
理想の恋人像を思い浮かべてみてください。
外見が魅力的で、優しくて、知的で、経済的にも安定している…
そんな条件をいくつも並べたくなる人は少なくないでしょう。
そんな中、カナダ・ニピシング大学(Nipissing University)の新たな心理研究が報告されました。
それによると、恋人にしたい相手の理想が高い人ほど、恋愛においてライバルとの競争に積極的になる傾向があるようなのです。
研究の詳細は2026年3月25日付で学術誌『Evolutionary Psychological Science』に掲載されています。
目次
- 理想が高い人は「戦う覚悟」を持っている
- 競争するのは「自分なら勝てる」と思う人だった
理想が高い人は「戦う覚悟」を持っている
そもそも、恋愛市場において「魅力的な相手」は非常に限られています。
多くの人が望むような条件をすべて満たす人物は、いわば“希少資源”です。
研究チームはここに注目しました。
もし誰もが欲しがる理想の相手を狙うのであれば、当然ながら他のライバルとの競争は避けられません。
では、理想を高く掲げる人は、その競争にも積極的なのでしょうか。
この仮説を検証するために、研究では大学生とオンライン参加者あわせて600人以上を対象に調査が行われました。
まず参加者は、「外見の良さ」「経済力」「性格の良さ」など18の特徴について、それが恋人にどれほど重要かを評価します。
これにより、その人の「理想の高さ(こだわりの強さ)」が数値化されました。
次に、「同性のライバルに対してどれほど競争心を持つか」を測る心理尺度に回答させます。
ここでは、他人の魅力を気にしたり、自分と比較してしまう傾向などが測定されました。
その結果は明確でした。
恋人への理想が高い人ほど、同性のライバルに対する競争心が強い傾向が確認されたのです。
これは、単に「いい相手が欲しい」と思っているだけでなく、「その相手を巡る争いにも積極的に参加する」姿勢を意味しています。
競争するのは「自分なら勝てる」と思う人だった
さらに興味深いのは、この関係が単純ではなかった点です。
研究では追加で、「自分はどれくらい魅力的だと思っているか(自己評価)」と、「カジュアルな恋愛への関心(短期的な関係志向)」も測定されました。
そして、これらを組み合わせて分析した結果、次の傾向が明らかになります。
恋人への理想が高く、かつ自分に魅力があると感じており、さらに恋愛に積極的な人ほど、最も強い競争心を持っていたのです。
ここから見えてくるのは、単なる「理想の高さ」だけでは説明できない心理です。
つまり、恋愛における競争は「必要だから仕方なく行うもの」ではありません。
むしろ、自分には競争に勝てるだけの価値があると感じている人が、あえてその戦いに飛び込んでいると考えられます。
逆に、自分に自信がなかったり、恋愛における勝ち負けにこだわらない人は、そもそもその競争に参加しない傾向がありました。
理想を下げる、あるいは競争の少ない相手を選ぶという戦略を取るのです。
この結果は、恋愛が単なる「好み」ではなく、自己評価や戦略的判断に基づく行動であることを示しています。
恋愛は「好み」だけで決まらない
今回の研究は、パートナー選びの基準と競争心の関係が、その人の自己認識や恋愛スタイルによって大きく左右されることを示した点で重要です。
さらに研究者たちは、今回扱った要因以外にも影響する心理がある可能性を指摘しています。
たとえば「独りでいることへの不安」が強い人は、理想を下げやすくなることが別の研究で示されています。
こうした視点を踏まえると、恋愛は単なる感情の問題ではなく、「自分はどれくらい価値があるのか」「どこまで競争に参加するのか」といった判断の積み重ねで成り立っているといえるでしょう。
参考文献
Picky About Partners? Prepare to Fight
https://www.psychologytoday.com/us/blog/attraction-evolved/202604/picky-about-partners-prepare-to-fight
元論文
Discerning Mate Preferences Predict Intrasexual Competitiveness in University and Online Samples
https://doi.org/10.1007/s40806-026-00474-6
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

