連日熱戦が繰り広げられてきた男子テニスツアーのマスターズ1000シリーズ「ムチュア・マドリード・オープン」(4月22日~5月3日/スペイン・マドリード/クレーコート)も佳境を迎えている。今大会で活躍を見せたのが、不振にあえいでいた元世界ランキング3位の27歳ステファノス・チチパス(ギリシャ)だ。
これまでに年間成績の上位8名のみが出場できるシーズン最終戦「ATPファイナルズ」での優勝を含むツアー12タイトルを獲得しているチチパスだが、昨年2月の「ドバイ選手権」(ATP500)を制して以降は苦戦が続いており、2021年にキャリアハイの3位を記録したランキングも現在は80位。今季もここまではベスト4進出が1度もなく、すでに5度の初戦敗退を喫している。
しかし今大会のチチパスは再浮上の兆しを感じさせる戦いぶりだった。1回戦でラッキールーザー(欠場者に代わり予選敗者が本戦に繰り上がる措置)のパトリック・キプソン(アメリカ/現90位)を逆転で破ると、2回戦では第8シードの実力者アレクサンダー・ブブリク(カザフスタン/同11位)に、3回戦では予選勝者のダニエル・メリダ(スペイン/同102位)にストレート勝ちし、ベスト16進出を果たした。
そして8強入りを懸けた現地28日の4回戦では、ディフェンディングチャンピオンのキャスパー・ルード(ノルウェー/同15位)と激突。7-6(4)、6-7(2)、6-7(3)と2時間57分の死闘の末に惜敗したが、一時は2本のマッチポイントを握るなど、ツアー屈指のクレー巧者をあと一歩のところまで追い詰めた。敗れはしたものの、再起へ向けて確かな足がかりを築いた大会になったと言えるだろう。
だが、テニス専門メディア『Tennis Channel』で今大会を解説している四大大会通算4勝の元世界王者ジム・クーリエ氏(アメリカ/現55歳)はチチパスのパフォーマンスについて、長年抱えてきた技術的な課題は依然として改善されていないと厳しい見解を示している。今回同氏が挙げたチチパスの弱点は片手バックハンドを主としたものであり、リターンゲームにおいてはサーフェス(コートの種類)に応じて得意のフォアハンドをより生かす形を作るべきだとの持論を展開した。
「彼のゲーム運びにおける弱点は、あまりにも長い間放置されてきた。中でも彼のバックハンドのスライスとリターンは未だに不十分だ。さらにクレーコート以外の他のサーフェスでは、相手のセカンドサービスに対してもっと後ろに下がって構え、フォアハンドで多くリターンすべきだと認識できていない。その点は失敗だと思う」
確かにチチパスの片手バックは、かねてからトップ選手との対戦で狙われやすい弱点として指摘されてきた。高く弾むボールへの対応や、バック側に集められた際の守備力には課題があるとされ、特にリターンゲームでは安定感を欠く場面も少なくない。だからこそ高い破壊力と攻撃的な展開力を持つフォアを最大限に生かせる戦術を構築できるか。クーリエ氏の厳しい言葉は、あくまでも期待の裏返しなのだろう。
文●中村光佑
【動画】マドリードで快進撃を演じたチチパスが世界11位のブブリクを破った2回戦ハイライト
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