5月3日、No.1ステイヤー決定戦の天皇賞(春)(GⅠ、京都・芝3200m)が行なわれる。
昨年出走したメンバーのうち、今年も参戦してきたのは優勝馬のヘデントール(牡5歳/美浦・木村哲也厩舎)の1頭のみ。スティンガーグラス(牡5歳/栗東・友道康夫厩舎)の出走回避は残念だが、15のゲートを埋めたヘデントール以外は初参戦というフレッシュなメンバー構成となった。そして何よりファンを喜ばせたのは、先の大阪杯(GⅠ)を勝った昨年の日本ダービー馬、クロワデュノール(牡4歳/栗東・斉藤崇史厩舎)の出走であろう。春の古馬中距離三冠(大阪杯→天皇賞(春)→宝塚記念)が有名無実化するなかでの勇気あるエントリーには筆者個人としても拍手を送りたくなった。
さて、そのクロワデュノールの評価が今年の本レース最大のテーマであることは、全競馬ファンが認めるところだろう。ご存知のようにクロワデュノールの距離経験は日本ダービー(①着)、凱旋門賞(14着)、ジャパンカップ(4着)の2400mが最長。3200mは未知の領域である。距離は持つのか、持たないのか。それがファンの頭を悩ませる。
まずレースぶりから推察すると、フランス遠征の超スローペースにも難なく順応したように、クロワデュノールは折り合いにほぼ問題がない馬で、その点では距離延長に適応し得ると考えるのが妥当だろう。
次に血統から見ていくと、父は菊花賞(GⅠ)、天皇賞(春)を制したキタサンブラックなのであるから、この点もクリアしていると考えるのが普通かもしれない。しかし意外なことに、キタサンブラック産駒の平地3000m以上の成績は、まだサンプル数が少ないものの〔0・0・2・6〕とあまり優れないのが現状なのだ。
では、天皇賞(春)におけるクロワデュノールをどう評価すればいいのか。結論から言えば能力や操縦性の高さから、馬券的な「軸」とすることには異論はないが、逆に「頭固定」とするほど図抜けた存在ではない、というのが本稿での結論だ。 続いて高い評価を与えるべきなのが、プレップレースの阪神大賞典(GⅡ)を快勝したレイデオロ産駒のアドマイヤテラ(牡5歳/栗東・友道康夫厩舎)。昨春の目黒記念(GⅡ)を勝って重賞タイトルを手に入れた本馬は、秋にはジャパンカップのスタートで落馬し、カラ馬のまま勝ち負けを争っている2頭に絡むという喜べない形で名を知られてしまった。
その後、有馬記念で11着に大敗してシーズンを終えると、今年は阪神大賞典から始動。武豊騎手に手が戻ったアドマイヤテラは、3歳時に菊花賞(GⅠ、京都・芝3000m)で3着に食い込んだ長距離適性を存分に発揮し、直線で3番手から難なく抜け出すと、ゴールでは2着のアクアヴァーナル(牝5歳/栗東・四位洋文厩舎)に3馬身(0秒5)差を付けて圧勝した。走破タイムの3分02秒0はコースレコードで、いかに高速化した馬場であれ、このタイムはやはり立派。スタミナのみならず、ステイヤーなりのスピードも併せ持っていることを見事に証明した。こちらも「軸」としては十分な能力を持っており、GⅠレース3勝のクロワデュノールより上位に評価することはできないが、レースの流れひとつで覇権を奪っても驚けない。
人気上位の2頭を「軸」として取り上げたため、相手の頭数は絞り込みたい。3番手に挙げたいのは、今年の小倉大賞典(GⅢ)を勝ったタガノデュード(牡5歳/栗東・宮徹厩舎)。前走の大阪杯では後方から外を回しながら息の長い末脚を繰り出して勝ったクロワデュノールから0秒3差の4着(3着のダノンデサイルとは同タイム)に食い込んだ。
父はキングカメハメハ系のヤマカツエースで、父系から見た適距離は2000m前後だろうが、母の父は長距離に強い産駒を多数送り出しているハーツクライで、それが長距離戦への適性を補っている。本馬は折り合いに窮することはないため、ある程度の距離延長には対応できると見ており、京都名物である3コーナーからの坂の下りを利してロングスパートを決め、周囲をアッと言わせるシーンが期待できるかもしれない。そしてもちろん、中長距離の名馬を多数輩出している友道康夫調教師の手になるというファクターも見逃せない。
4番手以下は同列の評価で挙げておく。3000mで行なわれる万葉ステークス(OP)の勝ち鞍を持ち、牝馬ながら阪神大賞典でアドマイヤテラの2着に食い込んだアクアヴァーナル。日本ダービーと愛チャンピオンステークス(G2)が3着、ジャパンカップ(GⅠ)が2着という実績を持ち、ポテンシャルは一級品のシンエンペラー(牡5歳/栗東・矢作芳人厩舎)。骨折休養明けの京都記念(GⅡ)が8着と、順調さを欠いたことが気になる昨年の覇者ヘデントール。ここまでを馬券圏内とし、昨年のステイヤーズステークス(GⅡ)を制したホーエリート(牝5歳/美浦・田島俊明厩舎)は不運にも外の14番枠を引いたことから無印とした。
文●三好達彦
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