、彼を迎え入れる側はすでに大歓迎ムードだ。英メディア『One Football』は、リーズによる獲得の好機を次のように伝えている。
「リーズは長期にわたって彼を注視しており、昨夏の段階でも、具体的なオファーを準備していた。彼らの関心は今なお衰えていない。当時は契約期間中の交渉だったが、今は状況が異なる。今夏、モリタはフリートランスファーとなり、本人も退団の意思を固めている。リーズはすでに水面下で準備を進めており、日本代表のチームメイト、アオ・タナカも『彼こそが最高の選手だ』と太鼓判を押している」
現地の熱狂的なスポルティングのファンコミュニティ『Vamos a Alvalade』は、去りゆく背番号5に対し、惜別と感謝を込めてこう綴っている。
「モリタは、間違いなく21世紀のスポルティングにおける最高級の助っ人だ。今シーズン後半のパフォーマンスは、まさにフットボールの教本そのものだった。ポルトとの準決勝第2レグでも、モリタはポジショニングと判断、そしてエンブレムに刻まれたライオンの魂とは何かを我々に示してくれた。この物語の終幕が、ポルトガル杯制覇とともに訪れることを願ってやまない。常に尊厳とともに戦い抜いた男にとって、これほど完璧なエンディングはないだろう。ありがとう、モリタ!」
ポルトガル杯決勝の舞台は、聖地ジャモール。日本でいう国立競技場に相当するその場所は、ファンにとって特別な約束の地だ。相手は、快進撃を続ける2部のトレエンセ。スタジアムは、日本から来たマエストロが、愛する人々に捧げる最後の恩返しの舞台となるはずだ。
文●下村正幸
【動画】守田を中心にポルトの猛攻に耐え、決勝進出を果たしたスポルティング
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