プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は2025年の全日本選手権チャンピオン、田口涼太郎選手の最終回。相手から時間を奪うフォアハンドリターンについて教えてくれた。
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リターンでもできるだけ主導権を握りたいので、ポジションを前に取り、相手に時間を与えないことを考えています。ラケットを前にセットして、早いタイミングで当てるだけです。そこで振ってしまうと、ブレが出てミスの確率が高くなります。
前めのポジションで構え、そこからさらに前にスプリットステップします(写真1コマ目)。そしてボールが来てステップインすると、通常ベースライン上ぐらいまで前に入りますね(5~6コマ目)。2ndサービスならラインからラケット1本分くらい中に入ってリターンするようにしています。
ただ、ポジションは状況によって変わります。相手のサービスが良かったり、1stが入り続けたりしている時は、ポジションを少し後ろにして、ムーンボールを1本深く返すといったこともします。ポジションを変えるだけでサーバーはすごく嫌なものなので、こういう駆け引きも必要です。
この写真は1stサービスに対して割と前でステップインしており、強気に攻めたリターンだと思います。ラケットはあまり引かず、できるだけ前にセット(3コマ目)。構えた姿勢から上体をターンするだけです。
そして足を使って自分からボールに向かっていきます。右足を前に決めて(2コマ目)、左足を出しながら(5コマ目)、ラケットの方向に体重を乗せていくんです(6コマ目)。振るという意識はあまりなく、身体で押すとか、ブロックするような感覚です。でもステップインしているぶん、ブロックリターンよりもボールの伸びやスピードは出ます。
この時にできるだけ重心が浮かないようにするのがポイントです。ジョコビッチとかを見ると、上半身がぜんぜん上がらないですよね。そこで伸びるとボールが上に行ったり、ブレが出てくるので、できるだけ低く入るように心掛けています。
面をボールに当てたら、フォロースルーは意識していません。むしろフォローしないようにしていますね(7コマ目)。写真では最後にラケットが上に行っていますが(8コマ目)、これは勢いで自然にそうなっただけです。
【プロフィール】田口涼太郎/たぐちりょうたろう
2000年6月30日、長崎県生まれ。174cm、72kg、右利き。近畿大学出身。インカレ室内を制し、23年春に卒業してプロ転向。オールラウンドな攻めを武器にその年のチュニジアのITFツアーで準優勝。昨年の全日本選手権では初優勝を飾る。ダブルスも得意としITF通算6勝。現在、国内ランク単22位。Team REC所属。
構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2024年11月号より再編集
【連続写真】田口涼太郎の相手から時間を奪うフォアハンドリターン『30コマの超分解写真』
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